[R18][SenSen] ナルシストを極めてしまったかもしれない
Author: 優
Link: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23222820
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⚠attention⚠
・腐向け、nmmnについて理解がある方のみお進み下さい。
・ご本人様のお名前をお借りしているだけで、ご本人様との関係は一切ございません。
・snsnがメインとなっております。また、おまけ程度にsmsnを含みますので苦手な方はブラウザバックすることを推奨します。
・作者は関東住みなので、方言など見苦しい点多いと思いますが、暖かい目で見てやってください。
⚠️挿入する側の潮吹き・首絞めを含む
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初めて出会った時は、ドッペルゲンガーかと思った。自分とそっくり同じ顔をした男を目の前にして
あ、俺今日で死ぬんちゃうかと無駄に冷静な頭で考えたくらいだった。
世界には、自分とそっくりな人物が三人いるという迷信もあるくらいだ。そんな怪しい話を信じてしまうくらいには、センラの目の鼻の先にいる男は、センラの全く同じ顔をして全く同じ背丈、体付きをしていた。
「え、なに?俺と同じ顔してるんやけど」
「こっちのセリフや。生き別れの双子の兄弟とか......ちゃいますよね」
連日の疲労で頭がおかしくなってるのか?と目を擦るが、相手は依然とそこにいる。リハ帰りで疲弊したセンラの前にいたのは、全身をグレーのスーツに身を包みいかにも社会人然をした『センラ』としか言いようがない男がいた。
「自分、なんなん?関西弁やし、声もほんまに似てるんですけど」
「そら、関西出身なもので。あなたこそなんでそんなに僕にそっくりなんです?怖いんですけど...?」
「僕も怖いんですて。あの〜ちなみに名前とかって教えてもらえたりしますか?」
「...僕ですか?折原って言う者なんですけど」
「うっわぁ〜......えぇ?」
暗い髪色をして社会人の風貌をした彼が手馴れた手つきで差し出してきた名刺は、見慣れた名前が書かれていた。おまけに、勤め先として書かれている社名に見覚えがあった。
「お前もセンラなんや」
「その名前懐かしいなぁ...僕がセンラだったのなんて、10年以上も前ですよ」
その言葉を聞いて確信した。おそらくだが、この男は『センラ』として活動を続けていなかったせいで会社を辞めることもなく、社会人一筋で生きてきた世界線のセンラなのだろう。
なぜ出会うことになってしまったかはさておき。
「自分会社の帰りなんですけど...ほんまにびっくりやわ、こんな自分そっくりな人と出会うなんて」
「俺もリハ帰りで疲れてるから...とうとう幻覚が見えてもうてんのかと思った」
自分そっくりの人物。普通に考えたら恐怖しか感じないはずだが、不思議と親近感が湧いた。もっと話したい。なにより、自分が社会人としての道を歩んでいたらどうなっていたのか、シンプルに興味が湧いた。
「そういえば、帰り道で盛大に転んでもうて、一瞬意識が飛んでたみたいで」
「えぇ!僕も似た様な感じです。疲れてたから電柱に思いっきり頭ぶつけてもうて。たぶん意識も一瞬飛んでたと思うんですよねぇ」
偶然とは思えないタイミングで、両者とも意識を飛ばしている。これは怪しい。怪しすぎる。
他に心当たりがないか話してみたが、どうにも煮え切らない。
パラレルワールドというものを信じるならば、同じタイミングで意識を失ったせいで俺と『センラ』の二つの世界線が混ざり合ってしまったと言えるのかもしれない。
会社員を続けていたセンラは、名古屋で何年か勤め上げた後に東京にある本社に転勤になったらしい。出世したんやなぁと感心してしまった。
暫くの間話し込んでいるうちに結構時間が経過してしまっていた。ひとまず連絡先を交換して別れることになったが、会社員のセンラはいつまでも着いてくる。
「...なに?まだ何か用事ですか?」
「僕も家がこっちの方向なんですよ。最寄りの駅から歩いて帰る途中やったので」
「はぇ〜、偶然もあるものやな。...ん?もしかして、なぁ、もしかして住んでるとこの目の前にコンビニあったりしません?」
「あるけど...なんです?怖いんですけど」
「もしかしてさぁ、その、住んでる家って......」
歩いているうちに、自宅のマンションに着いてしまった。会社員のセンラと顔を見合わせて事態を察する。あっこれ、同じ家に住んでることになってるんちゃう......?
