[R18][SenSaka] 脱♡マシュマロボディ!
Author: じゃむに
Link: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22340059
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当小説はnmmnのものとなっております。
上記に関して理解の無い方はブラウザバックをお願い致します。
実際に存在する人物を扱っておりますが、ご本人様とは全くもって関係の無いものとなっております。
このことを全てご理解頂けた方のみ、読んでくださると嬉しいです。
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俺は、坂田のふわふわした柔らかい身体が好き。
もちろん、身体だけが好きなわけやない。
俺に「これ知ってる?」って聞いてきた時、俺が知ってても知らなくてもドヤ顔で嬉しそうに話してくれる表情とか。
メンバーと居る時は俺に恋人のように甘えることもせんし、むしろ無闇に近づいたら困惑したように俺を警戒するところも、可愛くて好き。
2人きりでも、さかたと恋人の雰囲気になることは滅多に無い。いや、アイツがただただそういう雰囲気に照れてしまって、口うるさいだけやけど。
その雰囲気を断つように手を握って顔を近づけると、うるさかったはずなのに一気にしおらしくなって、少し赤くなった顔で唇を見つめてくる坂田の表情には、何度見てもグッとくるものがある。
「……ぅ、せんら、ぁ、……?♡」
汗でぴとりと引っ付いた髪を指で撫でると、きゅ、と目を閉じてされるがままにしている。キスされるのかと思ったのか、俺が近づいてこない気配の薄さにそっと目を開けて、かぁ、と頬を染めた。
白い肌なのに、汗ばんでいるせいか火照っていて、少し赤い。俺が触れた部分は、ピクン、と跳ねた後に同じように赤く染まっていって。
__あぁ、ほんまに可愛い。
「んー……?なぁに、さかた」
「……っ、なんか、考え事、してたろ」
「…んん〜……可愛ええなぁって」
そう呟いて頬を撫でると、顔を更に赤くして目を逸らす。そういう仕草も含めて全部可愛いの、コイツは気づいとるんかな。
「……っぁ、う゛ッ、♡」
「ね、さかた。もっかいシよ」
俺の腰に巻かれていた足を離して、肉付きの良い太ももの裏を掴む。
ぐぷ、と今よりもっと奥まで熱を挿れこめば、坂田の目がチカチカと大きく開くのが分かって、ナカの強い締めつけにくすりと微笑んだ。
「ぁ、!?っひぅ、ッ゛〜〜〜……っ♡♡」
「……っ、は、キツ……」
___気持ちいい。
表情と、ナカの壁の締め付けと。
見えるところと、見えないところの全部から、俺に気持ちいいと伝えてくれるのが嬉しくて。飽きることなく喰い尽くしたくなる、この柔らかい身体。
俺の、俺だけが触れていい身体。
「ぁ、せん゛、っぁ、ぁあッッ、!♡♡」
ぐちゅ、ッぐぽッ♡♡
熱を出し入れする度に、甘く部屋中に響く卑猥なローションの音が、俺と坂田の興奮を高めていって。柔らかくて弾力のある太腿を掴む俺の力が、どんどん強くなっていく。
「んぁ゛ッ、ォ、ひぐッ……!♡♡ヒ、っぁ、!!♡♡んん゛ッまたいっちゃ゛ッ、〜〜〜〜〜ッは、ぁ゛ッ……♡♡゛」
ビクン__ッ!♡♡と大きく痙攣しては、腰を上げて反ったまま絶頂する。
ガクガク、と全身を震わせて、息が忘れていたかのようにはくはくと必死に呼吸をして。
俺と付き合ってセックスするようになって、坂田は格段にエロくなった。
今だって、メスイキで達したんだ。坂田のちんぽからは、ダラダラとカウパーが腹に流れ出ているだけ。
きゅん、と奥を締め付けて、まだ欲しいと言いたげに俺の熱を求めるそのナカを、俺は休ませることなくドロドロに溶かすのが好きや。
「〜〜ッぁ、゛ッ!?!゛♡♡やら、まっれ、ぇ゛ッ♡♡せんら、せんらぁッ゛♡♡゛」
この柔らかくて指が食い込まれる太ももも、ぷっくりと主張している乳首も、俺の名前を呼ぶ少し枯れた可愛い喘ぎ声も。
全部、全部俺のものや。
「ぁ、いく、゛ッ♡♡いきゅ、ぅ、ッ〜〜〜ッッ♡♡゛」
「っぁ、ッく、俺も出る…………ッ♡」
「〜〜〜〜〜ッッはっ、ぁ、゛ッ♡♡」
がばりと坂田に覆い被さるように抱きしめて、ゴム越しに熱を放つ。
俺の腰にぎゅぅっと足を巻き付けて大きく痙攣する坂田の太腿が密着して、それがすごく柔らかくて。
汗でしっとりした、このむっちりな太ももを触れるのは、俺だけなんやと実感する。
「っ、はぁ、っ、ん、…♡」
「………………さかた」
余韻を噛み締めるようにゆるゆると腰を動かす俺は、その動きでピクンと震えている坂田の名前を呼ぶ。
すぐ近くにある俺の顔を、とろんとした甘い瞳で見つめてくるのが可愛くて仕方なくて。
唇を近づけると、何をされるか分かったのか、期待したように目を細めてゆっくりと閉じる。キスも普段なら恥ずかしがって嫌がるのに、セックスの最中は素直に受け入れてくれるのだから、可愛いがまたひとつ更新されていく。
「……ん、ぅ、……♡」
狙ってるんじゃないかって思わせてくるくらい、甘くてエロい声。唇に触れるだけじゃ足りなくて、触れることを許された坂田の口内に舌を入れて、弱い所を攻める。
上顎も、歯も、坂田は弱いんやもんね。
「……ん、っ、ぅ、……ふぁ、♡♡」
俺と坂田の唾液が溢れ出して頬を伝って、それでももっと坂田の口の中を堪能する。
きゅぅ、……♡と俺の熱を再度締め付けてくる坂田のナカは、どれだけ欲しがりさんなのだろう。その締めつけを感じて、むくむくとまた俺の息子が元気になり始める。
「……ぁ……っ、♡せ、ら、おっき、」
「ん……さかた、俺のちんぽ、おっきくするのじょーずやねぇ」
「な゛……っ、!」
耳元でそう囁くと、真っ赤になってわなわなと震え出す。その可愛い表情にくすりと微笑んで、また耳元に唇を近づける。
「もっと締め付けて……ぎゅーって、」
「ふ、ぁ…………ッん♡」
「は、……ん、そう、ちょっと緩めて、俺が動いたらまたきゅっとして、」
「はぁ、……っ、ん、ん、♡」
自分がどれだけ恥ずかしい命令をされているのか、坂田は気づいているのだろうか。
俺の声に格段弱い坂田は、耳元で囁かれるだけでとろんと目が蕩けてしまう。俺の言うことをしっかり聞いて、気持ちよく締め付けてくるその上手さに、ごくりと息を飲んだ。
「太もも、俺の腰にきゅってできる、?」
「……こ、ぉ、……?」
「ん。さかた、ほんまムチッとした足しとるよなぁ」
「〜〜〜ッな、……ッ!!」
俺の言葉に顔を真っ赤にした坂田が、慌てて俺の腰周りに巻き付けていた足を離してしまう。その逃げた足を手で掴んで、ぐ、と坂田の方に押して開いた。
俺の手で無理やり恥ずかしい格好にさせられてしまった坂田が暴れ出す前に、俺はグポッ゛♡♡と坂田の最奥に熱を押し込んだ。
「ォッ゛、〜〜〜〜ッ゛、!?!゛♡♡♡♡」
「あは、ッ、♡さかたぁ、もっかいしよーな♡」
「ぁ、やらぁ、゛ッ゛♡♡ふともも、や、ぁア゛ッッ゛♡♡」
太ももを触られるのが嫌だと、半泣きで懇願する坂田。
こんなムチムチなエロい身体しといて今更恥ずかしがるとか、ほんま可愛ええ奴。
