[R18][ShimaSen] 共依存

Author: 青龍くん(せいりゅう)

Link: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20995182

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注意事項

本作品はsmsn、nmmnとなっております。
性的な表現、または暴力的な表現が含まれます。
未成年の方、以上の言葉に聞き馴染みがない方等は、閲覧をお控え下さい。

お知らせ

今回の作品はおちゃひめ様主催の「雑食による雑食のための雑食企画」という企画の作品です。

最後のページに、重要なことを書いてあります。
そちらの方も良ければご覧ください。

以下、シチュエーション等。
(全てを記載することは不可能なので、僕がわかる範囲で記載させていただきます。自衛にお使い下さい)

ストーカー×ストーカー
盗撮
イラマチオ
拘束
乳首責め
亀頭責め
言葉責め
嗚咽
ごっくん
淫語喘ぎ
キスマーク
結腸責め
中出し
etc...

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「__はぁぁ、♡♡♡」

恍惚とした、ため息を吐いた。

うっとりと眺め、指先でなぞるのは、額縁の中で笑う俺の愛してやまない人。

その笑顔は煌々と輝いており、周りに映る人の何倍も綺麗だ。

切れ長の瞳に、すっと通った鼻筋。

ぽってりとした赤い唇は、綺麗な音を発する。

...あぁ、今すぐ彼に触れたい。

__願わくば、その白い首筋に噛み付いて、俺だけのモノなのだと、「世界」に知らしめたい。

例えそれが、永遠の妄想であっても。

一方的な想いでも、どうか俺を許して欲しい。

...愛する気持ちは、誰にも止められないのだから。

さて、もうすぐだろうか。

___ピンポーン。

そんな思考を遮るように、俺の耳に生活音が飛び込んでくる。

暫く聞いていなかったその音は、俺を驚かせ、鼓動を早くさせた。

血液が胸の辺りから、ぐわっと全身に巡る感覚。

背筋にじんわりと汗をかきながら、部屋を出た俺は、ごくりと唾を飲み込む。

そして、あまり待たせてしまわないように、気付いているということを表す返事をして。

「はいはーい」

扉の向こうに居るであろう人物は大体検討が着いているが、どちらにせよ緊張することには変わりない。

だって俺は、...一般人に、知られてはいけない秘密を持っているのだから。

やけに冷たいドアノブをぐっと握り、そのまま扉を開いた。

ガチャ、...と重い扉が開いて、人物を認識出来るほどになるより先に、その人物は声を上げる。

「す、すみません!隣に引っ越してきた折原センラ、というものなんですが、......」

綺麗な金髪に、すらっと長い手足、背は俺よりもだいぶ高いのに威圧感を感じさせない柔らかな物腰に、しなやかな体。

そして、そんな彼にギャップを彷彿とさせるのは、その腕の中で幸せそうな笑みを浮かべるリスのぬいぐるみ。

その場所は俺だけのもんだ、と言いたくなるが今は何とか抑えて。

「...あぁ」

「っ、...」

そう、彼こそが俺の愛して止まないヒト。

パッと見は少しキツそうに見えるものの、ふにゃ、と笑うその表情は誰が見てもドキッとしてしまうだろう。

少なくとも、俺はそうだから。

「...あん時の人やん!あれから大丈夫やった?ちゃんと帰れたか心配やってん。あぁごめん!俺のこと覚えてないよな、」

「...いえ、貴方のことはずっと覚えていましたよ。あの日から、もう一度お会いしてお礼をしたいと思っていたんです。それと、これはまたお礼とは別に。ご挨拶としてお渡ししておきますね」

わざとらしく、善人面を引っ提げた俺は、お菓子の箱とぬいぐるみを受け取る。

「ほんまぁ...!めっちゃ嬉しいわぁ...。ちなみにこのリスのぬいぐるみは?」

「そっちは俺の手作りなんです、そういう仕事、してて...」

彼の手が施されたものが、現実で、今、受け取る事が出来るなんて本当に夢みたいだ。

ガサツな男だなんて思われては堪ったもんじゃないと優しく抱きしめたぬいぐるみに彼がそっと手を伸ばし、頭を撫でる。

思わず、彼の手を掴んでしまいたくなったが、またそれも寸前でその感情は抑えられた。

「...そっかぁ、こいつ、折原さんの手作りかぁ...ありがとう!ちゃんと大事にするわ。部屋に飾っとく。」

彼からの手作りを得られた幸福感で既に夢心地な俺は、もういつボロが出るか、自分でも分からない。

もう会話を終わらせて、こいつを今すぐ飾りたいということで頭がいっぱいなのに。

彼はまた口を開くと、俺にこう言う。

「そうだ、この後ってお時間あります?よかったら一緒にご飯行きませんか?」

突然の予想にもしていなかったそのお誘いに、俺は一瞬ぶっ倒れそうになるほどの多幸感でいっぱいになる。

「え!そんなことまでしてくれんでも...」

けれども、彼との"普通"の会話は忘れられない。

「俺が行きたいんですよ!人助けだと思って、ね?」

これ以上彼と一緒に居て自身を保てる気がしないが、...もうこの際だ。

それに、このまま一緒に行ったら、予想外の進展もあるかもしれない。

「うぅん、、まぁ...ええけど、」

ー?視点ー

彼と出会った日は確か、まだじっとりとした夏の暑さが残る日の夜だった。

話は少し遡り、数ヶ月前の物となる。

その時の俺はようやく繁忙期から抜け出したところで、疲れに疲れていたんだ。

疲労からくる頭痛や体の重さは今朝からピークに達していて。

帰路に着く頃には終電までに終わらせられた、という事と、仕事が落ち着いた、という安堵に気を抜いたらぶっ倒れてしまいそうなふらふらの足で電車を降りて、あとは階段を下れば駅のホームから出られる、そんな時にことは起こった。

「、...へぁ、...?」

ぐらりと。

視界が歪んだ瞬間。

自分は雲のようになってしまったのかと疑うくらいに、身体がほんの一瞬、重力を忘れた。

ふわりと宙に浮かぶような感覚と、頭にもやがかかったような感覚。

そうして、目の前に着々と地面が近付いてくることにも気付かなかった俺は、ぐんっ、と腕を引っ張られたことにより、ようやく夢のような感覚から抜け出す。

「ッあ、!...っぶねぇ〜、!」

それと同時に、すぐ側からは声が。

「はぇ、...」

「やぁべ、ッ...もう、、無理なんだがぁ〜ッ!!」

身体が揺れるバンジージャンプのような感覚からは一瞬にして変わり、俺の背筋にはぞわりと、焦りや困惑から来る冷や汗が伝う。

がっ、と咄嗟に足が出て、俺の腕を掴んでいたカレは突然軽くなったことに驚いて、尻もちを着いて。

そんな事態に俺はもっと焦り出す。

まだ何が起こったのかも理解出来ていないのに...。

「あっ、、ぁ、!え、!す、すみません!」

周りには終電も過ぎているせいで、殆ど人は居なくて、まだ混乱でいっぱいの頭ではどうすることも出来なくて。

「っはぁ〜!大丈夫大丈夫〜!そっちこそ大丈夫やった?倒れそうになっとったけど...」

楽しげにわしゃわしゃと自身の髪を乱すように頭をかいた彼はにかっと笑って俺に眩しい笑顔を向けてくる。

ぎゅぅ、と胸を鷲掴みにされたような感覚がして。

__多分、この時に俺の心は奪われたんだと思う。

「俺は大丈夫、です、」

この人がどんな人なのかもまともに知らないのに。

精神的に不安定だった時に手を差し伸べられたからって、普段よりかっこよく見えただけっていうのは分かっているのに。

名前すらも知らない彼に、俺は恋をした。

「そっか、じゃあ気ぃ付けて帰りや!」

足が地面に張り付いてしまったみたいだった。

声も出せずに指先一つすら動かせずに、去っていく彼の背中を見つめて。

俺の胸は今、生まれて初めて動き出したみたいで。

小さな背中が見えなくなった今、俺の身体はまた別の意味で重くなっていた。

...あのまま、ただの一目惚れで終わらせられればよかったのに。

その感情を狂った愛情に変えてしまったのはきっと、どうしようもない運命だったのだろう。

「このマンションに、、あの人が、っ...」

あれから彼を調べあげた俺は、遂に彼の住むマンションの隣室に引越しを決めた。

傍から見ても、俺は変わってしまったようで、仲の良かった人達も皆離れていってしまったけれど、またもう一度彼に会えるなら、なんだって捨ててやる。

そんな割に合わないかもしれない決意を胸に、俺は彼のプライベートへと徐々に忍び込んで行った。

インターホンを鳴らし、引越し祝いの手土産とは名ばかりのお菓子と、盗聴器入りのぬいぐるみをぎゅっと抱き締める。

「__はいはーい」

ドキドキと高鳴る胸を抑え、じっと彼を待つ。

ガチャリ、と開く扉に一瞬だけ怖気付いて後退りしたけれど、もう後戻りは出来ない。

「す、すみません!隣に引っ越してきた折原センラ、というものなんですが、......」

「あぁ...!」

忘れられていたらどうしようとか、勢いでここまで来た俺にそんなことを考える暇はなくて。

「っ、...」

ぐっと唾液を飲み込んだけれど、緊張で喉は乾いたまま。

「...あん時の人やん!あれから大丈夫やった?ちゃんと帰れたか心配やってん。あぁごめん!俺のこと覚えてないよな、」

しゅん、と子犬のように耳を垂らし落ち込んだような素振りを見せる彼。

...嗚呼、、またどうしても愛おしくなる。

もう既に彼の虜だっていうのに、まだ俺を狂わせ足りないというのか。

「...いえ、貴方のことはずっと覚えていましたよ。あの日から、もう一度お会いしてお礼をしたいと思っていたんです。それと、これはまたお礼とは別に。ご挨拶としてお渡ししておきますね」