「やっぱりそうや...」
持ってる鍵も完全一致。『パラレルワールドが混ざり合ってしまった』と言ったが、それが文字通りだったことを知る。お互いに同じマンションの部屋を自宅だと認識しているので追い出すことは出来ないし、ホテルとか探すのも馬鹿馬鹿しい。
まぁ、同じセンラやしいいかと納得して、俺と『センラ』は何故だかこのまま一緒に暮らすことになってしまった。
唐突に、奇妙な同居生活は始まった。
同じセンラなので趣味嗜好感覚全てが同じ。何をされたらうれしいのか、どんな気持ちになるのか怖いくらいに把握している。
一人の時間を大切にしていて、同棲には向かないタイプやろなと自負していたが自分との同棲というやつは思っていた以上に楽で、すんなり馴染んでしまった。
「はぁ...疲れたわぁ」
「おかえり、帰ったん」
自宅で作業をしていれば、玄関の扉が開いた。見に行ってみれば珍しく髪の毛と服装を乱した状態の、よれよれの会社員センラの姿があった。
「ただいま。なぁ聞いて?ほんまにさぁ、今日上司が.........あ、そういえばこれ帰りに買ってきたんやけど」
「なになに〜?えっうわ、これドーナツやんけ!!しかもチョコグレーズド。お前これ最高やんか!!!」
「まぁ、あげへんけどな」
「なんやねんこんな見せびらかしといてダメとか最低やな、絶対に食べてやるわ」
「怖ぁ〜〜こちとらしこたま仕事して疲れて帰ってきたのに譲ってくれへんの?」
「俺もリハとか収録とかやって疲れてるし。絶対に半分食べるからな」
「まぁ、ええけど......もっと有難がれや」
「ほんまありがとうな、ドーナツほんまに嬉しいわこれ、俺いまめちゃくちゃ糖分欲しとったし。ご馳走さん。なに、なんか、マッサージでもしたろか?」
「それなら、腰、揉んでほしい......かも」
「ええよ、それやったらお前さっさと手洗いうがいして来たら?お風呂も沸いてるから先入ってもええし。マッサージはその後やな」
「うん...」
素直になれない社会人のセンラは、疲れた時に決まって甘いものを買ってくる。俺の分も考えて多めに。そんなセンラにマッサージを願い出てみれば言いにくそうにその提案に乗った。
初めからやって欲しいって言えばいいのにと内心で思うものの、まぁ、センラやからそういうお願いする時に何かしら対価がいると思ってんやろなと納得して俺も何も言わない。
「そんでな?上司がな、俺に言うてきてん。普段はいい人なんやけど、今日に限っては絶対にあの発言はおかしいと思うねんか」
「たしかに、それはおかしいな。俺も聞いててムカムカしてきたわ」
「そうやろ?そんで俺もう我慢できなくてさぁ、ついつい言い返してもうたわ」
社会人センラの様子を見るに相当限界な様子だと察した。元サラリーマンだった俺も定期的にしんどい時があったので彼の状況がなんとなくだがわかる。
風呂上がりで温まった『センラ』をソファーにうつ伏せに寝かせて、腰を圧迫する様にマッサージしてやった。湧水の様にとめどなく溢れてくる愚痴も大人しく聞いてやる。
「うん、ほんまもう......お疲れなんやな、センラは」
「そうやねん。ほんまに疲れたし、めちゃくちゃ頑張ったよ、俺...」
「...お疲れさん、後でホットミルク入れたるから一緒にドーナツ食べよか」
「............うん」
俺の気遣いに気付いて思うところがあったのか、大人しくなった『センラ』は恥ずかしそうにクッションに顔を埋めた。
「お前普段何食って生きてたん?自炊してへんの?」
「それはまぁ、外食かスーパーのお惣菜とかやな......」
「ダメやなぁ全く。......ま、俺もあんまり人のこと言えへんけど。ご飯作り置きのやつあるから、食べてええよ」
「ありがとう......いただきます」
疲れた日のマッサージだけでなく会社が繁忙期を迎えているらしくぼろぼろのセンラにご飯の準備をしてあげたり。らしくない事をしている自覚があったが、全く同じ顔をして全く同じ思考回路をしている自分が疲れてくたくたになっている様子をみて何かしてあげたくなってしまった。
「はぁ......ほんま、どないしよ」
とある日。俺は活動を続けている中で行き詰まってしまい、頭を抱えていた。センラの心の奥深くまで踏み込んでいる内容で、とてもリスナーにも話せる内容じゃない。ぐるぐると考え込んでしまって、ここままじゃ寝れへんかもと思うくらい。泣いてしまうほどじゃないけど、むしろ、思いっきり泣きたいと思うくらいには気分が優れなかった。
「どうしたん?なんか、あった?」
「いや......なんでも、ないんやけど」
「なんでもないことないやろ。もしかして......活動のこと?話聞くで」
社会人のセンラは「俺なら話せるんちゃう?別にどんな内容でも驚かんし引いたりせんよ、だって俺のことやからな」と言った。
試しに話してみれば、思いの他親身になってくれるし、的確なアドバイスが飛んでくる。