それに尚更興奮して、さっき熱を吐き出して取り替えていないゴムのまま、坂田のナカをもう一度ぐちゃぐちゃに犯した。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
____ダイエット、しなくちゃ。
そう坂田が確信をついたのは、センラに頭も身体もとろとろに溶かされた次の日だった。
センラは、俺の身体を触ることが好きだ。隙をつけばキスをして、身体の至る所に触れてくる。
正直、そんな変態に俺の心が持ったもんじゃない。
俺はいつまで経ってもドキドキして慣れないのに、センラはどんどん俺の奥に入ってこようとして聞かない。そんなセンラが生意気だけど、それに勝てないくらいに可愛さを感じてしまって。
最終的には、いつもセンラと同じかそれ以上にセンラの身体を求めてしまうのだけれど。
(さすがに、この身体はあかんやろ)
お腹もかなりたるみ始めて、二の腕だって柔らかくて。太ももはズボンを履いていても分かりやすいほどムチッとしてる。
いくら着痩せしやすいタイプだからといって、これはやばい。
俺がこんな身体になった理由も、アイツのせいだ。
性行為で体力を使い果たす分、夜中にお腹を好かせることが多くなった。
夜にラーメンだなんて、禁断でしかないのに。腹が減って仕方がない俺は、性行為が終わるといつもラーメンか何かを食べてしまうのだ。
これも、センラがいつも俺のために作ってくれるから。アイツの作るラーメン、美味すぎやねん。ほんま腹立つ。食わんわけにはいかんやん。
「坂田、今日もなんか食うか?」
ベッドの上で布団を被って蹲っている俺に、トントンと布団の上から優しく叩いてくるセンラ。
その声にほんの少し顔を出すと、俺の顔を目で捉えたセンラはふわりと甘く微笑んできて。
ほんま、センラは自分がどんだけ緩んだ顔しとるんか気づいとるんかな。まぁ俺も、鏡を見たら人のこと言えんの分かっとるんやけどさ。
「食わん。太る」
「……今更やん?」
「うっさいわ!お前のせいやぞ!」
「はぁ?何で俺のせいやねん。……てか、んなもん今更気にせんでええやんか。食いたい時に好きなもん食う精神やなかったん?」
そうやけど、そうやけど!!!
むす、と眉間に皺を寄せて睨み上げると、子ども扱いするかのように頭をくしゃりと撫でてきた。
「お前、別に気にする程太っとらんで?」
「……ムチってしとるって、せんら言った」
「あれはお前の身体がエロいって話やろ」
「〜〜ッ、!?!、ッッ意味わからんて、!!!センラのあほ!!!!!!!」
真っ赤になった顔を隠すかのように布団を被りながら、目の前にいるセンラの身体をドンと強く押し倒した。
尻餅をついたセンラが俺にブツブツと何かを言っていたけれど、そんなもの耳にする必要などないと感じて、ただひたすら布団の中で熱くなった目頭とツンとする鼻の痛みを堪えていた。
センラは意地悪だ。そして、それ以上に優しい。
俺への慰め方はどうにかしてほしいものだけど、何よりもいちばん、俺を見てくれてるってのは分かる。
だから俺が好きなものを好きなだけ食べたがる奴だってことも、最近ふくよかになってきた俺の身体を性的な目で見てくれるってことも分かってる。
でも、俺が頑張って身体を絞って、今よりかっこいい男になれたら、センラはもっと俺に夢中になってくれるんやろうか。
(……もっと、センラに見てもらいたい)
本人には、絶対そんなこと言ったらんけど。
こんな俺だって、これからもずっとセンラに求められていたいのだ。
このままやったら、俺はずっとセンラと自分の欲に甘えたままで、今は良くてもいつか見放される日が来るのかもしれない。
(そんなの、嫌や)
一人でいるのは好きだけど、センラが傍におらんかったら、寂しいに決まっとる。
身体も心も相当コイツに絆されてしまったのだ。俺の恥ずかしいところばかり見て、スッキリして俺の元から去るなんてことは絶対に許さない。
(本気でダイエット、する。)
このムチムチなボディから、必ず卒業してやる。
「___で、俺にダイエット法を教えて欲しいと」
ずず、とストローを使って飲み物を飲み干すメンバーの一人を見つめながら、目の前で手を合わせて頼み込む。
「うらさんのストイックなダイエット法、俺に教えてください……!!!」
「…さかたが俺と同じことやったら、お前力尽きて倒れそう」
カロリーを気にして、一日の食事量を気にして、筋トレもして。もっとかっこよくなるために頑張ってるうらさんを横目で見てて、ストイックな行動に驚きつつもそれが彼であると感心していた。
うらさんのやってる身体の絞り方は正直、俺とはかなり相性が悪いと思う。好きなものを好きなだけ食べたい俺が、果たしてうらさんのダイエット方法で成功できるんやろうか。
「食ったらすぐリバウンドすんぞ」
「……そーよねぇ」
「マックでバーガー三つ食べたら一瞬で元通りだろうな」
「ぅぐ……ッた、食べちゃあかん、ってこと、?」
「んや、一日の食べる量とカロリーが限度を超えなきゃ大丈夫だろ」
てか、ほんとにバーガー三つも食べる気かよ。なんてからかいながら笑ってくるうらさんに、俺は冗談なんかじゃないと蹲る。
食欲に抗うことなんてできるんかな。常に自分に甘くあっていたいから、ご褒美でたくさん食べちゃうなんてことはざらにあるし。
うらさんのダイエット法を伝授されながら、その過酷さに心がへし折られそうになる。
「お前が本気でやるって言うんなら、一緒にやろ」
そう言ってくれる二歳年上の相棒には、感謝しかない。うらさんがこのダイエットに付き合ってくれるのなら、きっと俺も苦痛を耐え抜いてダイエットを成功させることができるだろう。
「……ッし、やる!!!ダイエットする!!!」
「途中で逃げ出したら承知しねーかんな」
「……ひぇぇ…………」
このスパルタな指導をするだろううらさんに任せていれば、俺はきっとむっちりボディから引き締まったかっこいい身体を手に入れられるはずだ。
センラに喜んでもらえるために。自分に自信を持てるために。
ぎゅ、と拳に力を入れて、自分自身に強く喝を入れた。
それからは、俺にとって過酷すぎる日々が続いた。
うらさん流ダイエットのスパルタさは何となく想像していたから、そこまで苦になることはなかった。
うらさんは優しいから、俺が好きそうなダイエット食品ばかり紹介してくれたし、自分の目でも実感できるほど身体が痩せていくのが分かって嬉しくなった。
身体が引き締まっていくのに反して、俺はセンラとの接触を極端に避けるようになった。
こんな中途半端な身体じゃなくて、ちゃんと完璧になった俺に触れて欲しかったから。
俺は嘘をつくのが下手だし、センラは何かを察する能力が高い奴だ。だからどれだけ俺がぎこちない避け方をしたって、センラから特に何か言われることは無かったけど、俺はとっくに我慢の限界を超えていた。
(……もうどれぐらい触れてないんやろ、)
抱き締めたい。キスをされたい。触れたい。触れられたい。
愛欲、性欲。まさかダイエットをすることで、食欲よりも勝る欲が次々に現れるなんて思ってもいなかった。
ダイエットをする前までは、十分なほどにその欲が満たされているのが当たり前だったから、その欲が俺にとって大きいものだなんて気づかなかったんだ。