第一印象があんなだったから、2回目はキチンと出来るように。

新しい俺を彼に植え付けるように。

彼の好みはもうバッチリわかっているのだから、あとはもう隙間を埋めるだけ。

「ほんまぁ...!めっちゃ嬉しいわぁ...。ちなみにこのリスのぬいぐるみは?」

「そっちは俺の手作りなんです、そういう仕事、してて...」

ありもしない嘘をついている俺に気付くはずもない彼は、俺がそっとぬいぐるみを撫でると、彼は優しい顔をして、俺と同じようにぬいぐるみの頭を撫でた。

「そっかぁ、こいつ、折原さんの手作りかぁ...ありがとう!ちゃんと大事にするわ。部屋に飾っとく。」

ぎゅぅ、と少し嬉しそうにリスを抱き締めた彼を言い表すなら、俗に言うギャップ萌え、というものなのだろう。

「そうだ、この後ってお時間あります?よかったら一緒にご飯行きませんか?」

「え!そんなことまでしてくれんでも...」

「俺が行きたいんですよ!人助けだと思って、ね?」

「うぅん、、まぁ...ええけど、」

押しに弱いことだって把握済み。

それ故に会社では変な噂をたてられやすいことだって。

あなたのことは、あなたよりも知っていたいから。

どうか、俺に騙されて。

そして、どうか...俺を騙して。

これは計算外だった。

ぼやける視界に、ふらつく足元。

胃の中はぐるぐると掻き混ぜられてるかのような感覚が時折強くやってくると、今度は喉元に張り付くような不快感がやってくる。

「センラ」

誰かが俺を呼んでいるというのは理解できるのに。

誰かは分からない。

言葉にも頭にも、モヤがかかったみたいだ。

目は空いてるのか、閉じているのか。

俺は立っている?座っている?それとも寝ている?