「ちょっと待っててな?」
しばらくすると、社会人センラはマグカップをふたつ持ってきた。湯気の立つカップの中身はホットミルクだった。他にも、隠していたのかチョコレートのお菓子をいくつか持ってきた。
「これ、俺が1人で食べようと思って隠してたんやけど。特別やからな、食べてええよ」
そう言って俺の正面に座って「それで?他にも悩んでることあるんやろ」と話を促した。相手の流れで話が進んでいるのが気に入らないと思いつつ、チョコのお菓子をぺろりと平らげ一通り話を終えると心が少しだけ軽くなったことに気が付く。
「なぁ、俺思うんやけどな?たぶん考えすぎなんやと思うで。もっと軽く考えてもええんちゃうかな。そんな色々頭悩ませてたら、パンクしてまうって」
目の前で立ち上がったセンラは、俺の頭に手を伸ばして髪の毛を指で梳いた。
続けざまにぽんぽんと肩を叩く動作はぎこちなかったが、センラなりに心配してくれていると分かった。
『社会人のセンラ』との同居生活は案外、悪いものでは無かった。相手が疲れて典型的なくたびれたサラリーマンになって帰ってきた時は俺がホットミルクを入れてよしよししてあげるし、逆も然り。『センラ』は俺が行き詰まった時や疲れた時は家事を代わってくれたり、ホットミルクを入れて慰めてくれる。
社会人として会社勤めを続け、年相応にキャリアを積んできたセンラに羨ましいと思う気持ちと尊敬の念を抱く。
反対に、社会人のセンラも、活動者として成功して多くのファンに支えられて活動している俺に対して憧れの感情を抱いているみたいだった。これは本人の口から聞いた訳では無いので確定じゃないんやけど。同じ俺やからなんとなく分かるってだけだ。
親しき仲にも礼儀ありというように、いくら仲良くなっても完全に心を許すことが出来ない俺にとって、『自分』というのは人様に迷惑をかけることがなく遠慮なく接することが出来る唯一の存在だった。俺と『センラ』は奇妙な絆としか言いようがない縁で結ばれていた。
そのうち、俺のセンラに対する妙な方向で遠慮がなくなってしまうのも時間の問題だった。
「あかんムラムラしてきた」
「はぁ?何言ってんねん、キショ...なんで脱いでんねん」
「お前もはよちんぽ出せや」
「もう、ほんまにだるいてぇ......なんでそんな、勃たせてんの?」
「俺もわからへん...疲れマラやと思うねんけど。無性にムラムラしてるから、お前でもいいかなって」
「だるすぎやって...」
仕事で疲れていたのか、抵抗が弱いセンラの下履きを剥いで、俺も下半身を露出させた。口では嫌がりながらも、情けなく前を勃起させる俺に興味が湧いたのかしぶしぶ性器を握られた。
つい、ごくりと唾を飲み下す。好みの強さで握られて上下に擦られて、腰が抜けそうになった。
「ぅ、んっんっん...ぅぅ〜〜......!♡」
「どう?んふふ、どんどんおっきくなってる」
「んっう、ぅ、う、これ、やばいっ...〜〜〜♡♡」
自分一人で行う作業と化した性欲処理のオナニーとは訳が違う。予測不能の動きをする『センラ』の手が想像以上に気持ちよくて、声を我慢することが出来ない。やばい。気持ち良すぎて涙出てくる。ほんまに、腰溶けそう。
「同じ俺やからわかるで。こうやって擦られんの最高に気持ちいやろ?」
「うるさい...!てことは、お前も同じとこ擦られたら気持ちいってことなんちゃうの」
「待って?俺はええから...あっ♡」
気に入らなくて、余裕そうな顔をしている社会人センラの性器を掴んで、上下に擦ってやった。
「さっきまで萎えてたのに、反応してるし。俺で興奮してんの?自分で勃つとかナルシストやなぁほんま」
「お前こそ、自分にちんぽ擦られて気持ちよくなって喘いでるとか、普通にやばい...ぁっ♡ぅ、ぅ、ぁっ.........まって、これあかん...ッ〜〜〜♡♡」
「お前も気持ちよさそうやし、喘いでるやん...♡」
唇を尖らせた社会人とのセンラは、仕返しのように手を早めてぐちゅぐちゅ♡性器を擦ってきた。俺も仕返しに尿道を親指でぐりぐり抉ってやる。
夢中になって、お互いの性器を責め立て合った。
「あっあっぁ......んっ〜〜〜〜♡♡」
「ん、ふぅ...っ!ぅ、ぅ〜〜〜♡♡」
自分の声が反響したように、目の前からも自分と同じ声が聞こえてくる。もはや自分が喘いでいるのか、相手が喘いでいるのかわからなかった。お互いが共鳴する様に、手の動きが大胆に、声も大きくなっていく。ぐちゅぐちゅ...♡と激しい水音がお互いの手の中から鳴った。
「ぁ、ぁ、ぁ...!ほんまにやばい...っ♡♡」
「んっ俺もぉ...!やばっ、ほんまにイクぅ...!なぁ、お前も、センラもイけや...!」
「待ってほんまに...!俺、おれも...イクッイクゥッ」
「はよ出してぇ......ぁ、ぁ、いく、イグッ...んぅぅ...〜〜〜♡♡」
「ぁっ!おれも、おれもぉイグゥッ...ぁ、ぁ、あ゛〜〜〜〜ッ♡♡」