「…………ッ、ん、」
わざわざ風呂場で準備をして、ベッドシーツの上にバスタオルを敷いて準備万端の状態で自慰行為に至るくらいまで、俺はその欲に満たされたくてしょうがなかった。
センラとは、同棲などしていない。未だ四人で活動しているのだから当たり前だとも思う。
俺がダイエットを始めるまでは、頻繁に互いの家に訪れて夜が明けるまで身体を重ねていたものだ。それが今になっては、スマホも玄関も音沙汰なし。
そんな寂しさを気の紛れだと思わせるには、自慰行為をすることくらいしか俺には思いつかなかった。
「…ッ、ん、っふぅ、……ッ」
うつ伏せの状態で、膝を立てて尻を浮かせる。専用のローションを溢れるほど付けた手で、キツく締め付けている疼いたソコの入り口を指で撫でた。
「……ん、……ッん、……♡」
センラは、指であれ自身の熱であれ、たくさん焦らして俺に求めさせるのが好きだ。
蕾の周りをくるくると指で愛撫するのが好きだし、俺にえっちな言葉を無理矢理言わせることも好き。
変態極まりないはずなのに、今はその大きくて熱い手のひらと声が、俺の近くに居ないことに寂しさが募っていくだけだった。
「……ッぁ、んっ、せんらぁ……」
クチ、クチュ、と蕾の周りを指で擦って、刺激を欲しがって口を開けたり閉じたりしているソコをトントンと指で叩く。
ローションがその入口と指を繋ぐように糸を作って、まるでそれが熱を欲しがって溢れる唾液のようで顔が赤く染った。
「ん、ン……ッ♡」
ゆっくり目を閉じると、妄想の中のセンラが俺の上に覆いかぶさっていて。
耳元で囁いてくる憎たらしいほど愛おしい声に、俺は嬌声が大きくなった。
「はぁ………………ッひ、ぅ、♡♡」
___まだ指も入れとらんのに、えっろい顔。
「はっ、ッはぁ、ぁ、ぅ、……ッ♡」
___指、ナカ入れたらふやけそうなくらい熱いで、ココ。
あぁもう、うるさいねん。
はやく指でもなんでもいれてや。こっちがどんだけ恥ずい格好しとると思っとんの。
いつもならそう言えるはずの口も、ぽっかりと開けたままで嬌声を上げることしかままならない。
だってそうだろう。今、俺の上に覆い被さるものは居ないのだから。
「…………ッく、そ」
俺からアイツを避けてるはずなのに、俺がこんなに寂しくなってどうするんだよ。
出したくもない涙は頬を伝うことをやめてくれないし、後ろが疼く感覚も止んではくれない。
あぁ、お腹が減った。眠くもなってきた。アイツ、今頃何しとんのかな。俺のこと、少しくらい考えてくれたりしたんかな。
センラの声が恋しくて堪らなくなって、枕の横に放り投げていたスマホをローション塗れになっていない方の手で掴む。
センラの呟きを見ると、ちょうど配信を始めたところだと分かって、俺はほんの少し躊躇いつつもその配信視聴ボタンをタップした。
『んしょ…………ん、こんばんは〜』
ワイヤレスのイヤホンを耳につけると、センラの声が耳にダイレクトに響いて、それだけで心臓がギュッと掴まれるような感覚になる。
イケナイコトだと分かっていても、今の俺は何もかも欲求不満で、物事を正常に判断できる力は明らかに低下していた。
少し乾いてしまった手のひらにもう一度ローションを塗り込んで、呼吸を整えながら指を後ろに這わせる。
『今日は暑かったですねぇ〜。気温が日によって差がありすぎるの、どうにかなってくれへんかな』
「……ッん、……ふ、ぅ、」
声を抑える必要なんてないのに、センラの配信を聴きながら一人ですることに何となく罪悪感が募って、唇を噛んで声を殺した。枕に顔を埋めて外からの音を遮断し、イヤホンから聞こえてくるセンラの声だけに集中する。
『もうすぐプールとか海とかが混む季節になりますねぇ』
「……ッぁ、は、ぁ……ッ」
さっきまで焦らしに焦らしていた指を、ゆっくりと蕾のナカへと飲み込ませていく。久しぶりの感覚に喜ぶみたいにきゅうきゅうと締め付けてくる自身の肉壁に、俺は恥ずかしさでいっぱいでまた涙が出そうだった。
「…………ッ、は、……ッん、……♡」
『そうやんなぁ!……ふふ、はいはい』
せんら。……せんらだ、
久々にちゃんと聞けた声に胸が熱くなって、奥まで飲み込んだ指をゆっくりと前後に動かした。
自分でするなんて、しかも後ろを弄ることなんて滅多になかったのに。クソ。あほセンラ。そんで、センラに八つ当たりする俺はもっとアホで救えない。
会いたい。ダイエットなんかより、センラに会わないようにしたことのほうが何倍も辛い。
でもこんなことセンラに言ったら、きっとずっとからかわれることになるんやろうから言わないけど。
「っぁ、……ッら、せんらぁ……っ♡」
尻を突き上げて、まるで猫が腰を叩かれることをせがむかのように腰をゆらゆらと揺らしながら、もう一本指を追加してナカに入ったローションを掻き混ぜるように動かす。
時折イイところに触れる度に腰が引けて、センラとする時は俺が逃げないように腰を掴まれて執拗に弱いところだけを弄られていたことを思い出した。
「〜〜ッぁ、?!゛♡……ッふ、……せ、らぁ……ッ゛♡♡」
意図なく前立腺をグリッ♡と押してしまって、目を大きく見開いて呼吸をするのを一瞬忘れてしまう。
首を下に向けて下半身を覗くと、完全に反り勃った自身のソレから床に敷いていたバスタオルにカウパーが垂れ落ちていて、太ももにもローションが垂れている卑猥な姿にカァ、と顔が熱くなった。
「ん、んっ゛……ッ♡……ッぁ、い、く、」
ぎゅぅ、とシーツを握りしめて、自身の指から与えられる刺激にラストスパートをかけるかのようにカクカクと腰を揺らす。
あっという間に絶頂の波が襲ってきて、声を押し殺して足の指先をピンと張った。
「____ッッ、く、ゥ゛……!♡♡……ッん、ッは……ッは、ぁ……♡」
ピンと張った糸が切れたみたいに、身体が痙攣した後に力が緩んでいく。
前を触らないでイッたからか、自身の熱がかなり苦しそうに張り詰めていて。溜まっているものを解放するかのようにシュ、シュ、と何擦りかするだけであっという間に達した二度目の絶頂は、先程の絶頂よりも俺の火照った身体の熱から解放してくれるようだった。
「…………はぁ…………くそ……」
敷いていたバスタオルで身体を少し拭った後、それを丸めて床に投げ捨てて、とてつもない虚無感と罪悪感に襲われる。
火照った身体はまだ冷める様子はなくて、後ろの蕾はまだヒクヒクと疼いて熱を欲しがっている。
「…………センラ…………」
『____イッちゃったん?』
「……っ、え」
射精をして頭が冷静になってきたからか、突然耳元に聞こえてきた声に慌てて飛び起きた。
辺りを見渡してもセンラの姿はなくて、未だ耳につけていたイヤホンから流れてくる配信の声だと気付いた時には、この姿を見られなかった安心と会えない寂しさでどうにかなってしまいそうだった。
『そんなん“言った”らアカンと思いますよ〜?友達に伝える時は__……』
(……いっちゃうって、そっちね)
ふは、と思わず溢れてしまう笑いが、ほんの少し涙声を含んでいたように聞こえて、慌てて枕で顔を埋めた。
もう配信を聞くのを止めようと思ったけど、このままだと本当にセンラの声を使って自慰行為をしただけになってしまうのが嫌で、センラの配信の声を極限まで小さく流しながら眠りについた。