訳が分からない。

分かるのは、ただひたすらに全身が宙に浮いていて、コップの中のお酒みたいにぐるぐる混ぜられてるみたいだってことだけ。

あぁ...眠い。

そうだ、...このまま眠ってしまおう...そしたら、...そしたらきっと、天国では彼と思う存分触れ合える。

ー志麻視点ー

赤く火照った頬に手を伸ばしかけて、辞めた。

行き場をなくした俺の手は、またグラスを煽る。

──あの後、時間も時間だからと手短な居酒屋へと赴いた俺達はそれから酷く幸せな時間を過ごした。

お互いに歳も近いこともあり、話は確か想像の倍は盛り上がって。

まだ知り合って数時間の仲の筈なのに、傍から見てはもう知り合って何年も経った友人と一緒にいるようだった。

俺の話を優しい相槌で聞いてくれる彼は、話も面白くて、いつも仕事の付き合いで行われる飲み会とは全く感覚が違っていた。

彼といると、全てのことが上手く回る気がする。

しかし、それ故の事だろうか。

話が弾み、いつもよりかなりハイペースでお酒を飲んでしまっていた。

滅多に酔わない俺でさえ、それが続くと流石に酔いも回ってくる。

頭がぼーっとしだした頃、俺とほぼ同じペースで飲んでいた彼が突然、立ち上がった。

初めはトイレにでも行くのかと、ぼーっと彼の細い足を眺めていたが、どうやらそれは違ったらしい。

ずんずんと近付いてきた彼は、上から俺を見下ろすとすとん、とその場に座り込んでしまった。

身体が柔らかいのか、はたまたその体勢が癖なのか。

女の子座りで、ずりずりとまたゆっくり近付いてきた彼は驚きと困惑で固まる俺を放ったらかしに、鼻先があと少しで触れ合う、そんな間近まで近付いてくる。

ほんの少しアルコールの香りがする熱い吐息が掛かって。

今まで一体どれだけ触れることを望んだだろう。

酒に酔った思考では、まともな判断は出来ない。

虚ろな瞳を捕らえた俺は、はく、と息を漏らした彼の唇に、同じものを押し付けた。

...彼は俺に助けられたあの日が初対面だと思っているだろうが、実の所俺たちの初めての出会いはもっと前だ。

まぁ、初めに会った日のことを覚えていようが覚えていまいが、この現状は変わらないし、いずれ俺達が出会うことは変えられない運命だということは、もう明白だろう。

それでも、俺の事を監視してしまうまで好きになってくれた彼には感謝だ。

そうでなければ、こんな早くから君と触れ合えることは無かっただろうから。

君も僕と同じくらい、悪い人でよかったよ。

さぁ、はやく。

もっと深い深い底まで降りておいでよ。

キスをした後、眠ってしまいそうな彼に歯止めが効かなくて。

俺は店にバレない内に自身の家へと彼を連れ込んだ。

店を出る頃にはまだ辛うじて起きていた彼も、かなり酔っ払っているのか、出会って間も無い俺を信じ切って、今ではもう俺の背中に寄りかかって寝ている始末。

一般的な人よりは細身であれど、流石に自分よりもデカイ成人男性を運ぶのは骨が折れたけれど。

彼の無防備な姿を見れたことと引き換えられるなら、それはきっと大量のお釣りが出るくらいだろう。

彼を自室のベッドに降ろして、そっと服の上から、彼のお腹を撫でる。

寝ている彼を無理矢理、だなんて。

なんだかイケナイことをしているみたいで、居た堪れないけれど。

お酒に酔っていることもあり、俺はもう無敵状態。

今すぐ彼に触れたくて、念願の彼を手に入れた興奮に、触ってもいない自身がもうはち切れそうだ。

そうして、俺は彼の服のボタンに手を掛けると、強引に服を脱がせた。

白くて、すべすべで。

何度も妄想した、彼のカラダ。

「はぁ、っはぁ...♡」

期待で、呼吸が荒くなる。

もう我慢する必要は無いんだと、思えば思うほど頭が痺れるほどに興奮する。

ーセンラ視点ー

どうして、...こんなことになってしまったんだろう。

月崎さんと飲みに行って。

彼に酔わせる目的で、同じペースでお酒を飲んだ。

ただ、それだけなのに...。

頭がぐらぐらしてきて、完全に毒が回っているのに、彼はまだ顔色ひとつ変えてなくて。

家でだってお酒を飲んでいたし、好きなのは知っていたけれど、ここまで強いだなんて、知らなかった。

しまった、そう思ってももう遅くて。

飲んでしまったアルコールが直ぐに抜けるなんて事はなくて、俺は彼の暖かくて大きな背中の上で、揺られていた。

頭が痛い、喉が渇いた...。

そんな風に考えていたら、話し掛けるタイミングを失い、どうやら俺は自分の家まで帰ってきてしまったらしい。

...しかし、彼はエレベーターを降りると、俺の部屋を通り過ぎて、月崎宅へと入ったと思えば、その足は迷うことなく、とある部屋へ。

バレないように、薄く目を開いて周りを確認した俺は、息を飲んだ。

部屋自体はベッドがあって、その反対に作業ができるような物々しいデスクとパソコンがある。

それは作業部屋兼寝室のようだが、それにしては、異様な光景が広がっている。

__壁一面に、とある人物が写った写真。

それは、、とても見覚えのある人影だった。

写真の全てに写る自分に、ドキリ、と胸の辺りで形容し難い何かが、強く脈を打った。

その殆どはカメラの方を向いていないようで、盗撮だということが伺える。

色んな感情に脳の処理が追い付かず、訳が分からなくなっていると、シンとした空間に、突然彼の声が響いた。

「もう、起きてるんやろ」

優しい口調じゃなくて、少し威圧感を感じるような、低い、振動。

驚きで、思わずびくっ、と身体が反射で反応してしまう。

今ので彼には絶対にバレたはずだけれど、そこからどうやって彼の言葉に答えればいいのか分からなくて。

「...」

だんまりを貫いてしまう。

すると、彼はふう、と一息つくと、優しく俺をベッドの上へと寝かせてくれる。

無視をしたと思われては堪らない、そう思った俺は目を瞑り、狸寝入りを続行することに。

「まぁ...寝ててもええんやけどな」

そう呟くと、間もなくしてギシ、とベッドの軋む音がしたと思えば、耳元のすぐ側で微かな吐息を感じる。

どうやら彼は、俺に覆い被さってきたようだった。

「...でも、そのままやと、どうなっても知らんで...?」

ふぅ、と熱いと感じるほどの吐息を耳に吹きかけられ、ぞわ、と身体中になんとも言えないむず痒さを感じ、ドキッとしたのも束の間。

俺は唇に、柔らかな感触を感じる。

「っ、...!」

次の瞬間、俺は確実に彼と目が合ってしまった。

「ふは、王子様のキスでお目覚めやな」

上唇を、ぺろ、と舌舐りする彼。

その行動に、俺はもう有り得ないくらいに興奮して。

「月崎、さん...お、俺...どうして、」

「...あー、そういうのもうええねん。演技じゃなくて、ほんとのセンラさんを教えてや。俺の事、どこまで知ってるん?」

すっ、と頬に伸ばされる手。

そして、また1つ、唇にキスが落とされる。

今度は、長くて、俺が呆気に取られている間に彼はそのまま舌を入れてくる。

柔らかくて、熱くて。

頬を撫でる手が、少しくすぐったい。

「っん、...ふ...」

お互いの舌を深く絡めあってするキスは、頭が痺れるくらい気持ちよくて、どうしてこんなことになっているんだろう、とか、そんな全てのことがどうでも良くなる。

俺たちは、初めから似たもの同士だったんだ。

そう思えるだけで嬉しくて。

離れていく舌も唇も体温も、名残惜しくなる。

薄く開いた唇から追いかけるように舌先は伸びて。

けれども彼は俺に構うことはなく、辛うじて繋がっていた銀の糸さえもぷつりと途切れてしまう。

「ん、...うん、ええ顔になってきとる。」

愛おしい、そんな顔ですり、と頬を手の甲で撫でられて、思わず、擦り寄ってしまいそうになる。

贔屓目をなしにして世間的に見たって、彼はイケメンなのに。

そんな男にキスをされて、慈しむような顔で撫でられて。

誰が惚れないって言うんだ。

「俺に、抱かれたい...?」

...あぁもうほんとに。

心の底から、抱かれたいと願う俺が居て。

もうその感情は、止まらないみたいだった。

「...っなぁ、しまくん、って呼んでも...えぇ、?」

ようやく口を開いた俺は、彼の問い掛けの回答ではなく、敢えて別の言葉を彼に問いかける。

「うん、ええよ。俺もセンラって呼びたい」

「よかった、...じゃ、じゃあ、しまくん、俺の事、めちゃくちゃに、して...!」

意を決して放った言葉と同時に、俺は彼の頬へとキスをする。

恥ずかしながら、形のいいその唇に自分からキスすることは出来なかったけれど。

もうこれ以上は必要ないだろう。

「...っはは、...可愛ええことするやん、っ...なぁ、俺のココ、触って...」

彼の頬に汗が伝っている。

かっこよくて、色気たっぷりで。

そんな彼は俺の手を取ると、自身の股間に宛がった。

「...っ、おっきくて、硬い...」

「うん、センラのせいやで...」

「おれの、せい...」

「そうやで、センラがエロい顔するから」

ずりずり、と俺の手でオナニーするみたいに。

そのままぐっと手を上から抑えられて、彼はそれに押し付けるように腰を振る。

「ぅ、あ...っしま、く...」

例えその間に布が挟まって居るとはいえ、体温と硬さにより、その先に居るであろう物体をどうしても想像してしまう。

「は、ぁ〜...ッ、すっごい背徳感やわ、♡ほらっ、もっと、んん"ッ...」

ぐいっ、と腰を押し付けられて。

下着越しに、ごりっ♡と硬くて熱いモノが擦れる感覚。

興奮に胸がドキドキして、息が詰まる。

「しま、く...っ、おれ、もう、ッ!」

「っんはは、♡♡何言うてるん、本番はまだまだ先やで♡♡」

そう言った彼は、俺の両手首を纏めて掴むと、そのまま俺の頭上へと持っていき、冷たい何かを手首に着けた。

「な、なにを...?」

困惑する俺を他所に、にや、と意地悪く口角を吊り上げた彼はすす、と俺の胸の辺りに指を這わせ、口を開いた。

「これでもう、...逃げられへんね♡」

瞳の奥に、どろっとした黒くて甘い何かがあって。

...また、ズボンの中が窮屈になる。

ー志麻視点ー

彼が他の誰かに笑顔を見せる度、俺はきっと、誰にも見せられないような酷い顔をしていただろう。

けど、もうそんな必要はないと思うだけで、心の底から本当に良かったと思える。

かちゃかちゃと、手首についた拘束具を鳴らす彼は、表面上では困惑したように見せるが、俺には隠せない。

とろりと蕩けた瞳、赤く染まる頬。

擦り寄せられる太股など、端々に隠しきれていない興奮が見えて、またそれも俺の欲望を助長させる。

まだ本音を言い合える仲じゃないからこそ、得られるシチュエーション。

もはや合意のセックスだとしても、体裁上は恥じらう彼を無理矢理犯す、だなんて。

想像だけで頭が沸騰しそうだった。

さっき半端に刺激したせいか、俺の下着の中はもうムレムレのパンパンで、少しでも扱けば一瞬で射精してしまいそう。

けれど、それはまだ、お預けだ。

折角溜めたものを出すなら、出す場所くらい選んでやる。

俺は、彼の合意もなしに下着だけを残して服を纏めて剥ぎ取ると、そのままベッドの下へと投げ捨てる。

「わぁっ、!?」

驚く彼を他所に、俺はあくまで、彼を襲っているシチュエーション、なのだと自身の頭に刷り込んだ。

まずは、俺の方も服を脱いで。

ガチガチになったそれを当てることを意識しながら、彼の薄いピンク色をした乳輪に、指を這わせる。

白くて柔らかい肌を揉むようにしながら、くるくると周りを指でくすぐり、もどかしそうにしたら、爪の先で側面にほんの少しだけ触れて。

たったそれだけでみるみるうちに赤く、硬くなっていく乳首を見て、自分で恥ずかしげに目を伏せる彼もまた、とてつもなく可愛くて。

「ッん、!んぅ、...」

「背中、浮いてるけど...もっと触って欲しい?」

「ちが、ッ...」

手は動かせないからって背中を浮かせて、俺の指に、必死に触れさせようとしてるのに。

恥ずかしくて、本当のことが言えなくて。

そんなのって...普通に考えて、もっと意地悪したくなるもんだろ?