先に俺がイクのは気に入らない。そんな理由でより激しく『センラ』を責め立てて、ほぼ同時にお互いの手の中に射精した。通常よりも何倍も早く、あっという間に絶頂に飛んでしまった。賢者タイムがやってくると、お互いに少しだけ我に帰る。
「はぁ...最悪や、なんで俺自分と抜き合いしてんねん」
「ほんまにな。俺が誘っといてやけど、普通に最悪やったわ」
死んでも気持ちよかったなんて言わんけど。気持ちよかったのは事実だし、相手も同じことを思っていることは確実だった。
それから、「溜まってきたから」「自分一人でするより時短になるから」なんて理由をつけて、定期的に抜き合いするようになってしまった。
初めは、その抜き合いですら少しの抵抗感がありそれが表に出ているのか誘う様子もどこかぎこちなかった。数を重ねていくうちに恥じらいも減っていき、それどころかヒートアップしていった。
「俺もお前もセンラなんやから、セックスもオナニーみたいなもんやと思わへん?」
「まじで何なん?きしょすぎる」
「ムラムラしてきたからさぁ、ケツ貸してほしいんやけどぉ」
「最低すぎる、ぜっったい嫌やし、お前が貸せや。セックスもオナニーと一緒なんやろ?」
冗談のつもりで言った最低なセリフが、言い合いを続けていくうちに現実みを帯びてくる。実際、性器を擦って射精する過程ですら、自分一人でするより自分であるセンラの手で擦られた方が気持ちいいのだ。
性行為となったら、どれくらい気持ちいいのか。俺も『センラ』も伊達に女性経験がないわけではない。
『センラ』を相手に性行為同然の快感が得られたら。
浦島坂田船の活動を続けていて、ろくに相手を作ることも許されない自分にとったら、後腐れがなく危険性が限りなく低い『センラ』はものすごく都合が良い存在に思えた。
一旦は諦めて普段のように抜き合いをしていれば、なぜだか『センラ』の指が俺のお尻に回った。
「どこ触ってんねん?!」
「ここ、開発したら気持ちいいらしいやん?俺の尻は貸さへんけど、ほんまに気持ちいいか自分の尻で試してみたらどうなん」
先走りで湿った指が一本尻の中にぐぐっ...♡と押し入ってくる。不快感に眉を顰めるが、手の動きが再開され前を扱かれれば異物感は軽減される。
冗談じゃない!絶対に嫌やと逃げようとするが、『センラ』は思った以上にしつこかった。俺が抵抗するのを諦めた頃に、絶頂が近づいて来る。
結果として、尻に指を突っ込まれたままの射精は後ろめたさもあり、少しだけ気持ちよかった。いつもはほぼ同時だったがその日は『センラ』より一足先にイッてしまった。その後、自分だけ尻をいじられたのが気に入らなくて、社会人のセンラにも同じことをやり返した。
お互い意地になって尻を開発し合うようになった結果、そのうち、俺と『センラ』は自分同士だからセックスじゃない、オナニーの延長みたいなもんと言い訳をして体を重ねる様になってしまった。
体を重ねるようになってどのくらい経っただろうか。じゃんけんで勝った俺は、迷わずタチを選んだ。悔しそうにしていた『センラ』だったが、すぐに表情は余裕そうなものに戻った。
こちゅこちゅ♡と卑猥な水の音を立てながら扱かれ、イキそうになったら手を止められる。手を離された性器が寂しげにぶるんっ♡と跳ねた。
手のひらの筒から真っ赤になった亀頭がぬこぬこ顔を出すたびに甘イキして先走りを溢れさせている。
「あっ......やば」
カリ首だけを手のひらで包まれてしつこく擦られる。イくには刺激が足りず、真っ赤に腫れた性器は切なく震えながら汁をこぼすことしか出来ない。
「なぁ、ほんまに性格悪いってぇ...」
「ん〜?性格悪いも何も、お前も俺やからな?俺が性格悪かったら、お前も同じやってことなるから。なぁ、手ぇ止まってるで。もっと気合い入れて指動かしてもらってええですかー?」
「ムカつくんやけど、絶対手マンされてるやつの態度ちゃうやろ。ずっとナカひくひくしてるしイきそうな癖して。俺が前立腺ゴリゴリしたら絶対イクやろ」
「うるさい。ほんま、お前もいい性格してるわ...♡」
性格が悪いのも、ドSなのもお互い様。互いに相手を虐めて情けない姿を拝んでやりたいと思っている。
じゃんけんで負けたとはいえ、『センラ』が大人しくネコ側を引き受けているのは単純にネコ側でも十分に気持ちよくなれることと、尻で俺を抱いてやるという気概でいるからだ。俺がじゃんけんで負けていたとしても、同じことを考えていた。
「挿れるで......んっ」
「やっと挿れる気になったん......ぁ」
何度も寸止めを繰り返された可哀想な俺の性器を掴んで、『センラ』は濡れそぼったアナルに先端をくっつけた。そっと瞼を伏せてゆったりと口元の力を緩ませて俺のお腹に手を付く。
相手は、俺なのに。妙な色気に翻弄されそうになる。ゆっくりと腰を降ろされ、亀頭が暖かな粘膜に包まれる。
悪戯心で『センラ』が一気に腰を下ろしたタイミングと、されるがままが気に入らない俺が腰を掴んで引き寄せたのはほぼ同時だった。