寂しくて仕方なくて、センラの声を聴きながら寝落ちしてしまったなんて知ったら、アイツはどんな風に俺をからかうんやろう。
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《ついた。開けて》
文字を打つ手がほんの少し震えている気がして、そのメッセージを送った後、きゅ、と手を軽く握りしめた。
俺は今、センラの家の玄関前に立っている。エレベーターでとっくに覚えてしまった階数を押すのも、こうやってセンラにメッセージを送るのも酷く久しぶりな気がした。
ここに訪れるのは、一体いつ以来だろう。
スパルタ教師のうらさんが俺のダイエットをかなりアシスタントになってくれて、日々過酷な時を過ごしていた。
一気に体重が落ちることもあれば、なかなか落ちない停滞期もあったりして。とりあえずここまで落としたいと思っていた目標にギリギリたどり着けたから、俺は緊張しながらセンラに連絡を入れたんだけど。
(……緊張する)
連絡を入れた時も、どうやってセンラにメッセージを送っていたのか思い出せなかった。前までは何気なく思っていた会話も、全部が全部新鮮で特別に思えてしまう。
何度も打ち直しながらやっとのことで送ったメッセージは、五分後に返された《了解》の二文字だけであっという間に終わってしまって、ほんの少しだけツキンと胸が傷んだのだけれど。
(……どう思うかな)
減量することよりも、身体に住みついてしまった肉を減らすことを重視してダイエットを心がけた。
今の俺の太腿は、決してムッチリなどしていないはずだ。二の腕だってお腹だって、柔らかさが軽減されるように頑張った。
これならきっと、センラもすごいなぁって褒めてくれるはず。もっとたくさん、俺のことを触ってくれるはず。
触ってくれる確信なんてないけど、かっこいい引き締まった身体に触れたくなるってことは、俺が身をもって知ってる。俺がセンラの身体に触れたいみたいに、きっとセンラも、俺と同じ気持ちだと思うから。
ガチャ、と扉の開く音に意識が戻って、ハッと顔を上げる。
目の前には、毎日ずっと頭の中で思っていたセンラの姿があって、俺をまっすぐ見つめてくる瞳に思わず目を逸らしてしまった。
「……ぁ……ひさ、しぶり」
「……久しぶり。」
「…ぇ、と」
「とりあえず中入ってや」
扉が大きく開かれて、俺はこくりと頷いて家の中に入る。
やばい俺、有り得んくらい緊張しとるかも。久々に来たかと思いきや挙動不審な俺見て、コイツが変に思わんわけないやん。
じとりと汗が滲んできて、こういう時に溢れてくる汗ほど嫌いなものはないと改めて痛感した。
「……ぁ、あのなセンラ」
「…………」
こういう時って、何から言えばええんやろ。
俺が変わったこと、気づいたかな。それとも、理由も言わずに避けてたことを怒るかな。
何か言わなきゃ、と目をギュッと瞑ると、腕がぐいっと引き寄せられて、ふわりと胸元に抱き寄せられた。
「……っ、せん、ら?」
「…………」
ぎゅぅ、と強く抱き締められて、久しぶりのセンラの体温と匂いに思わず下半身が反応してしまいそうになる。久々に会って早々、何もしていないのに玄関で勃起とか、あまりに有り得んすぎる。
それを気付かれないようにそっと腰を引きながらも、抱き締めてくれたことが嬉しくて堪らなくて、そっと背中に手を回して受け入れた。
____あぁ、せんら、……センラだ。
肩に顔を埋めて、ゆっくりと呼吸をする。
悔しいけど、こいつの腕の中は息がしやすくて心地がいい。張っていた緊張の糸が解けていくみたいに、俺は次第に擦り寄っていった。
「………坂田」
「………?……んむ、っ、」
名前を呼ばれて顔を上げると、軽いキスを落とされる。何度もバードキスを重ねているうちに深くなっていって、気づけば背中に添えていたはずの手のひらはセンラの手に絡まって、ドアに押し付けられてしまっていた。
「っ、ん……ぅ、へ、んら……ッ」
名前を呼ぶこともできないくらい、激しい口付けを交わして。
追い詰められて、センラの足が股の間に擦り寄ってきて、まだハグとキスしかしていないのに興奮してしまっている自身を膝で触られる。
ビクッと震えた俺に、すり、と何も言わずにズボンで擦ってくる仕草で、俺が興奮してることに気付かれてる羞恥心が溢れて堪らなかった。
「……ッは、ぁ………せんら………」
絡まった舌どうしが離れて、てらてらと光る唾液の糸をぷつりと切る。
息が上がって頬を赤く染める俺とは違って、センラは静かで表情があまりよく見えない。
どうかしたのかと思ったのも束の間、俺の身体はいとも簡単にふわりと浮き上がって、センラに横抱きされたままどこかに向かって真っ直ぐに歩き出されてしまう。
(……!)
その足の行先は俺も行き慣れた寝室で、センラの首に回していた腕を思わずきゅ、と強くした。
いつものようにゆっくりと優しく下ろされるかと思いきや、ドサリと俺をベッドに落とすみたいな降ろされ方をされて、ギシッ、とベッドが悲鳴をあげる。
「っ、……っ、せんら、?」
名前を呼んでも返事はなく、俺の上に容易に覆いかぶさってきたセンラは、また俺の腕を両手で拘束しながら唇を寄せてきた。
ギチ、と強く握り締められた腕と無言の圧にほんの少し怖くなって、思わず顔を逸らしてしまう。
「……っ、」
「………なんで避けるん」
「え……?」
「キス、好きやろ。避けんなや」
腕を片方の手で拘束されて、自由になった手で俺の顎に触れてくる。
無理やり顔を向けられて、歯がぶつかりそうな程勢いよく口付けられた。
「ッん、ぅ……ッ」
閉じていた唇をこじ開けられて、酸素ごと奪うように俺から呼吸する手段を奪っていく。
二人の唾液が溢れて、俺の口の端からとろりと溢れていく雫を感じながら、抵抗することもできずにただ経験のない乱暴なキスに翻弄されていた。
「っん………ッ、!?ぁ、……ッん、!」
顎を掴まれた手が離れたかと思いきや、下に履いていたスウェットのズボンを片手で簡単に脱がされてしまい、突然ひんやりとした空気に触れて思わず口の中で溢れていた唾を飲み込んだ。
下着ごと脱がされたのだと分かると、乱雑に服を放り投げ捨てられて、何も身につけていない生身の下半身を膝で押し潰される。
「んッッ、!?゛ぁ、いだ、ッ!せんら、ッゃめ」
「興奮しとるくせに。連絡してきた時から、こうされること期待しとったんやろ」
「……ッ、ちが、」
「……ふ、目逸らしちゃって。ほんま変態やなぁ、坂田?」
グリッと強く膝で押されて、痛いと気持ちいいがせめぎ合う。
下半身を露出して両手を拘束されている俺に比べて、何一つ衣服を脱いでいないセンラとの違いに、俺は耐えきれずに目を強く瞑った。
それを許さぬように何度も下半身に刺激を与えてきて、腰を逃がせばまた捕らえられて、センラのズボンの膝の部分は既に俺の体液が広い範囲に染みていた。
「ぐっちゃぐちゃやん。坂田って結構マゾやんなぁ。いつもより興奮しとるんとちゃう?」
「ッい゛ッ……!ひ、やだ、ッせんら、ぅ、」
「膝グリグリするだけでこんなんなって……勝手に気持ちよくなってもらっちゃ困るんやけど」
これ、お仕置きだってこと気付いとんの?
