[R18][ShimaSen] ラブホテル
Author: rui
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・♡/濁点喘ぎ
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「あと5分やん」
「んえ」
2軒目の居酒屋。
席は2時間制だった。
スマホで注文するこの店は、とっくにラストオーダーの時間を過ぎてメニューが見れなくなっていた。ふわふわする脳内と火照った体から、もう自分はすっかり酔っ払っているって自覚できる。
目の前に座る志麻くんの顔なんてとっくにぼやけて見えるし、覚束ない手元で皿に残ったから揚げを箸でつつくことしかできない。お行儀悪くてごめんなさい。
「お店出る?」
「出なあかんな」
「......トイレ行っとこっ」
「はいはい」
しこたまに狭い個室を抜けて、まっすぐ、まっすぐって頭の中で唱えながらお手洗いに辿り着く。
用を足して備え付けの鏡を見たら、マジで終わってる顔面が映った。顔は赤いし、瞼が半分下がってる。なんで若干目え潤んでんねん。キモ!
席に戻ったら志麻くんはスマホをいじっていて、顔色なんて1ミリも変わってなかった。同じ人間なのに、同じくらい酒好きなのに、なんでこんなに差がつくんや。
「ヤバい。俺、顔終わってる」
「そう?そんな?」
「目えあいてへん」
「センラのその顔なんて見慣れてるよ」
「は?慣れんなっ」
んはは、と歯を見せて笑われたけど。
笑ってくれたのが嬉しくて、俺も笑ってもうた。
「お会計呼ぶね」
「もう払ったよ」
「............いくら?」
「教えませ〜ん」
「ああ〜っ!またこれや〜!」
志麻くんはいつもこうだ。
トイレが近い俺の隙を見て、さっさとお会計を済ませてくれる。
トイレに行く前にお会計を済ませればいい話だが、志麻くんとサシで飲む時は大体ベロッベロになってしまう。ので、トイレに行きたいと思ったら何も考えずに席を立ってしまうのだ。
そろそろ店員さんが呼びにきそうな時間だから、コートをしっかりと着て個室を出る。若くて大きな声に送られて外に出たら、つめたーい風が全身を撫でた。
「さむー!!」
「コンビニ寄る?」
「ん〜いいやあ。なんかある?」
「あー...いや、ないよ。歩こか」
「あるこ〜」
酔っ払らうと、意味もなく散歩をしたくなる。
付き合う前、新宿で一緒に飲んでいた志麻くんにそう言うと、「じゃあ東口じゃなくて西口から駅に入ろう」って遠回りをしてくれた。
その時、つよ〜〜〜く、つよーーーーく。
俺って、ほんまにこの人が好きなんや!! って思った。
あの時は触れ合う肩にドキドキしながら歩いてたけど、今はどれだけ触れ合っててもただただ安心する。
煌びやかなメイン通りから少し離れて、若干人通りが少ない道に入っていく。
志麻くんは、電気がついていないお店が並ぶ通りを見ているが。
俺は、志麻くんの横顔ばかり見ていた。
「あっ。ここのラーメン屋潰れたんや」
「結構前にね。センラ行ったことある?」
「なーい......っ」
「......」
目線が合わないまま、手を握られる。
うそ。
うそついた。
めっちゃドキドキする。
「......しまくん」
「?」
一息ついて、ずっと思っていたことを聞いた。
ここ、新宿のどこや。
だって、こんな道入ったことない。酔っ払っててもうなんもわからへんけど、なんとなく駅からは遠くなってる気がする。人通りもさっきと比べてめちゃくちゃ少ないし、飲食店も無い。
「どこ向かって歩いてるの」
「ん〜」
「ん〜って...............」
ぐい、って。 腕を引っ張られた。
目の前の看板に「休憩2000円」「宿泊4000円」って。
「ホテル入ろ」
なんか、なんか、なんか。
驚いてなにも言えなくなって、ええ〜...って情けない声が出た。
飲み終わってベロベロになった後に「歩こう」なんて、そんなんほぼ誘ってるようなもんなのに。あまりにも判断能力が無さすぎて、突然現れたラブホテルに一気に鼓動が早くなる。