「ぁっ...ぐぅッ〜〜〜〜〜♡♡♡」
「ぁ゛ッお゛ッ、おお゛ッ......〜〜〜〜♡♡」
相乗効果で、一気に奥の結腸の壁をぐぽぉ♡♡とぶち破り、下生えが『センラ』の尻に触れた。狭くてやわらかい粘膜の壁に先端を包まれて、俺は呆気なくも絶頂に飛んでいた。同時に、ぎゅうう♡♡と締め付けが強くなって、『センラ』も絶頂に飛んだことを知る。
「ふふ......挿れただけでイッたな、情けないちんぽや。そんなに俺の手コキとお尻が気持ちよかったん?」
「お前こそナカイキしたやろ、いま。精液もちょっと出てるし。俺が気づかへんと思ったん...?中きゅうきゅうしてるから丸わかりやねん」
どっちもどっちとしか言いようがないのに、俺も『センラ』も素直になってやらない。
『センラ』は世間一般に考えたら恥ずかしい、情けないと思うような俺の姿に興奮を覚えるらしい。さすが俺や。同じ方向に性癖がねじ曲がっている。
もはや、攻防戦と化していた。文字通り、『センラ』は俺を尻で抱いているつもりでいるし、俺は事実上『センラ』を抱いているし。互いにイッたばかりだと言うのに、すぐに腰を動かし始めた。
「ぁっぁっ、うぅ...っ〜〜♡♡」
「ちんぽ挿れてる側やのに喘いでる♡ぁっ、ほんま、情けないなぁ...これじゃ、どっちが抱いてるのかわからへんねぇ......っん、ぅ〜〜〜♡♡」
「あんたも、メスみたいに尻で気持ちよくなってる癖してよぉ言うわ......っぜんぜん、こえ、我慢できてへんで......?」
『センラ』は、わざと尻を締め腰を振った。俺も俺で、結腸の入り口から引き抜いては奥を貫いて、ぐぽぐぽ♡と激しく責め立てるのを辞めない。
「ひいぃッぅ、ぉ゛ッ、お゛ッ、おぅ゛ッッ〜〜〜♡♡」
「〜〜〜ッぅ゛♡ほらぁ♡ケツ乱暴に突かれて気持ちよさそうやで?ずっとな、ナカがきゅうきゅうしてる...♡」
「ぉ゛ッ......んん...ッ♡なに、羨ましいん...っ?」
「...はぁ?」
「お尻、寂しくさせてんちゃうの?結腸で雑魚いちんぽよしよしするの最高に興奮するし、気持ちいいのに♡」
「そんなわけ、ないやろ...!」
「俺わかるで。さっきからお尻きゅんきゅんさせてんの。いまからでも俺が挿れてやってもええよぉ?」
浅く腰を振られて亀頭が結腸のお部屋で狙い撃ちされる。意識してまえば、腰を振られるたびにきゅん♡と肛門を締めて感じてしまっている自分に気付いてしまった。
俺も俺とて、この体は男......もとい『センラ』に腹の奥まで貫かれる快感を知っている。
「うるさい......っでも、お前はいま俺に抱かれてんやから立派なメスや...ッ!!はよイけ、ほんまに、ムカつくぅ......ッう゛、ぅ、ぐぅ......ッ♡♡」
「図星なんやな♡折角ちんぽ挿れてんのにお尻さびしくして可哀想ぉ♡♡オス辞めてもうてるやん♡♡あ゛ッ!!ちょおま、前も触んのは、卑怯やってぇ......!!んぅう゛〜〜〜♡♡♡」
虚勢を貼って無遠慮に腰を振りたくる『センラ』に内心で切れて、とろとろ汁をこぼす性器を掴んで擦ってやった。たどたどしい手付きだったが、『センラ』は目に見えて余裕がなくなってくる。
「ぁ゛ッ、あ゛ッ、やば、やばい、出る、なんか......!やばい、いくいく、イグゥッ......!!♡♡」
「ぁ゛〜〜〜ッ♡♡ほんまに、あかん゛ッ......!出る、でるでるでるぅッ!!!」
土壇場で、『センラ』の手が伸びてきて俺の首を掴んだ。力の入っていない両方の手で気道が塞がれる。首というのは、弱い力でも案外簡単に締まってしまう。
やばいおれ、首締められてる。
「ヒュッ......ひ、ひっ......〜〜〜ッッ♡♡」
脳に酸素が回らなくなり、目の前が白くなる。危険な脳内麻薬に支配される。妙な快楽が込み上げてきて、一気に吹き出した。
へこへこ無意識のうちに腰を動かした俺はグッ!と腰を突き上げると『センラ』の腹の中でプシィッ♡♡と潮を吹いていた。
半分ほど飛びかけながらも腹の上で揺れる『センラ』のちんぽを掴んだ。
カリをしつこく擦って先端をグリグリ抉ってやれば、尿道から暖かくて透明な液体が勢いよく飛び出してきて俺の腹の上に落ちてきた。
こんなに気持ちのいい行為がオナニーと一緒のわけがない。自分同士だからか、体格差もほとんどない俺たちの体の相性は抜群だった。
日常的にこんな激しいセックスして。俺もお前も、もう女なんて抱けないんやろなぁ......としみじみ考えながら、眠気に身を任せて瞼を閉じた。
「あ゛ーーーー、ほんま最悪の気分」
その日は、失敗続きだった。
つい失言をしてしまって、窘められた。リハで中々振り付けが覚えられず迷惑をかけた。そんな小さな失敗が積み重なる。なんで出来ないねんと寝不足も相まって自分に対するイライラが溜まっていく。エゴサに引っかかる普段は刺さらないような誹謗中傷すら、やたらと目に付く。