その言葉に思わず目を向ければ、俺を見下ろすセンラは無表情で、それがとても怒っているように見えた。
おしおき、?なんで、そんなの、
長い間それに放心していると、小さく溜息をついたセンラが体制を浮かして、俺の熱を包むかのように靴下を履いた足を置いた。
それに思わずヒュ、と息を飲み込むと、抵抗したら踏み潰すから、なんて冗談なのかも分からない物騒なことを言って俺の下半身を足を使って弄んだ。
「ひッ……!……っ、せんら、」
「こんな状況なのに、坂田のちんぽは相変わらずえっちやなぁ。ガチガチやん」
「……ッぅ、う……ッ」
「大丈夫。ええ子にしてれば、何も痛いことせんよ」
敏感な先端を擦られて、ぐちゅりとセンラの靴下に俺の先走りが糸を引く。
グレーの靴下だから俺の熱のせいでどんどん染みていっているのが俺でも分かって、あまりの恥ずかしさにボロボロと涙が零れ落ちた。
苦しい。辛い。怖いのに、どうしようもないくらい気持ちいい。
ふるふると首を横に振りながら下半身の刺激に意識を持っていくと、くすりと微笑んだセンラが俺の好きなカリ首の裏を足の指で撫でた。
「ぁう、ッうぅ……ッ」
「気持ちい?坂田」
「ッひ、……ッぅ、……く」
「気持ちくないわけないよな。……俺の靴下、ぐちょぐちょやもん」
羞恥に耐えきれずに足を閉じようとすると、抵抗してもええの?、なんて甘い声で囁かれて。
抵抗した末を想像して、震えながらふるふると首を振っては自分で股を開く。瞼からは涙が滲んで、こんな無様な姿をセンラに晒して嬌声を出すことしかできない。
「……なぁ、坂田」
「……ッ」
「……………俺が、お前に避けられても何とも思わんと思っとったんなら、お前は俺のこと理解して無さすぎや」
「……ぁ、……ッ」
やっぱり、やっぱり怒ってたんだ。
俺が勝手にダイエットすることを決心して、喜んで貰えるって決めつけて避けて、終わったらノコノコと現れて、玄関ですぐに興奮しちゃうような俺に、センラは呆れとるんや。
謝りたいのに、センラの足から与えられる刺激がそれを許してくれなくて。
「……こんな痩せ細って、俺の知らん坂田になって突然来られても、腹立つだけやねん」
「ッひ、ぅ……ッぁ、せんら、ぁ、ッ、」
「なぁ……誰にこんな身体にしろって言われたん?」
なんで。せんら、俺がダイエットしたことに怒ってる。
もしかして、好きじゃなかった?俺のこの身体、もう興味なんて無くなっちゃった?
「ねぇ、坂田」
「ひ、ぁ゛……ッ、!!ぁ、や、あかん、せんら、ッぃッひ、!」
「イけや。俺の足で乱暴に扱われて善がっちゃう淫乱おちんぽ、満足させたり」
「〜〜っ、ひ、……ッ!!!ぁ、ッ゛ぅ、ぃく、でる、ッ〜〜〜〜〜〜ッ゛ッ、……!!!♡♡」
びゅぅッ!と勢いよく溢れた精液は、センラの靴下にべっとりとこべりついた。
腰を浮かしたりベッドに沈めたりを何度も繰り返しながら痙攣していると、ようやくおさまった射精でまだ熱の先に残っていた精液を拭うように靴下を履いた足で触られる。
ぐちゅ、ぐちゃ、と淫らな音が響いて、また身体がふるりと震えた。
酷い有様になった靴下を脱いでベッドに放り捨てたかと思いきや、俺の手を拘束していた片手をゆっくりと太腿に伸ばして、すり、と手を這われた。
「……ッ」
いちばんダイエットで頑張った、太腿。
やっとセンラの手で触って貰えると思えば、ほんの少し触れただけで、そこを避けるように離れていく手のひらに、俺は耐えきれずに涙が溢れてしまった。
「〜〜ッぅ、……うぅぅ……ッ゛……」
「……え?……ちょ、坂田?」
「っひ、く、……ッうぅ、……〜〜ッぅぅう゛……ッ!!!!」
バカ。センラのバカ。大バカ野郎。
そんで、俺はもっとバカ。絶対、センラに嫌われた。
こんな自分の泣く姿を見られたくなくて、俺は真っ赤になった顔を両腕で覆い隠す。
好きでセンラからわざと避けたわけやないって、そう思ってくれるって勝手に考えて。結果的に怒らせて、乱暴にされても興奮して、でも身体には一切触ってもらえなくて。
もう、センラに触ってもらえないんや。
「ごめん、…意地悪やった」
子どもみたいに泣き喚いて止まない俺の身体を起こして、胸に引き寄せて抱き締めてくれた。
頭と背中を撫でる手は子をあやすかのように優しくてあったかくて、それが余計に俺の涙を溢れさせる。
「……そんな泣かんとってや……俺の心持たん」
「……ッず……誰が泣かしたと思ってんねん゛…」
「ごめんって、…許してや」
きゅ、と抱き寄せるセンラの腕は優しくて。
俺の身体に拒絶されたわけではないことに安心して、そっと背中に手を添えた。
「…っ……太腿触るん、なんでやめたん」
「…ぇ?」
「っ、やから!……ッ太もも…触るのやめたやんか」
いつもならあんなに、俺が嫌がって泣いても好き勝手触るくせに。
やっぱり、もうあかんのかな。俺の身体、センラの好みや無くなったんかな。
そう思うと自然にまた涙が溢れてきそうで、慌ててキュッと力を込めて堪える。
俺、こんな女々しいやつやったっけ。センラにちょっと触ってもらえんかっただけで、こんな不安になって泣くやつやったっけ。
「…坂田が太腿触られるん、嫌になったんかと思って」
「……は、?」
「やなかったら、こんなほっそい身体になって俺ん所来るわけがないって思ったから」
ガシガシと頭をかいて目を逸らしながらそんなことを言ってくるセンラに、俺は頭の中での理解が追いつけなくて何度も瞬きを繰り返した。
そんな俺の様子を見て癇に障ったのか、俺を少し睨みながら話す声を低くする。
「俺がお前のむっちりふわふわマシュマロボディが好きなんは、お前がいちばん知っとるやろが!」
「っな、ッむっち、ふわ……ッま、マシュマロ!、?!!?!」
「俺が散々そのえっろい身体に教え込んで俺専用のマシュマロに育て上げたんに、俺のこと避けたかと思いきやこんなほっっそい身体でノコノコ帰ってきよって」
眉間に皺を寄せたままブツブツと話し続けるセンラに、俺は堪らずに顔を赤く染める。
大体マシュマロボディってなんやねん。食べ物と俺は同類なんか。同い年の男にマシュマロなんて言われて、からかわれとらんって思う方がおかしすぎる。
「っま、しゅまろって、悪口ちゃうん」
「はぁ?……はぁ、何言っとんの」
呆れたように溜息をついたセンラが、そっと手を頬に添えてくる。
キスをされるのかと思ってキュッと強く目を瞑ると、甘ったるい笑い声の後に柔らかい感触が唇に触れて、今日初めてされた優しい口付けにほわほわと身体が柔らかくなっていった。
「…柔らかい唇とか、真っ白な肌とか、柔らかい二の腕とか」
「……っ」
「…柔く摘むとふわふわして柔らかいし、全身赤ちゃんみたいな肌触りしとるし」
赤ちゃんみたいってなんやねん。やっぱりからかっとるやんか。
そう言い返したいのに、俺に触れてくるセンラの指があまりに熱くて優しくて、次はどこを触られるんだろうなんて期待することしかできない。