「...じゃあ、触らんでもええね?」

「...っえ、...」

「だって、気持ちよくないんやろ?せやったらもう辞めようかなぁって。」

俺そう言葉を放った瞬間、彼は驚いたように目を丸くする。

そして、手を引っ込めようとした瞬間だった。

「ゃ、やだっ...!、さ、さわっ、て...乳首、ッ触って...ほしぃ、...♡」

今まで大人しい子犬のように、しゅん、と切なげに眉を潜めていた彼が、一生懸命声を粗げて欲望を露わにする。

子犬の躾を上手くやりたいなら飴と鞭を上手に使い分けなくちゃ行けない。

彼の身体に跨るようにして上へと覆い被さる。

手は頭の横で、片方の耳に少しだけ触れながら、もう片方に顔を近付ける。

そして、真っ赤になった耳にふぅ、と息を吹きかけてから、俺はこう言う。

「...ほんまに、乳首だけでええん...?♡」

「...ッ〜、!!♡♡」

それから、首元まで降りて、そのほんのりと赤く染まる首筋を唇で食みながら。

「俺に全部預けてくれるなら、もっとも〜っと、...気持ちよくしてあげられるで...♡乳首だけでイクよりも、もっと...な?♡」

ビクビクッ〜、と震えた身体を抑えるようにして、首筋に舌を這わす。

はくはくと、魚みたいに呼吸して、膝を擦り合わせて居る彼の姿を見れば、もうこれ以上は必要ないくらいだが、トドメを刺すなら今だろう。

俺は、彼のピンと勃った乳首に、しゃぶりついた。

「ひ、ッ...♡♡ぁ、ぁあ"あっ、♡きゅ、になんッれぇ♡♡」

ちゅうちゅうと吸いあげて、こりこりと歯を当てながら舌先で弄ぶ。

「ん、っちゅ...は、ふ...ちぅ...」

少し硬くて、けど周りは柔らかくて。

こう言ったら変だけど、なんだか彼の胸は口当たりが凄くよくて、いつまでも、吸っていたくなるような、病みつきになる感覚だ。

「いッ、イグ♡♡りゃめ、ッぇ♡ちくび、っおれのちくびぃ♡♡♡いく、いくいくぅ♡もぉ、だめ、っいっちゃうぅ〜ッっ♡♡♡♡」

焦らしに焦らして、一気に発散させたからだろうか。

普段の感度ならきっと有り得ないほどの反応を見せる彼。

「ははっ、ん、...♡...えっぐい痙攣、や♡♡」

ガクガクと腰が痙攣し、下着のボクサーパンツを通り越すほどに、白く、ネバネバした液体が溢れている。

試しに下着のゴムを引っ張り覗いてみると、そこはもう悲惨な事になっていて。

「ゃ"、うぁ......っ、〜ッ♡♡み、んといて、ぇ...っ、♡」

...また、欲望を掻き立てる。

「...ん、っはぁ、っふ...ふはっ、あっははは♡まだこんだけじゃ、足りひんよなァ、...センラ♡」

俺は弄るのをやめた後でさえ、余韻でビクビクと痙攣する彼の胸辺りに跨ると、残っていた服の全てを脱ぎ去り、全裸になった。

そして、ヨダレを垂らして呆けている彼の頬に、ぐりぐり、と自身の硬く勃起したちんこを押し付ける。

「あ"ぇ、......?♡♡」

俺も俺で、かなり限界突破寸前だ。

先端からはたっぷりのカウパーが溢れており、触れれば、彼の頬を濡して、このままここで扱いて顔射、というのも悪くないが、それはまた今度の楽しみとして、取っておこう。

今はやりたいことがあるのだから、急がなくてもできることは後回しだ。

「なァ...センラ、♡俺のちんぽ、奥までちゃんと咥えられるよな?♡♡」

俺がそう問いかけると、彼は分かり易く、ごくりと喉を鳴らし期待に満ちた瞳を向けてくる。

「しま、くんの...ちんぽ...♡♡」

もうその好意を隠す気もないらしい彼は自分から、情けなく舌を伸ばし、俺のちんこの先端をちろちろと舐めた。

「ん、ッは...ぁ、そう、もっと、...咥えて...♡」

ふわりとした髪を撫でながら、俺がそう言うと、彼は何も言わず、俺の言うことに従ってくれる。

ぱくり、と剥き出しの亀頭が彼のあっつい粘膜に包まれて、もうそれだけで腰が抜けそうな程に気持ちがよくて。

...もうこれからは、彼の全てが俺だけのもの。

他の誰にもやらない。

ーセンラ視点ー

胸がドキドキして、腰が重たくて。

「ん、ちゅ...、ふ、ぁ"...♡♡」

志麻くんに全てを支配されている感覚が、堪らなく心地よくて、ぴちゃぴちゃ、と卑猥な音を立てて、俺は粘膜同士を擦り合わせる。

先端だけでも、かなり口の中はパンパンだけど、収納する場所を探すみたいに頬の内側へとぐっと押し付け、口いっぱいに彼の性器を頬張る。

しょっぱくて、苦い。

決していい匂いと言える訳じゃないのに、そのむわっとした汗の匂いと雄臭さには、堪らなく下腹部が疼いて、揺れる腰が止まらなくなる。

この大きいのが俺の中に入るんだって考えると、尚更だ。

ふと、彼の顔に視線を移すと、そこには整った顔が眉間に皺を寄せて、何かをぐっと我慢するような表情を見せていて。

ちゃんと俺で気持ちよくなってくれているんだと、そう実感した俺は調子に乗って、試しに喉奥まで性器を咥えた。

「ん"ッ、...♡ふぅ、っ...♡」

またより一層顰めっ面になる志麻くんは、顔が整っていることもあって、風情的だが、それと同時に迫力も増していく。

ある程度彼の新しい表情を拝んだ所で、俺は歯が当たってしまわないよう気を付けながら引き上げる。

流石に大きすぎるそれは、俺の口の中に全て収まることはないけれど、頑張れば想像よりは咥えられるもんで。

しかし、問題はここからだ。

そのままの流れでとぷとぷと溢れているカウパーを吸い取ると、突然俺の頭を撫でていた彼はくしゃ、と髪を掴み、ごめん、の一言を零した後、後頭部を抑え付けてきたのだ。

「...んぶぅ"ッ、!?♡♡ぉ"、っぐ......♡♡♡」

ゴリュッ♡♡と、喉の奥まで一気に侵入してくる性器は、そこそこ口が大きい方の俺でさえ、咥えるだけでいっぱいになるくらいなのに、それも全く気にせず、無遠慮に抽挿を繰り返した。

喉奥を突かれる度、嘔吐きそうになるのを堪えて、けれどやっぱり気持ち悪くて、涙が出る。

彼を引き剥がそうにも、手は縛られているし、身体を捩ったり足を使おうにも生憎身体は硬いため、ただ無駄に体力を消耗するだけに終わってしまう。

その間も彼は必死に藻掻く俺を、欲望のままに動く獣の如く、まるで何も見えてないみたいに腰を動かしていて。

そんなことをされては、必要な酸素すらも吸えなくて、酸欠に目の前がどんどんぼやけていく。

「はぁッ、は、ァっ♡♡せんらっ、センラぁッ♡♡
はぁ〜ッ、♡♡その表情ッ、めちゃくちゃかわえぇ、っ♡♡♡」

狂気じみたその愛情が滲み出る表情で愛でられては、俺の方もそれが彼からの愛だと勘違いしてしまう。

そうすれば、彼から与えられる全て。

苦しいことも、痛いことも。

その全てが気持ちいいんだと、頭が錯覚するんだ。

ごちゅごちゅ、と喉奥に凶器とも言えるような巨大なものを叩き付けられて、本当は苦しくて堪らない筈なのに、呼吸が出来なくて酸素が回らなくなって頭が真っ白になる感覚は。