家に帰った時には、最悪の気分になっていた。
「......おかえり、どうしたん?顔色、悪いんちゃう?」
土曜日だったからか、仕事が休みだったらしい腑抜けた顔をした『センラ』が俺を出迎えた。俺はこんなに頑張ってきたのに、休みとか。羨ましいと普段は気にならないことが鼻につく。
「ホットミルクいれるわ。疲れたんやろ?しんどいんやったら、話聞くし。休んだ方がええよ」
「ええよなお前は、休日やもんな。脳天気な顔して、ほんまムカつくわ」
「......え?」
俺はこんなに疲れてて、最悪の気分なのに。慰めなんか要らない。
頭を支配したのは、相手を引きずり降ろそうとするような最低な思考回路。
「ほんまに鼻につく顔してるわ。そんな被害者ヅラすんなや。気遣いとか要らんねん、ほんまキショい。仕事するしか脳がない癖に、休んでてええの?今のお前に何の存在価値があんのかなぁ、ほんまにわからへん」
お前も俺なんやから。俺と同じとこまで堕ちてくればいい。俺と同じように、最悪の気分になってしまえばいのに。
気が付けば、口をついたのは『センラ』の人格を否定するようなモラハラと言っても差し支えない醜い言葉だった。
会社員だったころの記憶が懐かしい。いいな、いいな。俺も、会社員として仕事を続けられていたら。
今の生活に満足してるけど、普通のサラリーマンが羨ましいと感じる瞬間がある。きっとその方が、何も考えなくてよくて、楽だった。
これはもはや八つ当たりでしかなかった。
「なんやねん、人が心配してんのに!お前こそ、人の気遣いを無碍にして最低やな。何があったんか知らんけど、どうせしょーもないことなんやろ。そうやってお前は、人の善意を踏み躙って、一生孤独で生きてくんやろな」
即座に言い返してきた『センラ』の言葉を頭の中で反芻して、だんだんと恐ろしくなっていった。何を言ってるんや、俺は。
『センラ』も一息で言い切るとむっつりと唇を引き結び、俺を置いてリビングに戻って行った。
心なしか『センラ』も傷付いた顔をしている気がした。『センラ』が、俺と同じであればいい。俺と同じくらいの鬱状態になればいいのにって、思ってしまった。
孤独という言葉が頭の中をぐるぐる巡る。最近は、俺一人じゃなくて家に『センラ』がいたから孤独を感じた瞬間はなかった。
自分というどれだけ冷たく当たっても支障がない相手に、甘えてたんだと思う。家に帰れば自分を慰めてくれる存在がいる。体温を分け合える存在がいる。それは、当たり前のことじゃない。
温もりを知って、はじめて孤独を知ることになる。
俺と『センラ』が同居を始めたのも奇妙な縁からだ。この生活もいつまで続くかわからない。あいつが突然、俺の前から消えたらどうしよう。そう考えたら、いままでの悩みなんか吹き飛んで『センラ』のことで頭がいっぱいだった。
それは、もはや共依存と呼んでも差支えのない関係になっていた。俺は、『センラ』を失うのが怖い。
リビングに顔を出すと、『センラ』は俺を無視して台所に立っていた。「なぁ」と声をかけても、無視される。それでもよかった。俺は、センラの背中に向かって心のうちを打ち明けていた。
「なぁ、聞いて。聞くだけでええから。」
「...」
「俺はな、俺が好きや」
「...なんやねん、なんで突然ナルシスト発揮してんの?謝るとか、先にすることあるやろ」
「俺は、俺が好きやから、多分な?お前のことも、好き...やと思うねん」
そっと、広い背中に手を伸ばせばぴくりと震えた。スキンシップに慣れていない、俺とおんなじ、不器用な男。もう、それでもいいから。
かよわい女の子を相手にするのとは違う。慰め方なんてわからないなりに、『センラ』の腰に腕を回して抱き付いた。
「その...ごめん、ごめんな。怖かったやろ。ほんまに俺、酷いこと言った」
「...」
「お前の存在価値がないなんて思ってへんし、なんなら、俺を存在する理由っていうか、そういうのにしてくれてもいいって思ってるから」
「は?どういうことやねん...」
「俺は、お前と一緒に生活しててなんていうか、まぁ、楽しいし、このまま続けたいって思うから。俺にそう思われてるってことを、分かって欲しい」
「...ふぅん?」
『センラ』の肩口に顔を埋めると、嗅ぎ慣れたシトラスの匂いがした。おざなりな返事をしながらも手元を動かし続ける『センラ』にムッとして、顔を上げる。
彼の手元には、二つのマグカップ。カップの中には、白い液体がなみなみと注がれていた。
「疲れた時には、ホットミルクやろ?」
惚ける俺をよそに、『センラ』は二つのカップを電子レンジに突っ込むと、戸棚を漁ってチョコレートのお菓子を取り出した。
「糖分が足りてへんちゃう?糖質が足らへんとイライラしちゃうこともあるらしいから。甘いもんいっぱいとって、休んだら頭もスッキリすると思うで」
温めが終わったマグカップをレンジから取り出すと、ハチミツをくるりと一周分回し入れてくれる。