あ、セックスかって。
あと、目の前の志麻くんの顔がめちゃくちゃカッコよくて、死んだ。
「.........」
「やだ?」
「......いや...や、やじゃ、ない」
「よかった」
「.........」
俺が手を握り返すと、志麻くんはさっきより優しく腕を引いてくれた。
自動ドアを抜けて、いくつか光が消えているパネルの前に立つ。部屋の写真の下に番号、ボタン。その下に発券機と、半分くらい減った消毒液が置いてある。
「どこがいい?」
「ど...こでもええよ」
「じゃここ」
緊張とアルコールでなんもわからへんけど、志麻くんは光がついてる部屋のボタンを押して、手慣れたようにレシートを取った。
真横にあった古びたエレベーターに乗り込んで、扉が閉まる。
「.........」
「.........っふ、んふ、腰っ」
「体あっついなあ」
「しまくんも熱い......」
がっしりと引き寄せられた腰にドキドキが止まらない。これからエロいことするんやって頭の中がいっぱいになる。点灯する数字が大きくなっていくたびに、俺の心臓の音も大きくなっていく。5の数字でエレベーターが止まった。
「どこ光ってる?」
「ん...?あ、ここや」
狭いフロアを見渡すと、ドアの上にある数字板が緑色に光っている部屋があった。
中に入ると2畳くらいの玄関があって、ふらつく体を必死に安定させながら、なんとか靴を脱ぐ。志麻くんが後ろから体を支えてくれる。好き。
「あ〜あかんあかん転ぶっ」
「気いつけて。ドアもういっこあんで」
フラッフラで部屋に入って、真っ先に目に入ったソファに沈む。
革製のふか〜いソファ。小さいのが2つ並んでる。目の前にはでっかいベッドがあって、なんかもう言葉にできない気持ちになったから、目を瞑った。
ドキ、ドキ、ドキ。
心臓痛い。熱い。緊張する。眠たい。ムラムラする。
隣のソファに志麻くんが座ったから、誤魔化すように声を出した。
「あ゛〜あつい〜」
「だいぶ酔ってんなあ」
「めちゃくちゃ飲んだもん〜」
「冷蔵庫で水買う?」
「うん......」
自動精算機の下にある冷蔵庫にしゃがみこむ志麻くん。
背中広いなあ。ああ、あー。
なんか全部性的に見える。
変態やな俺って。
ご丁寧に蓋まで開けてくれたペットボトルの水が差し出されて、小さくお礼を言って水を流し込む。火照った体がすーっと冷えていく。深く一息ついて、隣のソファで携帯の充電器を取り出してる志麻くんに声をかけた。
「いる?」
「お。ちょーだい」
飲みかけのペットボトルを受け取った志麻くんは、喉仏を大胆に晒して水を飲んだ。
なんかもう、死にそう。志麻くんの全部に煽られている。アルコールで言うことの聞かない筋肉のせいで、目の前の彼から目線を外すことができない。完全にエロい目で志麻くんのことを見つめてしまっている。
「ごめん、もっかい水ちょうだい」
「うん」
ぐい。
突然、座ったまま、引き寄せられた。
「飲ませたる」
「え.........っん」
一瞬で口に水を含んだ志麻くんは、そのまま目下に引き寄せられた俺に、思いっきりキスをした。
舌が割り込んできて、いとも簡単に口を開けられる。
そのあとすぐに流れてきた水は不思議なくらい冷たくて、熱の籠った自分の口内との差を嫌というほど感じてしまう。
口移しでも、割としっかりした量を飲めるんやな。
志麻くんが上手いだけかもしれへんけど。
「......飲めた?」
「.........のんだ...」
「ふははっ」
しっかりと抱えられながら、ソファに横向けに沈んでいる俺に。
志麻くんは、ものっすごいカッコいい顔で微笑んだ。
あーあーあーあー好きや。死ぬ。
ほんまに好き。めちゃくちゃムラムラする。
俺、このままだとほんまに死んじゃう。
おとなしくなった俺を抱えたままの志麻くんは、俺のひどく熱くなった頬をゆっくりと撫でて、上からゆっくりと唇を寄せてくれた。
でもそれを受け取るだけのキャパは今なくて、咄嗟に形のいい唇を手のひらで塞いでしまった。