「……普通に触るだけでこんなんやのに、ベッドの上で触れると全身熱いし、ふわふわなのにとろっとろに蕩けとって、マシュマロみたいでえろすぎんねん」
「……っ、」
熱の篭った瞳で俺を真っ直ぐに見つめてきて、首から上が熱くてどうしようもなくなる。あかん、多分俺、今顔真っ赤や。
「…ッ、マシュマロのことえろいとか言うん、お前だけやで」
「俺はマシュマロがえろいなんか言っとらんわ。マシュマロみたいなお前がえろくて甘くてたまらんって言っとんねん」
「……っ」
なんだ。なんなんだよ、コイツ。
俺のことそんな風に見とったん、全然知らんかった。
性行為の時に俺の身体を散々触りまくって色んなこと言ってきたけど、あれは言葉責めっていうプレイの一種が好きなんかと思ってたし。
まさか、全部本心だったとか、思ってなかった。
「…で?お前はなんでそんな身体になったん」
「………!」
「ろくに好きなもん食っとらんやろ。それか筋トレ?ジムにでも行ったん」
この短期間でよぉそんな身体絞れたなぁ、なんて感心したように言ってくれるセンラに、俺は自身の手を強く握りしめた。
センラは、まだ少し皮肉にしか聞こえないが俺のむっちりふわふわマシュマロボディが好きらしい。
ということは、今の俺の身体はセンラにとって好みからかけ離れてしまったということになる。
「……言うけど、絶対笑わんとってな」
「笑わんよ」
そんなこと言うけど、分かってる。コイツは絶対に笑う。
それでもちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないってことは、センラと付き合っていく上で何度も確かめさせられた。
俺は単に言葉足らずやし、センラは空気を読むのが上手いからわざわざ口に出す必要はないって思っとるタイプやし。
そんなことを考えて、ふわりと微笑んだ。
結局、俺らはどっちもどっちなんやな。
「___……要するに、お前が俺のこと好きすぎてもう一生離れたくない〜っ!って思ったせいで勘違いして先走ってそんな身体になったってことか」
「〜〜ッ言い方もうちょっと考えろや!!!!」
「んぶふッ……ッ……ふッあは、ははは!!!っなにほんま、お前めっちゃアホすぎん、?!!」
「〜〜〜〜ッッ!!!うるせぇ!!!センラのドアホ!、!!ふざけやがって、許さんで俺はァ……ッ!!」
「ははッ、はぁ〜……ッぶくく」
滅多に見ないセンラの高笑いに、俺はわなわなと震えて布団に潜り込んだ。
やっぱり笑われた。やっぱりからかいやがった。こっちは心底本気やったってのに。
「ッはぁ〜……久々に笑ったわ」
「ソレハヨカッタデスネ!」
「……坂田」
潜り込んでいた布団を捲られてチラリと顔を向けると、緩みきった顔で俺を見つめてくるセンラに思わず目を見開いた。
俺を呼ぶ声も甘ったるくて、頬に触れた手のひらも熱くて、ドキドキと心臓の音が速くなっていく。
「…キスしてもええ?」
「………いつも、そんな許可せんやろ」
「…ふ、うん。ありがと」
俺の言葉を肯定と受け取ったのか、ちゅ、と音を立ててキスをしてくる。
なんだか小っ恥ずかしくて、でも逃げるのも負けた感じがして嫌で、ギュッとセンラの首に手を回した。
「……は、……坂田」
「……?」
「…もっかい、ちゃんと触らせて」
いい、?なんて、さっきよりも熱の籠った瞳で聞いてくるセンラに腹が立って、俺からもう一度キスをした。
いつもそんなの聞いてこないくせに、俺がちょっと泣いたからって弱気になんなや。
そんな風に思いながら唇を離すと、その想いがが伝わったみたいで、クスリと微笑んで俺に覆いかぶさった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥
「っ、はぁ……ッぁ、あ、ッ!」
「ん……きもちぃ?」
俺に話しかけながら、ちゅ、と熱の先端にキスをしてくる。
両脚を掴まれてガッチリと固定されているせいで身動きが取れないまま、センラの口の中の熱さに足がピンと引っ張られる感じがして、枕を握りしめる手が震えてしまう。
「さっきもイッとったんに、タマ偉い張っとるやん。……家で一人でしとらんかったん?」
「ぇ……っ」
「……それとも、“こっち”じゃない方をたくさん慰めとった?」
にんまりと笑われて、カッと顔を赤く染める。
咄嗟に足の踵でセンラの背中を叩くと、笑いながら軽く謝られただけだった。
くそ、嬉しそうにしやがって。俺がどれだけ自分一人でするその行為に虚しく思っとったか知らんくせに。
「俺は、坂田が置いてった服とか使って、お前のえろい顔想像しながらシてた」
「…ッ………ふぅん」
「…でも、本物は段違いやなぁ」
「……っ、ぁ、!」
そう言ってまた顔を沈めると、俺の熱をパクリと口に含んだ。
裏筋にねっとりと舌を這わせて、先端は円を描くようにチロチロと舐められる。
「っは、……ッぁ、あ……ッ゛、!♡」
さっき、膝と足で強く押し潰してきた痛みの含む刺激とは段違いだ。
熱くて、気持ちよくて、あわよくば今すぐにでも逃げ出したい。でもセンラはそれを許してはくれなくて、ぢゅぷぢゅぷと音を鳴らして舌で熱を扱いてくる。
「ンン゛……ッ、は、だめ、せんら、ぁ……ッ♡」
くしゃりとセンラの頭を乱雑に撫でて、離してほしいと訴えるように頭を触る手に力を込める。
でもそんなものはちっぽけな抵抗に過ぎなくて、ぢゅぅっ゛と強く吸われた刺激のせいで指先が痺れて、上手くセンラの頭を触れなくなった。
「ッも、まえ、ええから……ッ」
「ん……」
「__ッ、ひぁ、ッ!ん、んん……ッ゛♡♡」
俺の言葉を素直に聞く耳は持ち合わせていないようで、もっと深くに熱を持っていかれる。
ずっと我慢していた射精感が込み上げてきて、それから逃げるように腰を捻ったり頭を横に振っても、髪に垂れた汗がポタポタと枕元に落ちていくだけだった。
「ッ、せんら、っぁ、せんらぁ……っ」
イきそう、センラの口、どうしようでちゃう、あかん、あかんのに……ッ
必死に懇願するようにセンラの名前を繰り返すと、俺のソレを咥えたまま見上げてきて、そっと目を細めてくる。
その瞳の熱が伝わって、俺はまたくしゃりとセンラの髪を掴んだ。
「ひ……ッぁ、でる、せんら、イク、ぃ、〜〜〜〜ッッ゛、……!!!♡♡」
腰を浮かせて、センラの口内の奥深くまで入りたがる性本能が、俺を絶頂まで誘い込んだ。
ドクン、ドクン、と全身で鳴ってるんじゃないかと思わせるくらいの大きな心臓の音を繰り返して、最後まで俺の熱を吸い取るセンラの姿をぼんやりと見つめていた。
「……ん、どぉやった?」
「…………ッしらん」
「かぁわええなぁ」
ベッドサイドにあったティッシュ箱を掴んでペッと慣れたようにソコに吐き出したセンラが、してやったかのようにドヤ顔で笑ってきて、俺は悔しくて目を逸らした。
カコン、と音を立てて丸まったティッシュが捨てられたのだと分かると、今度はパキ、とプラスチックの音がなる。