快感が最高潮まで高まった時の感覚と、よく似ていて。

「ぉ"ごッ、お"ぇッ♡♡げほっ、♡お"えぇ、ッ♡♡」

敏感な上顎から喉奥に掛けてを、性器の先端で擦りあげられると、益々気持ちよくなって、ぞわぞわと腰骨の辺りに甘い痺れが溜まっていく。

なんだかそれが癖になって、俺は最早、自ら当てに行くように、進んで頭を動かした。

「は、ぁッ〜〜♡♡♡やぁべッ、♡♡もぉ、...ッまじ、イクッ、♡♡♡」

その言葉と同時に彼は体制を変え、上から奥目掛けて打ち付けるように腰を動かす。

どんどん深くなり、早くなる乱暴なピストンはもう、彼が限界まで来ていることを表していて。

あの長くて太い性器は、下生えが当たる程に深くまで挿入されていて、口元が擽ったいし、パンパンで重たい玉だって、さっきからずっと当たっている。

ドクドクと口の中で脈打つソレが、より一層大きくなれば、それは絶頂の合図。

「ん"ッ...、♡ぐぅ"、〜〜ッッ♡♡♡」

俺は志麻くんがイキやすいようにと、できる限り喉奥を締めて、強めに吸い付いた。

すると、彼はぶるっと全身を震わせると、俺の頭を思いっきり押さえつけて、勢いよく喉奥に目掛けて精液をぶちまけた。

そして、それとほぼ同時に俺の頭の中は真っ白になって、目の前は無数の星がチラついた。

「ッうぅ"♡っ〜♡♡ぁあ"あ"ぁ〜〜♡♡♡♡はぁ、ッぁ"......ん、♡♡っはぁ〜...やっばい...♡めっちゃでる、っ♡♡」

「ぐぅ"ッ、!♡♡ッ〜〜、♡♡♡♡」

びゅるるる〜ッ♡♡と、喉奥に叩きつけられるのはドロドロとした固形に近い粘着質な液体。

むわっと鼻腔を擽るこの独特な青臭さは、何処か知っているような、けれど知らない香りで。

最後の最後まで奥に出したいのか、余韻でゆらゆらと動く彼の腰の合間をぬって、喉に纏わりつくそれをなんとか飲み下すと、彼も同時に満足したようで、離れていった。

「んッ、はぁ...♡はぁ"〜、っ......♡」

「かひゅ、ッげほ、...ゲホッ、ぉ"え"ぇ...っ」

「はぁっ、ご、ごめん...っ、大丈夫...?」

流石にあれだけ乱暴にされて酸欠にもなって、ピンピンしてる、なんて訳もなく、俺は唐突な酸素供給に思わず肺も頭もびっくりして、激しくむせ返ってしまう。

優しく背中をさすってくれるから、単純な俺は、出ていったはずの巨大なソレがまだ喉の奥に違和感を残していることにさえ、目を瞑ってしまいそうになる。

けれど、まだ俺の身体は肺いっぱいに酸素を取り込んでは、噎せてしまうだろうから、ゆっくりと、小さく呼吸をして。

「...っひゅ、...ふぅ〜...、っは...」

...30年近く生きていても、本当に、息の吸い方を忘れそうになったのは初めてだった。

喉の奥を突かれる度に頭に火花が散って、思考回路が一気に燃えて行くのが分かって、少し怖くもなった。

人間は死に近付くほど、気持ちいいという感情を得られる、というのはあながち間違っていないのかもしれない。

お互い放心状態で、呼吸の音しか聞こえない部屋で、俺はぐるぐると、普段なら考えないようなことばかりを考えては終わりのない答えを探る。

身体も疲れているし、脳ミソだってショート寸前まで追いやられたって言うのに、何故か思考の回転は止まらない。

しばらくして、息が整ったのか、志麻くんが申し訳なさそうな顔をして、俺の頬にキスをしてきた。

「ん、ちぅ...♡」

俺自身、この良くも悪くもない顔のお陰で女性経験には困らなかったけれど、生憎、男性経験の方は一回もないわけで。

ストレス発散の為に、アナルだって少々嗜んだこともあるが、それも浅い知識の上に成り立つものである為、対人の性行為に関してはほぼ知識はゼロに近いのだ。

男性との行為はずっとこんなに激しいのか、とかキスはなにかの合図?それとも彼がキスをするのが好きなだけなのか。

今も、鳥が啄むみたいに、ツンツンと唇やら頬やら首の辺りにキスをしてくる彼はまた優しい手つきで俺の頭を撫でてから、意を決したように口を開いた。

「......センラ、手首のソレ外すから、もう一回だけ付き合って欲しい」

さっきあれだけ激しく出したって言うのに、もう回復したらしいソレを俺のお腹の辺りに押し付けて、身体に見合わず子犬みたいに見つめてくる彼。

今の今まで行われた所業が全て帳消しになってしまいそうなほどに、その表情は酷く俺の母性本能を擽ってきて。

「っ、...♡」

思わず、こちらが優位な立場にいるんじゃないかと勘違いしてしまいそうになる。

顔を合わせてからはまだそんなに経っていないけど、その中でも彼についてよく分かったことがある。

志麻くんは、かなりの策士だ。

外見は男らしくて、整い過ぎてるせいもあって、少し話しかけずらいけど、いざ話してみると近所の優しい兄ちゃんみたい接しやすくて。

かと思いきや、意地悪で、欲張りで。

自分を隠すのも、魅せるのも上手い人。

だから今もそうだ。

きっとこれは、か弱い子犬の皮を被った猛獣。

俺が心を許し、無防備になるのを今か今かと待っているんだ。

俺が、食べ頃になるまで。

「...ほんっまずるい...」

「...へ...、?」

かっこいいところも、優しいところも、意地悪なところも。

全部嘘なのかもしれない。

俺の知ってる彼は、全て仮初の彼なのかもしれない。

...けど俺は、それを知ってても尚騙される道を、選んでやる。

志麻くんが俺のことを好きだということだけを信じて。

『...あと一回だけなんて、...それじゃあまだ...足りん...♡』

俺は挑発するみたいに、誘い文句を口にした。

「っ、...!」

彼の虚を突かれたような、そんな顔。

けれどすぐに、そんな表情は代わり、何かを思案するように目を伏せると、すぐにふっ、と口角を上げた彼はそのまま俺の拘束具を外した。

そして、さっきの意味ありげな表情が何も無かったかのように、彼は俺の手を引いて身体を起こしてくれると、今度は驚く程に優しく、腰を抱いてキスをしてきた。

「ん、...またキス...、」

「ちゅ...、ん...いや...?」

「別に、...」

「...よかった」

そんな軽い雑談を挟みながら、初めは、ただ唇を合わせるだけのもので、そこから少し時間が経てば、どんどん深くなっていって。

それを拒むこともないから、挿入された舌が探るように動いて、俺の舌先に触れ合うと、まるで蛇みたいに一瞬で絡みついてきて、離れなくなる。

「んんっ...」

表情からは彼が何を考えてるか全く分からなくて、流れに、彼に身を任せて居るけれど、深いキスと腰を撫でられていること以外は特にしてこない。

あれだけ俺が煽るようなことを言ったというのに、この人はほんとにどんな思考をしているんだろう。

まさか、このまま終わる気なのだろうか。

いや、流石にさっきみせたあの表情的にこのまま終わるなんて可能性は低いだろう。

...というか、シてくれないと困る。

俺のソレはまだガチガチに硬いままだし、もう一回シたいと言ったのは志麻くんのほうだ。

なにも、俺の思い上がり...なんてことはないよな...?

なんて、何も進展がないことに不安と困惑をもったまま、平行線のキスを続けていると、ふと俺は彼の手が先程までとは違う挙動をしだしたことに気付く。

今までのただ撫でるだけの手付きとは確実に違う。

彼の手はゆっくりと下着の中に侵入してきていて、優しく、俺の窄まりに触れてくる。

きゅうぅ、とお腹の奥がなんだか疼くような感じがして、彼にもっともっと奥へと触れて欲しいという、初めての感情がぽつりと、俺の胸の内に芽生える。

もどかしさに、思わず彼の背中に爪を立ててしまう。

「...指入れるから、力、いれんといてな」

けれど、俺のその反応に気がついた彼は、直ぐにそう言って、窄まりの奥へ、指を押し進め始めた。

先程喉奥を突かれてイッた時に出た精液は、ゆっくりと肌を伝って降りてきていたらしく、彼の指はローションいらずでスムーズに抽挿が行われる。

絡み合っていた舌はいつの間にか離れていて、塞ぐものが何も無くなったらなくなったで、なんだか口淋しくて。

俺は彼の肩口に顔を埋めるみたいにして、違和感に耐えることにした。

鼻から抜ける声は、物理的に抑えることで、くぐもって余計にいやらしい感じだ。

顔を埋めた肩は見た目以上に逞しくて、俺は今日で志麻くんの色んなことを知れたと思う。

触れたあらゆる場所は想像していた人物像よりもよっぽどゴツいけど、この薔薇みたいな香りは人間としての印象と合致している。

俺がそんなことを考えている間にも、彼は感触を確かめるように、慣らすように、ちゅぽちゅぽと指を浅く入れては、抜いて。

彼は俺が異物感に慣れてきた頃合を上手く見計らい、より奥深くへと指を進めていく。

指の腹で何かを探るように動いたと思えば、彼の指が当たる部分に、僅かな、異物感とも違う違和感を感じる。

俺は思わず、その違和感に身構えて。

「っ、んぅ...!そ、こ...やだ......」

そう言葉を漏らしてしまう。

彼にこういった反応を見せるのは逆効果だったんじゃないかと、あとから気付いても、もう遅い。

反射で自らの口を塞ぐが、意外にも彼は分かった、と短く返事をして、表情を変えずに指を抜いた。

彼の反応に、僅かな違和感があることも俺は気が付かずに、ぬる、と抜けていく指に異物感が無くなって安心した俺は、きっと、すぐには何も起こらないだろうと、たかを括っていて、気が緩んでいたんだ。

「...」

ふぅ、と慣れない感覚で戸惑う身体を落ち着かせる為に息をついた、その瞬間だった。

「...え、?」

先程まで、志麻くんと向き合って抱き締めあっていた筈の身体が、瞬きをする極僅かな時間の中で、180度回転し、視界は白いシーツの海へ。

一瞬のことすぎて、何が起こったのか分からず、俺の思考は暫くローディングしてしまって。

...いやいや、自分よりでかい男をそんな簡単にひっくり返せるものなのか...?

確かに、彼は触った感じからするに、結構鍛えている方だろう。

けれど、志麻くんがかなり鍛えていている方でも、ゴリゴリのマッチョでもない限り、そんなことってのは有り得るのか。

俺は別に特段細い訳では無いし、本当に不意打ちだったから、力も抜けていたはずだ。

人間てのは力の抜けた人の方が重いもんで。

考えれば考えるほど、矛盾が浮き上がってくる。

今遭遇した状況は他でもない、自分の身に実際に起きたことなのに。

何かにつけて納得しないと、ここからは進まないのに。

その納得は何を理由にしても、漕ぎつけない。

「...なぁにブツブツ言うとん?」

うつ伏せの俺に上から覆い被さるようにしてそう耳元で囁いてきた彼。

口に出てしまっていたか、と一瞬冷静になった俺はふと反射的になんでもない、と誤魔化してしまう。

ふぅん、と不満気な声を一つ、漏らした彼はすっと俺の上からは退いていって。

そして、直ぐに俺はお尻に違和感を感じて、頭を上げると、そこには__俺の尻に顔を埋める志麻くんがいた。

驚きで思わず声も出せずにじっと眺めていると、こちらの視線に気付いたのか、彼はこちらを向き、にやっと笑うとわざとらしく見せ付けるように下着のゴムに手をかけてくる。

「ま、っまって...!!」

脱がされて何をされるかを想像してしまい、思わず制止の声を上げてしまうが、彼はより一層口角を上げると、ふっ、と笑ってこう言う。

「ヤダ♡」

なんて、無慈悲な言葉は、さっきまでの優しかった志麻くんがどこかへ行ってしまったことを表していて。

意地悪に細められた瞳は俺を見つめたまま、彼の手は止まることを知らずに、ずり、と下着を引っ張っていく。

本当に嫌ならば、ここで腕を掴み、彼を説得すればその手は止められるのかもしれないけれど。

彼を拒絶する明確な理由は無い上に、今までの傾向からするに、彼は俺をいじめることに快感を見いだしているようだしさっき見た怪力が本当に彼の本気だとしたら、彼の意思次第では俺なんて1ミリも叶わないはずだ。