「......しん、し、心臓やばいから、ちょっとまって」
「ふふ、はい。待つよ」
「......まってくれるんや...」
「そんくらい待てますー」
すりすり。 顎の下を撫でられる。
これ、セックスする前に志麻くんがよくするやつ。なんか動物になった気分で若干複雑なのだが、なんとなく安心するので抵抗できない。あとはたまに、鼻の付け根のところを指でトントンされる。前に「ここを指で撫でると安心して眠くなる」って言ってから、こういう距離が近い時にやってくれるようになった。
あまり人に触られるのが好きなタイプではないが、志麻くんが相手だと割となんでも許してしまう。惚れた弱みってやつなんだろうか。この人と付き合ってから、あらゆるものに関しての許容範囲が広くなった気がする。
広くさせられた、のが正解かもしれないけど。
.........だって、いまも、ほら。
「.........どこさわってんねん」
「いやー?心臓やばいって言うから」
「やばいやろ。さわってわかる?」
「うん。ドキドキしてる」
胸元を手のひらでまさぐられたので、お返しのつもりで志麻くんの胸元にも手を置いてみる。
俺の心臓なんて音が聞こえるくらい元気なのに、同じくらい飲んだはずの志麻くんの心臓はなんら何も感じられない。もしかしたら俺の脈が速すぎて気づけないだけかもしれないが、少なくとも志麻くんの方が遥かに酒豪だと言うことは、身に染みて理解できる。
「............わからん」
「ちゃんと酔ってるけどね」
「ほんま顔に出えへんよね......水飲んでた?」
「いや飲んでないって!目の前で見てたやん!」
「そうやけど〜」
ちゅう。
優しいキスを突然落とされて、真上の男前を睨んだ。
「......まってって、言うた」
「待ってるよ」
「............」
そう。待ってくれてる。首の後ろに当たる志麻くんの股間が、若干膨らんでいるのもわかっている。俺のために我慢してくれているのもわかっている。
実際、はやく、したい。
それでも俺がまだ、彼の唇を押し返すのは。
なんか、がっついてしまいそうで、恥ずかしいからだ。
正直。先週の打ち合わせ帰りに飲みに誘われた時から、こういうことも妄想していた。明日は1日何もない日だし、志麻くん相手ならベロベロになるんだろうなと覚悟もして、ヘパリーゼも飲んできた。
セックスもするだろうなって思ってたから、正直2軒目に誘われた時にやらしい気持ちが湧いた。思ったよりも酔っ払ってしまって、さっきまでラブホに行くなんて脳はなかったけど。それでもこうして手を引かれてしまえば、簡単に絆されてしまうくらい、今日はそういう気持ちで来た。 ので。
「...もうちょっと?」
こうして、恋人がギラついた目をしているのを見ると。
あっさりと自分の手を下ろしてしまうのである。
「.........も、いいよ」
ゆっくりと、まだ抑えるように、唇が重なる。
すぐに舌が入ってきて、さっきの水越しの舌よりずっと熱く感じた。
ぬる、と舌の真ん中あたりが絡まって、いつのまにか握られた右手に力が入る。
「......っふ、んん...♡」
自分が抱く側なら、こんな声出ないのに。
喘ぎ声って、多分意識下でだいぶ変わってくるものなんだろう。志麻くんに抱かれないとこんなこと気づかなかった。序盤は出さないようにしようと思えば喘ぎ声なんて出ない。でも、俺のこの声で、この人が興奮してくれるなら。いくらでも、なんでも言ってやろうという気になるのだ。
いつの間にか腰から手が入ってきて、くすぐったさに身を捩る。
「......っふふふ、さむー」
「体ほんまに熱いで。大丈夫?」
「だいじょぶ〜」
また深いキスをされる。じゅ♡じゅう♡なんて唾液が吸われる音が響いて、上に置かれた志麻くんの手ごと腰が揺れた。不思議なことに、キスをしていると心拍が落ち着く。それはこの人のキスが上手いからかは、わからない。さっきよりも息がしやすいし、全部任せてもいいという気持ちになるからかもしれない。