それがローションのボトルを開ける音だと瞬時に分かって、後ろがきゅぅ、と期待するかのように締まった。
「……坂田、後ろ向いて」
「…っ」
いつまで経っても、何回行為に至っても、この瞬間は慣れない。
ゆっくりとうつ伏せになって、センラが指を入れやすいように膝を立てる。猫が腰を叩かれると、もっとと強請るように腰を高くあげる時の姿勢だ。
俺は、この体制が正直苦手だ。だってこんなの、恥ずかしくて仕方がない。センラに何もかも晒して、どうぞ好き勝手に触ってくださいと言っているのと変わりないからだ。
おずおずと目線を後ろにやると、クチ、クチュ、とローションを指に馴染ませているセンラの顔が無性にかっこよく見えて、慌てて枕に顔を埋める。
今からアイツに触られるんだと思うと、久々の刺激が酷く待ち遠しくなった。
「……ッ、んっ♡」
「お尻が柔らかいんは変わらんなぁ」
「ぁ、ッくそ、揉むなや……っ」
「こんなえろい体制で待ってくれとったら、そりゃ触りたくなるに決まっとるやん」
後ろの穴の縁を、尻を掴んで伸ばしてくる。
それがあまりに恥ずかしくて手を伸ばして止めようとすると、ローションで塗れた一本の指がぬるりと合図もなく入ってきた。
「っひ、ッ゛!?、!♡ぁ、ああ゛ッ」
「うぉ、やぁらかぁ。アナニーしすぎやろ坂田ぁ♡」
「〜〜ッちが、…!ッひ、!ぁ、あッ゛♡♡」
一本だけだった指が、あっという間に二本、三本と追加されて、既にとろとろに蕩けていたナカがセンラの巧みな指使いによって犯される。
強い刺激に上へ這いつくばって逃げようとすると、腰をガッチリと掴まれて身動きが取れないまま、奥へと押し入るように指を埋めた。
「あ、ぁ、゛ッひぅ、うぅ゛〜〜……ッ゛♡♡」
「ちゃんと家来る前に準備しとってくれたんやなぁ〜、えらいで坂田♡」
「ッ、わかってんなら、ッひぅ、゛♡……っはよ、いれろやぁ……ッ♡゛」
ナカを刺激されると、すぐにセンラの熱が欲しくなる。
センラはいつも俺の気持ちいいところをわざと避けて、焦らして、俺が我慢の限界だと叫んだ瞬間に追い詰めるように敏感な所を執拗に刺激するのだ。
それなのに今日は弱い前立腺も容赦なく撫でて擦ってきて、ガクガクと震える足が止まらなかった。
「ぁ、ッひ、あ、あ、……ッ!!!゛♡」
「長い期間ココ寂しくさせたから、可愛がってやろう思ってな」
「〜ッふざけ……ッんんん゛♡♡」
ぐちッ、ぐちゅぐちゅッッ♡♡
俺の後ろから、本当にこんな卑猥な音が立っているんだろうか。
枕に顔を埋めて嬌声を上げることしかできなくて、視界が暗い分下半身の刺激に集中してしまって、枕を握り締めていた手がカリ、カリ、と爪を立てて枕を引っ掻いた。
「ぁ、や、だめ、……ッいく、く、」
「…ええよ、坂田」
絶頂が迫ってきて、俺は唇を噛み締めてセンラの指から与えられる刺激を受け入れる。
急に頭に手が添えられたかと思えば、そっと横に向けられる。
______イけ。
涙と涎とでぐちゃぐちゃになった俺の顔をセンラに見つめられて言葉を吐かれて、俺はその熱く火照った瞳を見てきゅぅっとナカが締め付けられたと同時に絶頂を迎えた。
「〜〜〜〜〜ッぁ、゛ッく……〜〜ッ゛!!、!♡♡」
「…………」
「__っぁ、ッは、はぁ……ッは、ぁ……ぁ、う」
「……ぁー……えっろ……」
くぽ、と音を立てて指が抜かれて、ガクンと身体の力が抜けて腰を落とした。
そっと目を開けると、センラは俺の絶頂する顔の一部始終を見ていたようで、俺の後頭部に手を添えたまま横に倒れ込んでいた。
至近距離で見つめられて、俺のふわふわした意識が戻る前にちゅ、とキスをされる。
「ん…………」
俺の顔周りは涙と涎でぐちゃぐちゃなのに、積極的にキスをしてくるセンラの下半身は硬くなっていて、ほんの少し笑ってしまいそうだった。
「……ん……は…………ん、ぅ……」
まだ息の整っていない俺を気遣うかのように、ふに、ふに、と触れるだけのキス。
後頭部に添われていた手が流れるように耳に触れて、ぴくんと身体が震えた。
耳のふちを擦るように撫でたり摘んだりされて、くすぐったい刺激に甘い息を漏らしながら首をすくめた。
「……ふふ、くすぐったい?」
「………ぅ…………」
「…めっちゃとろとろやん…頭ふわふわしとる?」
優しい声、あったかい体温。
センラの声にこくりと頷くと、そっか、とだけ零して頭を撫でてくれる手が心地よくて、思わず眠ってしまいそうになる。
このふわふわした夢の中にいるみたいな感覚も、久しぶりだ。自分でする時は、達した後も虚しさと罪悪感で堪らなかったはずなのに。
_____あぁ、やっぱり、好きやなぁ。
「……坂田、まだ少し頑張れる?」
俺の頬に手を添えて、落ちてしまいそうな瞼を優しく擦ってくるセンラの声に、こくりとまた小さく頷いた。
俺だけが満足して、センラに満足してもらえんかったら今日来た意味がなくなってしまう。
センラの胸元に顔を擦り寄せると、とくん、とくん、とリズム良く動いていた心臓が段々と速くなっていって、思わずクスリと微笑んだ。
「…なに笑っとんねん」
「……せんら、かぁいい」
「お前の方が何億倍も可愛いわ」
お互い横になりながら抱きしめ合っていたのが、センラが俺を抱いたまま上に乗っかったことによって俺の身体が仰向けになる。
腰から服を掴んで一気に上着を脱ぎはじめたセンラの身体を見つめて、しっかりした“男”の身体に息を呑んだ。
「……ゴムつけるから、足広げて」
「…………っ、……ん」
センラの身体が素肌から離れてひんやりとした空気の中、膝裏を自分で持って入りやすいように足を広げる。
自ら足を広げてセンラから挿れられるのを待つこの時間は、一番もどかしくて恥ずかしい。
でも今日はそんなことよりも早く挿れてほしくて仕方なくて、早く付け終われ、なんて心の中で思った。
「……ん、お待たせ」
「…はよ、来てや……」
「…ッ、ほんっま、今煽るんやめて」
爆発しそうやから、なんて物騒なことを言ってくるセンラのソレは、確かにいつも以上に大きくなっている気がした。
きゅぅ、と尻の穴がソレを誘うかのように締まる感じがすると、そっとソコに熱をあてがわれる。
「……ぁ…………っ」
「…挿れるで」
「……っはやく、……ッぁ、っぅ、〜〜〜ッ……゛!!?、!♡♡」
ずちゅッ゛♡♡と一気にセンラの熱を深くまで挿入されて、ふわふわと浮ついていた頭にバチバチと電流が走るみたいに痺れて身体が痙攣する。
挿れられた刺激だけで達してしまったんだと頭で理解した刹那、ガツガツと大きく律動するセンラの動きによって目がチカチカと白んだ。
「〜〜ッぁ、ひぅ゛ッ、!?♡♡ぁ、っひ、ッまっれ、ぇ、……ッあっ、あっ、あぁ……ッ゛♡♡」
「……ぁー……ッかわぃ……」
「ぁ、ッあ、あぁ、……ッせんらぁ……ッ゛♡」
「ナカ、グズグズやな……は、あっつ、…」
ぐぃ、と腕で顔についた汗を拭ったセンラが、同じように汗をかいている俺の顔を優しく拭ってくる。