...そしてなによりも、彼の意地悪なその瞳や強引な手付きは、開けてはならない俺の扉を完璧に開けるには十分過ぎて。

俺の手は、それからぴくりと指先が揺れ動いただけで、それ以上は固まってしまったみたいに、動かなかった。

止めに手を出さない俺に、彼も嫌じゃないということを察したのか、より見せ付けるように脱がされる下着。

「っ、...♡」

俺はそれを、ドキドキしながら見ていることしか出来ない。

...ほんの僅かに浮かせた腰は、きっともう彼にバレている。

俺が腰を浮かせたからか、先程の引っ掛かりが嘘みたいにするすると足から降りていく下着。

足首の辺りまで行ってしまえば、もうそれはただの布切れで、一つ瞬きする頃には、俺からは離れていて、同時に、パサっ...と、床に落ちる音が耳に届いた。

「...期待、しとる...?♡」

ふと、彼に声を掛けられ、俺はぴくっと身体が動いてしまう。

なんだかその声は、今まで聞いていたものよりも、一段と低く、振動の感じる音で。

言葉の意味も含めて、その声にドキリと胸が高鳴ってしまう。

「そ、そんなこと...」

「さっきも言うたやろ、俺に嘘はつかんでええって」

意地悪く見えるのも、優しく見えるのも。

それは彼の元の瞳が何もかもを見透かすような、綺麗な瞳をしているからで...。

彼に見つめられると、極端に嘘が下手になる気がする。

ごくり、と口の中に溜まる唾液を飲み込んで、はーっ、と少しだけ息を吸い込む。

すると、なんだか本心を言葉にする勇気を吸い込めた気がして。

「っ、...めちゃくちゃ...期待、しとる...♡」

本音というのは、隠した分だけ口に出すのが困難になるものだ。

言ってしまった、そうは思うけれど、別に後悔はしていなくて。

「ふふ、そうよなぁ...。うん、素直に言えるのはええ子の証やで」

ふわっと微笑んで、優しく頭を撫でてくれる彼を見れば、何でも良くなる。

大きくて、暖かい手に擦り寄れば、益々撫でてくれて。

「ん、......」

胸の内が幸せでいっぱいになった。

「...じゃあ、ええ子のセンラは、俺に何して欲しいかも、自分で言えるよなぁ...?♡」

まるで、洗脳するみたいに、音が直接脳に響いてきて、ゆっくりと硬く結んだはずの心の糸が絆されるのが分かる。

あぁこの人になら全てを託しても大丈夫なんだって思えて、緊張で強ばったあらゆる部分の筋肉が緩んでいく。

「しま、くんに...」

志麻くんに、俺が。

何をして欲しいか___

そんなの、頭で考える前から、本当の俺はわかっていたんだ。

「うん...♡」

喜びを隠しきれないといった表情で、言葉を待つ志麻くん。

俺は、うつ伏せの身体を回転させて、仰向けへと体勢を変えると、彼の首に腕を巻き付けて身体を引き寄せ、こう言う。

「__俺の全部を、志麻くんにあげる♡だからぁ、志麻くんの全部、俺に...頂戴?♡♡」

「っ、〜!!♡'」

渾身の、オネダリに。

彼も流石にここまでとは予想していなかったのか、ニヤケを堪えきれず、口元を隠してしまった。

「...な〜あ〜、志麻くんはぁ、俺にぜーんぶ預けて、くれへんの?♡」

タガの外れた欲望は、もう誰にも止めることは出来ない。

自分自身でさえ、だ。

「...っふは、ええよ♡センラがそんな風に言うてくれるやなんて、俺めっちゃ嬉しい♡」

「んふ♡志麻くんと俺、同じ気持ちや♡♡」

「ホンマに可愛ええなァ♡♡セーンラ、俺にして欲しいことなぁい?♡センラの為なら、なんだってやれるよ、オレ♡」

「ん〜、じゃあキスして♡」

「ええよ♡」

俺が求めたら、志麻くんは直ぐにキスをしてくれて、今日だけで一生分のキスをするじゃないかと思うくらいには、やっている気がする。

志麻くんがなんども唇を食むから、唇もふやけてしまって、もうふにゃふにゃだ。

「んっ♡んぅ、〜♡ん、ちぅ、ちゅぅ♡ひ、ぁふ♡」

重力的にも上から下へ、彼から送られる唾液は、今までの数倍あまくて、まるで、砂糖水を舐めてるみたい。

...いや、それは流石に言い過ぎかもしれないけど、それでも、口の中は甘くて堪らなくて、これはもしかして彼と通じ合えたからなのだろうか。

舌が溶けて彼と身体ごと一緒になってしまいそうなくらい絡みついて、夢中になる俺はどんどん呼吸が浅くなる。

でも、不思議と苦しくはなくて、あるとするなら甘すぎるその空気に頭がくらくらするくらい。

「センラ...」

目を閉じて、彼から与えられる全てを堪能していたところで、彼は俺の名前を呼ぶ。

「っん、」

返事はしないけれど、その代わりのようにゆっくりと目を開けて、彼の瞳を見つめれば、音もなく視線は絡み合う。

「キス、したままでええから、後ろほぐすで」

そう言って足に手をかけるから、俺は彼がやりやすいようにと膝を抱え込んで、急所を見せつけた。

積極的過ぎるのは良くないのかもしれない、そう一瞬思ったけれど、隙間からちらりと覗き見た彼の顔は、欲に塗れていて。

「っ、...♡」

彼の理性がキチンと保たれていなければ、俺はとっくに骨の髄まで食われていただろうと、そう思わざるを得ない。

しかしそれはもしもの話であり、現実では興奮しきった表情をしていても、彼は至極丁寧に俺の後ろを解してくれている。

まぁ、さっきのイラマは微塵も丁寧ではなかったが、それはそれで気持ちよかったからノーカンだ。

「ローションちょっと冷たいかもしれん。ごめんな」

いつの間に取り出したのか、彼はあまり使われていなさそうなボトルを開け、尻を重点的にたっぷりとローションを垂らす。

「んッ...」

ボトルを握っていないもう片方の手は俺の性器を軽く掴んでおり、そこにも大量のローションが垂らされる。

肌を伝うそれは少し不快なような、興奮するような感覚で、思わず俺は口の中に溜まった唾液を飲み込む。

「じゃあ、指...入れるから」

その言葉に胸がドキドキして、身体が強ばって、言い表せないようななんだか分からない気持ちで胸がいっぱいだ。

彼は俺のそんな小さな行動すらも見逃さないようで、安心させるように何度もキスをしてくれる。

「ん、んんぅ、〜...♡」

さっき、少しだけ入口を解したからか、彼の指はローションの力も借りつつだが、想像よりもするりと挿入された。

指と一緒に、少し冷たい粘液が中に入り込んできて、不思議な気持ちだ。

「ん、きゅってなった、ごめん、苦しい?」

「ちが、...っん...けどぉ♡」

「気持ちいいとこ、すぐ見つけるから。もうちょっとだけ、我慢して...」