リビングのダイニングの上にそれを置くと、『センラ』は椅子に腰掛けた。反対の椅子を指差しながら俺を見上げてくる。俺の癇癪も軽く受け流して、話を聞いてくれるつもりなんや。
胸の内を、よくわからない感情が込み上げてくる。
俺は気が付いたら机に手をついていて。衝動にまかせ、反対の手を『センラ』の頬に這わせていた。
「なに...?どうしたん?...ぁっ」
「ん」
『センラ』と唇が重なった。素面の状態では初めてするキスだった。軽く触れ合わせるだけの口付けだったが、十分に気持ちよかった。なんか、幸せホルモンとかそういうの、出てんやろな。
大人しく『センラ』も目を閉じて受け入れてくれた。
「...ハァ。自分同士でキスとか、ほんまきしょいな」
「お前唇たらこ過ぎるやろ。めっちゃぶるんってしてて嫌なんやけど?」
「お前こそ俺と同じ唇してんの忘れたん?特大ブーメラン突き刺さってんの気付いてないんや、ふーん?」
お互い素直になれないけど、言葉の裏にある本当の気持ちにはお互いに気付いていた。悪態を吐きながらも顔が近付けて、再度唇を重ねたのはどちらからだったか。どちらからでも良かった。
「え、なに、楽園......?」
志麻は宅飲みしようとセンラに声をかけて了承を貰い、彼の自宅にお邪魔していた。
まぁ......なかなか勇気が出ずにヘタレをかまして誘えずにいた俺を気遣ったのか、「お前ら二人で飲んだらいいじゃん」とうらさかの二人にせっつかれてようやく取り付けた約束だった。
志麻は、センラに片思いをしていた。結ばれなくてもいい、報われなくてもいいんやと蓋をしていた臆病な恋心。これから先も、よほどのことがない限り墓まで持っていく覚悟があるくらいには、長いことセンラに対して重たい恋心を引きずっていた。
夕方にお邪魔すれば、センラは張り切って色々とつまみやらお酒やらを用意してくれていた。俺も持ち寄ったお惣菜やお酒を机に並べていく。
そわそわしながら、時々スマホを確認して「あいつほんまに大丈夫やろな...?」と呟くセンラが少しだけ気になった。
お酒を飲み始めてすぐに、なぜだか玄関からガチャリと扉が開く音がした。その音を聞いてセンラがわかりやすく膝を揺らし始める。
貧乏ゆすりすごいことなってんで、センラ。大丈夫?え、強盗とかちゃうよな?と心配になっていれば、足音が近づいて来て。リビングの扉が開かれた。
「ただいまぁ〜〜うわぁ、お酒飲んでる。俺を差し置いて、ずるいことしてるわぁ」
「お前!音を立てずにそのまま部屋行けってあれほど行ったやろ!!」
「ここも俺の家なんやから別にええやろ。どうもはじめまして〜、折原と申します。お兄さんめちゃくちゃイケメンさんやねぇ」
志麻の前に現れたのは、センラにそっくりなもう一人の『センラ』だった。
え?センラが二人おんねんけど?黒髪でスーツがよく似合う、なんて言うか会社員の頃のセンラみたいなどことなく懐かしい風貌をしていた。
「え、え、センラ...?双子だったん?」
「ちゃうわ!!」
「まぁ、そう思うのも無理ないと思うけど。なぁ、僕もお酒ご一緒してもいいですか?」
「えっあぁ、どうぞどうぞ......」
「まーしぃ!流されちゃダメやって!」
「いやぁ、だって......」
お酒が飲みたいとおねだりしてくる懐かしい見た目をしたセンラ?に根負けして、あっさりと許可を出してしまった。
俺がいいと言った手前、センラもダメと言えないらしくセンラ?らしき人物も我が物顔で席に座った。
そこからは、何を話したかあまり覚えてない。ただ、『センラ』の存在が何者なのか、おまけに俺の相棒のセンラと同居していることを教えてもらった。
まじか。同居とか羨ましすぎる。
だって、毎日センラと顔合わせられるし長い時間一緒にいられるんやろ?運が良ければ一緒にお風呂も入れるかも。そんなの...最高すぎるがぁ??羨ましくて酒も進む。
そんなこんなしているうちに時計の長い針が一蹴していた。1時間もすれば、酒に弱いセンラが出来上がってしまっても無理はない。
「これめちゃくちゃうまいなぁーー!」
今日に限っては、どうやら社会人のセンラが酔っ払ってしまったらしい。妙なテンションでほっぺたをいっぱいにして咀嚼している。顔を赤くして目をとろんとした状態で体を揺らしていた。相棒のセンラも顔が赤いので多少なりとも酔ってるんやろな。
「なぁこれ食ったぁ?めちゃくちゃうまいでぇ?」
「そんなこと言って、お前が食ってるそれラスト一個のやつやからな。食べられへんかったやんけお前のせいでぇ〜〜」
「えぇ?あるやろ、食べたらええやん、俺のやつ」
「はぁ?お前...」
「はぁいお口開けてぇ〜、んん〜〜」
ふいに、酔っ払った黒髪の『センラ』が、俺のよく知るセンラの顎を掴んで思い切り唇をくっつけた。びっくりして目を見開くセンラに対して、『センラ』はうっとりと目を細めて、半開きの唇から食べかけのそれを流し込んでいく。
え...?俺は、何を見せられてるんや?