ゆっくりとセンラの顔を見ると、眉を下げて幸せそうにこっちを見下ろしていて、あまりの優しい笑顔に涙が出てしまいそうだった。
「……あっつ、……は、……溶けそ……」
「ん、ンンッ、んぅ゛……ぁッ、ひぅ、゛♡♡」
どうしよう、気持ちいい。
何も考えられない。ただ熱くて、暑くて、溶けそうで、蕩けそうで。
センラが好きで。好きで好きで、たまらない。
「……ッぁ、……!?っ、や、太腿、触らんとって……ッ」
「…?なんで……?」
律動を繰り返す度にガクガクと身体が痙攣して、足を自分の手で支えきるのが限界だった俺の手を優しく退けて、きゅ、と太腿を触ってくるセンラに慌てて止めた。
不思議そうな顔をして俺を見つめてくるセンラに目を泳がせて、きゅ、と唇を噛み締める。
「……やって……今、ふわふわちゃうから……」
「………………」
「……おまえ、……やらかいのがええんやろ」
自分で言っといて、ツキンと胸が痛む。
こんなことになるなら、ほんまに今回のダイエットの意味無かったな。
結局センラの好みはむっちりふわふわマシュマロボディらしいし、センラに会わずして手に入れたこの身体は必要なかったわけで。
「アホか。お前はそもそも前提が間違っとんねん」
「……?」
「“ふわふわな坂田が好き”なんやなくて、“坂田が好き”の中の一部分として俺が育てたマシュマロボディがあるだけや」
「…………」
「俺のために頑張って作ってくれた太腿やろ?……そんなん、触らんわけないやん」
そう言って太腿に手を添えたセンラが俺の太腿を掴むと、むにゅりと指が食い込む。
「太腿の肉は、そう簡単に落ちひんしな」
「……うるさぁ」
「……坂田の全部、俺に触らせてや」
そう言って腰の動きをゆっくりと進めるセンラに、俺は太腿を掴んでいた手を離してセンラの首に回した。
____俺の全身、全部おまえのもんや。
そんなことを言ったら、お前はどんな顔をするんだろうな。
「ぁ、ッあ、ッひぅ、゛!♡ッあぁ、ッはぁ……ッ゛♡♡」
「坂田……ッは、好き、……っ好きや、……ッ」
「ぁ、は、あぁ……ッン゛♡♡ん、はぁ、ッぅ、ん、ンンぅ゛……ッ!」
おれも。おれも、センラが。
そう口に出す前に唇を塞がれて、熱い舌が俺の口内までも犯してくる。
舌を絡めて、じゅる、と唾液ごと舌を吸われて、酸欠なのかくらくらと目眩がした。
「ん、……ッぅ、へ、ら、……せんらぁ……ッ♡」
「……さかた」
「…っ、せんら、……ッせん、らぁ……っ」
「うん……っ、きもちぃなぁ……」
ボロボロと、生理的な涙なのか感情的な涙なのか分からない雫が流れ落ちていく。
ただ幸せで、気持ちよくて、心地よくて。
ぎゅぅ、とセンラを強く抱き締めて、このままセンラと繋がったままになっちゃえばええのに、なんて変なことを考えてしまうほどには、この熱に酷く溺れていた。
奥深くを何度も強く突かれて、センラの広い背中に手を添えた抱きつきながら首をブンブンと振った。
チカチカ、バチバチ、と強くて甘い電流が何度も身体中を走って、大きい絶頂の波が来ると分かって、背中に添えた手の力を込めた。
「あ、アァッ゛、!♡あ、や、ぃく、いく、……ッ」
「おれも出そ……ッさかた、いっしょに」
「んぅ……ッぁ、はぁ、ッいく、ぃく、ぁ、っあ、……ッ、〜〜〜……ッ゛ッ!!♡♡゛♡、ッ♡」
「っ、でる…………ッ♡♡」
ガクガク、ッと身体を痙攣させて腰を浮かせると、俺のナカでセンラの熱がドクンと震えて脈打つのが分かった。
センラの心臓の音が近い。いや、これは俺の心臓の音なんだろうか。もうどっちの音かすらも分からないほど、俺たちの距離はゼロに近かった。
「……ッは、ぁ……ッ……ぁ、……」
「…………好きや、坂田」
「…………ぉ……れも…………す…………」
最後の言葉を振り絞ることも叶わず、俺はすぅ、と意識を手放してしまった。
だから、意識を無くした俺を見たセンラが微笑んで、心底可愛くてしゃあないわ、なんて幸せそうに言いながら俺を抱き締めて眠ったことなんて、俺は知る由もなかった。
「んぐ、……ん〜〜ッ♡んまぁ!これ!」
「なら良かったわぁ」
「こんなん作れるん、ほんま天才やでセンラ」
「んー…………おまえ、ほんまえっろい身体やなぁ」
色気ありすぎて警察に捕まるんとちゃう、なんて訳の分からぬことを零して背中から抱きついてくるセンラを睨みつけて、俺は今日もセンラお手製の夕飯を食べていた。
「……飯食ってる奴に色気とかえろいとか言うんお前だけやで」
「坂田が悪い」
「…はぁ、めんどくさぁ」
あの後、ダイエットをする前の生活に戻れば、あんなに苦しんで頑張って手に入れた身体はすんなりと元の身体に戻ってしまった。
手伝ってくれたうらさんには心底呆れられたし、申し訳ないことをしたけど。
それでもセンラが好きでいてくれるなら、とか思っていたのに、この愛されようは今の俺には小っ恥ずかしいものでしかなかった。
「お前はいっぱい好きなもん食ってニコニコしとればええねん」
「んぐ……おまえ、俺のこと好きすぎやない?」
「坂田やって俺のこと大好きやろ」
きゅ、と抱き寄せられて、ぷちゅ、とまだ咀嚼をしている自分の唇にキスをしてきた。
「……好きだよ、坂田」
「…………っ、………あっそ」
「…どんだけ好きか、すぐに分からせたろか?」
する、と服の中に手を入れ込まれて、慌ててごきゅりとご飯を飲み込んでパシッと手を振り払う。
「あほ。メシ優先だわ」
「へーへー、花より団子、セックスよりメシな」
「……おい、センラ」
諦めたように手を離してゆっくりと立ち上がったセンラに、振り返らないまま茶碗を待って声をかける。
「んー?」
「……これ食べたら、風呂入る」
「ん?……おん?」
「……俺上がるまで、寝んなよ」
ちら、とセンラの顔を見でそう言うと、その言葉の意味が分かったのか、心底嬉しそうに俺に近づいてからかってきた。
「ベッドで食べる前に、先に味見させてや♡」
「はぁ?ちょ、ぉい…………ッん、む、……ッ♡♡」
まだ夕飯を食べてる最中なのに濃厚なキスをして盛ってくるコイツに、俺は握り締めていた箸をゆっくりと置いて、空いた手のひらをセンラの背中に添えた。
舌を吸われて、口内の弱い部分を執拗に舐めてくるセンラに、ぞくりと身体が震えた。
服の中に熱い手のひらが入ってきて、風呂もメシもかなり後になりそうだと心の中で悟った。
どんだけコイツが変態でも変人でも、それでも四六時中愛されたい気持ちが変わらない俺のほうも、かなりの変な奴なのかもしれない。
「…いただきます」
「……っ……残さず食えよ」
「ん。一滴残らず食い尽くしたる」
「……ッ……ッ、ん、ぁ……ッ!♡♡」
こうして、俺の脱マシュマロボディは失敗に終わった。
だけどセンラの嬉しそうな笑顔を見てしまえば、その失敗が大成功したのだと思わせられるほど、俺はコイツにゾッコンらしい。
fin.
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