声も手付きも漂う空気も、何もかもが優しくて、甘くて熱くて、もう頭がとろとろに溶けてしまいそう。

彼はゆっくりと、俺の反応を見るように内側を擦っては動きを止めて、また動き出すと、奥へ少しずつ押し進んで行く。

僅かに声が漏れてしまう程度の微弱な快感は、ずっと続けられると、きっと苦しいとか痛いよりも、辛いはずだ。

「んん〜、ッ♡ふぅ、ぅう、...♡」

もどかしくて、ドキドキして。

彼に軽く握られた性器も、ゆっくりと扱かれてはいるものの、確実な快感は得られない。

時折、手のひらで先端を撫でられるけれど、それもすぐに辞められてしまい、余計に下半身へと熱は集まっていく。

痛いほど、無遠慮に自分で扱いてしまいたくなるけれど、それもきっと彼に止められてしまうだろう。

だから俺は、何もしない。

じっと、彼から与えられる僅かな快感に、縋るだけ。

「...さっきの場所...もうちょい、奥か...?」

違和感のある言葉をそう呟いた彼がふと、くっ、と少し奥のお腹側にあるとあるしこりを指先で引っ掻いた。

「んぅ"っ、!?」

その瞬間、一気に身体中を電気が流れるような感覚がして、頭の中ではバチバチと、初めて体感するほどに大量の星が弾ける。

先程も似た感覚を感じたものの、それはここまでではなかったはずだ。

これは一体何事か、と頭が混乱する上に、ハッキリとしないぼやけた思考。

しかしそれは次の瞬間、彼の言葉により答え合わせがされることとなる。

「...ははっ♡みぃつけた♡センラの気持ちいいとこ♡」

「おれの、っきもちぃ...とこ...♡」

彼の言葉を口に出し反復すると同時に、脳内でも言葉を噛み砕いて、ぼやける思考を働かせると、次第にその意味は理解出来始めるが。

「じゃぁ、あとはもう気持ちよくなるだけやで♡センラ♡」

__その続きの言葉を理解する前に、彼は先程のしこりを激しく責め立てた。

「ぅ、ひ...ッ♡♡まっれ、ッぇ!!♡♡♡ぁああ"ッ♡んぅ"う"う"う♡♡♡」

聞いたこともない酷い喘ぎ声と、どこから鳴っているのか理解出来ない水音。

先程までの微弱な快感は一体何処へやら、彼の手は俺がどれだけもがいても声を上げても、酷い快感を生み出すしこりを徹底的に責め上げ、止まることを知らない。

押し込むみたいに、指の腹で撫でては、引っ掻いて、潰して。

頭がバチバチとさっきよりも激しくスパークする。

「これ、めっちゃきもちえぇやろ?♡センラぁ♡♡」

「やぁ"ッ♡♡もっぉ"むり、おちりだめぇ"え"♡♡♡しぬ"っ、しんじゃう"ぅぅ"♡♡♡」

「これ嫌なん?♡センラにはまだ足りひん?♡じゃあ特別に前も弄ったるから、ちゃんとお尻でイク感覚、覚えるんやで♡♡」

本当に本当に、悪魔のような囁きだった。

快感という名の毒のせいで、腰が俺の意思とは関係なく、激しく飛び跳ねる。

打ち上げられた魚みたいに、ビクンビクン♡と。

それでも彼は、宣言通り軽く握ったままになった俺の性器を、ぐちゅぐちゅぐちゅ♡♡と扱き上げた。

まるで子供がオモチャで遊ぶように、裏筋を親指で撫でて、敏感になった亀頭は手のひらで捏ねられる。

「ふぅ"う"う"う♡♡♡♡ッん"ぅ〜〜♡♡♡」

全身を目まぐるしく流れる血液に、頭がクラクラして。

あまりの快感に言葉すらも発せなくなる。

「んはっ♡ぐっちゃぐちゃの顔、かわえぇ...っ、♡♡」

優しいはずの声は今の俺には悪魔みたいで、どこにも逃げ場がない。

その上、途方もない快感は思考の容量を大幅にオーバーしていて、もう気が狂いそうだ。

...いや、気でも狂ってしまえたなら、どれほど良かったか。

ガチガチになった性器を強く擦られて、腹の奥から腰にかけて、重く溜まる甘い疼きが熱に変わって一気にせり上ってくる。

「ん"ぅ〜〜っ!♡♡♡♡あっあっ、つらぃ、♡ぅう、〜♡♡やらぁ、っ♡」

少しでも彼の手を緩めようと俺も俺で必死に爪を立てるけど力の入らない俺じゃ、それは多分、なんの効果もなくて。

「はぁ〜ッ、...♡♡♡」

ため息の後、ぺろり、と唇を舐める彼と目が合って、俺は初めて気付く。

彼の手を止めようとする行動の全ては、俺の思惑に反し、彼を余計に興奮させていたのだと。

俺の手を振り払うように押し退けた彼は、入れていた指を引き抜くと、我慢出来ない、といった様子で俺の足を掴むと、ぢゅうぅと音を立てて内ももに吸い付いてきた。

甘い痺れが流れると同時に、ちくりと、痛みが走って、思わず反射的にびくっと身体は跳ねてしまう。

「うっ...ん、!」

志麻くんが俺にキスマークを...!と喜ぶ間もなく、割と強めに吸い付いた彼は1度そこを離れると、また、他の場所に狙いを定め、それを何度も繰り返して行った。

2つや3つならまだ許容範囲とはいえ、軽い気持ちで足を強く掴まれたまま抵抗も何もせず彼の行動を眺めていた俺は、暫くして、その光景に驚く。

視界に映るのは、...数え切れないほどの赤い痕。

最後には、俺の性器にすら吸い付こうとしていたが、流石にそれは止めた。

そんな所にキスマークが付くはずもなければ、第一これ以上痛いのはごめんだ。

俺の制止の声にハッとしたような顔をした彼は、痕のある部分を愛おしい、そんな瞳で見つめ、すりすりと撫でた。

その瞳に対して、俺は率直に早く抱かれたい、と感じてしまって。

きっと、未だ俺の身体を撫でるのを辞めない彼に、もどかしさで痺れを切らすのはきっとそう遠くない。

持って後数分だろうか、...いや、あと数秒も残っていないだろう。

俺の理性はもう、とっくに限界を超えていたんだ。

何回も、理性を飛ばしそうになったことはあった。

けれど、それでも頂点まで行けないのは、口にしてしまえば、本当に俺は何かを失うことになると、不確定なその感覚だけが、俺の理性を引き止めていたのに。

今になって、理性を繋ぎ止める縄は、解けそうになっていて。

彼と出会ったあの日から、...俺は最初からこうなる運命だったんだろう。

諦めのような感情は、どこか期待にも似ている。

「...っ、なぁ...しま、くん」

今日、何度目かの名前を、口にする。

「ん〜?どうしたん」

それに対する甘くて蕩けそうな声。

察しのいい彼なら、それだけで気付いてもくれそうだけど、そうはいかないみたいだから。

自分の欲望だけを求めるために、羞恥心やらなんやらを全て捨て去って、彼に俺の全てを委ねる。

「...もう、しまくんの、...っいれてほしい♡」

1度口から欲望が出てしまえば、もう止めることは出来なくて、彼の腰に足を巻き付けると、自身の片手で穴を広げるようにしながら、硬くなった性器がソコに触れるように腰を振った。