ここは、楽園ですか?
センラとセンラが口移ししてる。実質ちゅー。
センラ同士で。かわいいし、ちょっとエロいけど......えぇ??志麻はパニック状態に陥りながらも目の前で繰り広げられるエンジェル達の戯れをガン見していた。
「んっん、んんっ...」
「お前もう、まーしぃが、見てるんやから......」
「えぇ?なんでぇ?あほちゃう、別に見せたらええやん。ちゅーの一つくらい、するもんですよぉ酔っ払いなんやからぁ。仕方ないね、うん、うん......」
社会人のセンラは、お酒を飲みすぎると良くないと叱るうらたさんみたいな存在が近くにいなかったからか、自制が効かないようだ。赤い顔でまたすぐに酒の入った缶を煽っていた。
相棒のセンラが恥ずかしそうに、心配そうに止めるが遅かった。会社員のセンラは、空になった缶を机に置くと、ゆるゆると服を脱ぎ始めてしまった。
「えぇっ?!」
「あっついなぁほんまぁ〜〜こんなん着てられへん、別にええやろ、ここ俺の家やし〜〜フルチンでおっけーやし帰る必要ないし、自宅やから脱ぎ放題や」
「だからなぁ、お前まーしぃがいるのに脱ぎ放題したらあかんって!!」
「黒髪のセンラ、ダメな酔い方しちゃってるな」
「そうやねん。はぁ〜、ほんまにさ。俺がおんなじことうらたんの前でやったりしたら多分怒られてたで。怖い怖い」
甲斐甲斐しくすぐに服を着させられていたが、一瞬だけ見えてしまった。『センラ』のシャツの襟の下に無数のキスマークのようなものがあった。
虫刺されとは思えない。もしかして、社会人のセンラには恋人がいるんかな。それも、あんなに濃いキスマークなんかつけて、独占欲が相当強い恋人が。
そう考えた直後にまさかなと思う。
その相手が俺の相棒のセンラだったり......は流石にしないか。戸惑いなくキスしたり、スキンシップが苦手なセンラにしては珍しく常に距離が近い。
ありえない妄想でしかなかったが、もしそうだとして、志麻が抱いた感情は嫉妬ではなかった。
センラとセンラの濃密な絡み。うわぁ〜〜〜めちゃくちゃ尊いやん。俺の大好きなセンラが、センラとちゅーしたりイチャイチャしたりするわけやん?そんなのかわいすぎる。守りたい。絶対に俺が守ったるからなぁ!とオタクの血が騒ぐ。大概志麻は相棒に甘いし、チョロい。
「なぁ、俺ねむなってきたぁ」
「眠たいん?そんならさっさとベッド行けばええやん」
「ねむたいんやけど、でも、まだお前とお酒飲みたいからぁ、だからな?まだ寝ぇへんねん......」
目はほとんど閉じかけで眠そうな社会人のセンラを、愛おしそうに相棒のセンラが撫でた。......いやん志麻のことは完全に忘れられてる!眼中にないんやね、わかりました。もうそれでいいです。
「寝た?」
「ん、多分寝た。寝息聞こえてくるし。俺、布団に運んでくるわ」
「手伝う?」
「ええよ、大丈夫やから」
口ほどにもなく眠りこけてしまった『センラ』の体を支えて、相棒のセンラは立ち上がった。リビングを出て行こうとする腕を掴んで引き留められたら。
『センラ』みたいに、「君と一緒に飲みたい」って、「離れて欲しくない」て素直に伝えられたら、何かが変わるだろうか。
「...センラ」
「何?まーしぃ」
「ごめん、やっぱりなんでもない」
「なんやねんそれ。俺、行ってくるから」
...やっぱり、『センラ』とセンラのかわいすぎる絡みには割り込めません!だって可愛すぎるから!俺なんかが邪魔していい訳がない!!
今日も今日とて志麻はヘタレを発揮し、部屋に一人取り残された状態でロング缶の残りを喉に勢いよく流し込んだ。
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