今までの恥じらいと理性を残していた時のオネダリとは明らかに違う。

どきどきと高鳴る鼓動に、顎を伝う汗は、恥じらいから来るものじゃない。

高まる感情の始発点は全て、自分のはしたない姿に更に欲情し、期待をしているから。

俺の言葉に口の端を釣り上げた彼は、また唇を舐める癖を見せると、俺に覆い被さってくる。

「くはっ...♡その言葉を待ってたんや♡ええで、トロトロになったセンラの処女まんこ、たっくさんイジメたるッ♡♡」

ぬちゅ、と何かの予備動作みたいに、性器を後ろに押し付けた彼は、俺の腰を抑えると同時に、自身の腰をぐっと持ち上げた。

そして、鼓動が一つ、脈を打つ前に、彼はどちゅんッッ♡♡と俺のハジメテを貫いた。

「ん"ぉ"おお♡♡"おっき"いのきだぁ"、ッあ"っあぁ"〜♡♡♡しあ"ぐっのぉ♡♡」

獣みたいな、決して綺麗じゃない情けない声が、意図せず喉から零れ出していくけど、そんなのは微塵気にならなくて。

「ッはぁ〜...♡♡♡センラのっナカ、めっちゃ熱い♡」

彼の声が、体温が、俺を全て支配する。

とちゅ、とちゅ...♡と先程よりも激しくは無いけれど、確実に俺のイイトコロを狙ったそのピストン。

「うっ、♡♡あっあ"♡、おくっもぉ、とんとんっ♡♡きもちっぃ、しぁくっ♡♡」

噂で、初めては違和感で気持ちよくなれることはないと聞いたことがあったが、今の俺は、逆に気持ち良すぎておかしくなりそうな程だ。

痛くもない、苦しくもない。

あるのは快感だけで。

「これもっ、センラは好きやと思うでッ♡♡」

血管が浮き出て、でこぼこした性器が俺の前立腺を撫で上げる。

その瞬間、とてつもない快感により、彼の腰に巻き付けていた足が身体の痙攣に合わせて、ビクッと跳ね、ピストンに追い付けず、離れてしまう。

膝も腰も、ガクガクと震えて、逃れられない甘い快感が、俺をずっと追いかける。

どんなに身体を捩っても、シーツに肌が擦れるだけでイッてしまいそうなくらい、どこもかしこも気持ちが良くて、もう目が回ってしまいそう。

俺の身体は、全部で、志麻くんを歓迎しているんだ。

ぱちゅぱちゅ♡と肌のぶつかり合う音も、高い声で喘いでしまうのも。

優しい志麻くんのせいで、まるで自分が女の子になってしまったみたいだ。

彼の性器が奥にあたると、思わずきゅうんっとナカを締めて、無意識に彼の子種を求めて絡み付く。

奥も前立腺も、浅い所だって、触れるだけでイキそうで。

「ぅ、あっ♡♡ひぁッ♡んぅ"ッ〜♡♡♡」

「は、ぁ"ッ♡♡キッツいなぁ...、♡♡」

そう言って、彼は俺の手を掴むと、指を絡ませてくる。

ぎゅっ、と握られて、指の股をすりすりされて。

そんなことでも、それと一緒に奥を突かれれば、擽ったさと快感が脳内でぐちゃぐちゃになって、手のひらまで性感帯になってしまったみたい。

「しまっぁ"、くぅん♡♡おてて、すりすりっ♡♡んぁッ♡やだあ♡♡」

「ん〜、?♡これぇ?♡」

俺がいやだと声をあげれば、彼は楽しげにそこを責めてくる。

今だって、嬉々として彼は俺の手のひらを指先で優しく触ると、腰を振る速度を少し緩めて、自身の口元へと、俺の手を引っ張っていく。

そして、見せつけるように、ちゅぷちゅぷと俺の指を咥えるから。

「ッ、〜!♡♡♡」

恥ずかしさと擽ったさで訳が分からなくなって、軽くイッてしまう。

「んふ、へんぁ、の...っちんぽ、♡んちゅぅ、♡♡すげぇびくびくしとる♡指くわえられて、っん♡イッちゃった?♡♡」

「わか、っんん♡♡わかんなぃっ、わかんな、ッけどぉ♡♡きもちっ♡ぁあッ♡♡よくてぇ、ッおかひく、っなるぅ♡♡」

視覚から得られる情報も、聴覚からの情報も、何もかもが宛にならない。

「ええよっ、♡♡たっくさん可笑しくなって、俺だけしか見れんようなりぃ♡♡」

ぐりぐりと、閉ざされた扉をこじ開けるように、奥に押し付けられて、止まない快感に、遂におかしくなった頭が、もっともっととそれ以上を強請り始める。

これ以上なんて、ないくらいに今も気持ちいいのに。

もっと欲しいなんて、本当におかしくなる。

...いや、もう既におかしくなっているからこそ、こんなふうに矛盾した思考に至るんだ。

そう考えると、何故か酷く面白く思えて。

行き過ぎた快感にぐずぐずと泣きそうになっていた俺は、今度はふにゃふにゃと笑ってしまう。

「んふっ♡♡ぁっあ、♡しまくんっ、ふふ、っんは♡♡」

「どしたん♡今度はふにゃふにゃやで?♡」

こんな甘くてどす黒い快感が、この世に存在するなんて、知らなかった。

むしろ、知らない方がこれからの人生、楽に生きられたかもしれない。

けれど俺は、この病みつきになる甘さを知れたことに、後悔はない。

「ふふぅ...♡♡しま、くん...俺の事、♡ずっとずぅ〜っと、あいしてくれる...?♡」

一つだけ、懸念点があるとするなら、それは、未来で彼と離れ離れになることだけだ。

こんな気持ちを知った以上、彼以外の誰かでこんなに満たされた心を超えるなんて、出きっこない。

「そんなもん、っんむ...!」

...だから、言葉を発する彼の口を、塞ぐことにした。

『...んふ♡お口で言うのはカンタンや...♡♡ほんとうに誓ってくれるんなら、おれのココ...♡、しまくんのでいっぱい...埋めてくれる?♡...そんで、俺の事、孕ませて♡♡』

証明の方法は別になんだっていいけど、俺を捕まえるなら、捕まえられる覚悟くらいはないと。

きっと、お互い生きてられなくなる。

「っ、はぁ...俺も大概見くびられたもんやわ...、」

ため息をついた彼に、ぐっと顔を近付けられて、ナカにある性器が一緒に奥へと押し込まれる。

「んぁっ♡...しま、くん...?♡」

「...俺は、......初めっからそうするつもりやった。センラが、例え俺の事を嫌いになっても一生離す気はないし、そもそも俺を嫌いにさせるつもりもない。」

初めて見たかもしれない、本気で真面目な表情の志麻くん。

じっと、嘘偽りのない瞳に射抜かれて、俺は想像以上の愛を彼に与えられていたんだと、また新しく気付いた。

「っ、...」

強い意志がこもった瞳を前に、ふざけることも出来ず、言葉が出てこない。

「...センラがそれでも良いって言うなら、俺はこのままセンラの言う通りにする。...っでも、もし少しでも嫌だって思うなら、遠慮なんかせんと、俺を突き飛ばして欲しい。」

「...そんなこと...」

「よく考えて。これは結婚とか、そんな生温い書面上のもんじゃないんや。これは...」

命を分け合う、永遠の契約─だと、彼は言った。

その言葉は確かに、お互いを束縛し合う未来に、ピッタリの言葉だ。

何にも縛られない、けれど、永遠に見えないもので縛られる人生。

俺はふと思い、その気持ちを言葉にする。

「...なんか、悪魔との契約みたいや」

「センラの人生にとっては、...そうなるかもしれん」

すかさず、そう言葉を返す彼に、俺は初めから決まりきった答えを渡す。

「...志麻くんも、センラと同じ気持ちでよかった」

「それって、...!」

安心したように、少し驚いたように唇を震わせた彼に、俺は優しくキスをした。

「っん...♡」

優しいキスは心が落ち着くって、教えてくれたのは志麻くんだから。

少しだけ、お返しに。

「せんっ、」

「もうこれ以上の言葉なんて...俺達には必要ないよ」

「...だったら、ッ最後に...ひとつだけ言わせて。」

彼のその先の言葉に、心当たり全く無いけれど、俺は黙ってその声に耳を傾ける。

「...」

「...明日、2人で指輪買いに行こう」

そう言葉を放ったが最後、彼は止まっていた腰の動きを再開して、俺に言葉の意味を問いかけることを許さないみたいに激しく打ち付けられる。

「んぅッ、♡♡きゅ、にぃっ♡♡」

ゆびわ、ゆびわ...と快楽の海に何度も投げられた言葉は、意味を裏に持たないまま、波の流れで手元に戻ってくる。

どうしよう、早く意味を理解しないと、お腹の中を掻き回されるみたいに、頭の中が快感という名の嵐に掻き乱されてしまう。

待って、とかだめ、なんて言葉は一切聞いてもらえる感じもなくて。

「はぁッ♡もう、考えるんはあとで...ッええやろ、♡♡今はっ、俺の事だけ、ッ考えて...」

ぐっと、肩を抑えられて、耳元でそう呟かれてしまえば、もう何を考えていたかなんて思い出せなくて、頭の中が志麻くんでいっぱいになる。

揺れる視界の中で必死に捉えた彼の首に腕を巻き付けて、汗で少し濡れた髪を弄ぶ。

「しま、くん...しまくんッ♡♡すき、っすきやから、おれのことっひとりにせんといてぇ、ッ♡」

譫言みたいに、ただ彼の名前を呼んで、今出せる最大の力で、彼を抱きしめて、望みをさらけ出す。

これ以上ないくらい愛して。

俺を、あなた無しで生きられるようになんて、造らないで。

「安心しぃ、ッ♡♡不安なんか感じさせんくらいっ、俺で満たしたる♡♡」

お腹の中で暴れる彼のソレが、ドクドクと、大きく脈打ち、最大値からより一層膨らむのを感じる。

「あ"〜ッ♡♡♡んっん、んぁッ♡♡うぅ〜、しぁくっ、いく、ッ?どくどくっ、しとる♡♡」

ビクビクと痙攣する背中をするりと撫でて、喘ぎの合間に出せる言葉で彼に問い掛けると、彼はこくこくと頷いた。

「う"ッ、...♡♡はぁ"〜っ、♡やっば、ぃ...でるっ、いく、っ♡♡♡」

子供あやすみたいに、背中を優しく叩いてあげると、彼は本当に子供になってしまったみたいに、俺の胸の辺りすりすりと頬を擦り寄せるとあろうことか胸の突起に吸い付いてきた。

ちゅうぅ、と遠慮のない吸い付きに、がくんっと俺の体は一気に力が抜けて顎が上を向くけど、行き過ぎた快感が、もう心地いい。

彼に、身体の奥の奥まで、愛されているみたいだ。

突き刺さる性器が、俺の奥の奥をこじ開けて、ぐぽっぐぽっと、やばそうな音を立てている。

「あぁ"ッ♡♡ん"ぅ〜〜ッ♡♡♡」

気持ちいい気持ちいい...、♡脳みそが、熱くって、ぐるぐる回ってるみたいで、今にもパンッと弾けてしまいそう。

「出すぞ、ッ...!♡」

志麻くんの優しくなくて、男らしい声が、俺の頭の中で弾けたら、同時にごちゅんっ♡とお腹の奥底に、熱い塊が押し付けられる。

それから、伝うローションが泡立つまで激しく腰を振って。

「ッ"〜〜〜♡♡♡ナカッ、出してっ俺の奥に♡っ志麻くんの、いっぱい、注いでッ♡♡♡おれもっ、うぁいくっ、イクイクっ♡♡♡ぁ"っ〜〜♡♡♡」

そして、ぎゅうぅ、と腕を締めると同時に、ナカも締めて俺は__志麻くんと一緒に果てた。

「ぐ、ぅ"...♡♡」

本当に、膨らみ切って、容量の足りなくなった風船みたいに、パチンッ、と弾けたナカのソレは、ドクンドクンと脈を打ちながらも、雄としての本能か、ゆるゆると抽挿を繰り返し、吐き出した精をより奥へと擦り込む。

へこへこと腰が揺れる志麻くんをぼやけた視界で眺め、腹の外にも中にも感じる熱いほどの体温。

物理的にも精神的にも酷く満たされた感覚がする。

聞こえていた呼吸音は、どんどん遠くなって、身体が宙に浮かぶような感覚を覚えると、一気に眠気がやってきて、...俺は、そのまま意識を手放した。

もし志麻くんと夢の中で出会えたなら、忘れないうちに伝えておこう。

俺たちはこれからも、騙し騙され、愛し愛され、永遠に生きていく。

それは、一生変わることの無い運命だ。

一緒に生きよう。

どちらかが先に死ぬことも無いように。

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