「気持ちい?」
「...うん......♡」
あああ、カッコいい。
俺のこと、もうどうにでもしてくれという気持ちになる。
「...っんふ、ひひっ」
「くすぐったい?」
「うん、めっちゃこそばい......あははっそこいややっ」
脇腹のあたりを指先でくすぐられて、思わず口を開けて笑ってしまった。
ふと志麻くんの動きが止まったから、反射的に閉じていた目を開けて顔を覗くと、心底優しい顔で微笑んでいた。
それにたまらなくなって、志麻くんの着ているトレーナーの襟元を引っ張る。簡単に顔が近付いて、お互いに目を閉じてキスをする。さっきみたいな深いキスをしばらくして、口を離した時に唾液が糸を引く。
それを音を立てて啜ると、小さく「エッロ」とつぶやかれた。
「贅沢にソファ2個使いしてるね」
「っはあ、はあ、ん......なんやこの座り方...」
「ベッド行く?」
「......うん...っうおおっ!」
突然体が持ち上がって、咄嗟に志麻くんの首元に腕を回す。
「ちょっと!腰弱いんやから無理せんでええって!」
「なんや。人をおじさんみたいに」
「そうじゃなくって......うえ゛っ」
「あっすまん」
思ってたよりも雑にベッドに落とされて、怒ってやろうと思って目を開けたら、もうすぐそこに目を閉じた志麻くんの顔があって。死ぬほどかっこいい顔に圧倒されて目を閉じると、口の中にぬるりと舌が入りこんでくる。
「っん、ん、んん〜〜っ......♡」
「っ......はは...」
なんで笑ったんだろ。変な顔してたかな。
でも今目を開けたら志麻くんと視線が合いそうな気がして、固く目を閉じたまま、舌を絡め続けた。とにかくいろんな絡まり方をしてくるので、体の力が簡単に抜けていく。あまりにエロすぎて、思ったことがそのまま口から出てしまった。
「......キスえっろー...」
「うん。今からエロいことするからね」
「......ん、ぁ...っ♡」
直接的な言葉が1番効く。だからもっと言ってほしい。
そう強く思っていると、無意識に腰が揺れていたみたいで。
腰が持ち上がったタイミングで、志麻くんの膝が俺の股間を押した。
「ぁ、やあ...っ♡」
「んー?」
わかってるくせに、わかってないふりをして。
まだ若干固くなったくらいの股間を優しく揺すぶられる。アルコールで勃ちにくくなっているけど、志麻くんに触られたらあんまり関係ない。
「勃ちそう?」
「......勃つ、けど」
「けど?」
「.........あたって、る」
それは、彼も一緒らしい。
「......触って」
指先でひっ掻くように、ジーンズの上から盛り上がっているところを触る。こっちに上からもたれてきて、耳元で「ふー...♡」と熱い息がかかったかと思ったら、さっきよりもずっと強い力で膝が動いた。
「っは、ぁっ♡」
ごりっ♡と膝を回されて、体が跳ねる。
こっちも必死に触ってあげようと頑張るけど、気持ち良すぎてなかなか手が動いてくれない。志麻くんの首元に顔を埋めていたら、またすぐに深いキスをしてくれた。
舌を絡められながらウエストのところに指を引っ掛けられたので、脱ぎやすいように腰を浮かせる。
もうなにも恥ずかしがることはない。
...はず。
「ん、んん...♡ぁ、や...っ♡」
「ん...」
膝で揺さぶられて、首筋を吸われて、エロいキスをされて。
もう全部気持ちよくて、志麻くんのことしか考えられない。
「下着も脱がせていい?」
「......うん...」
パンツのゴムがゆっくり下げられる。薄暗くてよく見えないが、上に持ち上がったちんこに視線が集まっているのを感じる。また腰を持ち上げてパンツが足から抜けたら、指先で先っぽをくるりと弄られた。
「舐めてもいい?」
き、今日、早いな。
セックスのたびにフェラをしてくれるけど、いつももうちょっと後なのに。今日は余裕がないんやろか。男前で美人な顔立ちだから感情がよくわからない。多分、めちゃくちゃ興奮してくれてはるんやろなって、なんとなく察する。
首を縦に振ると、すぐに志麻くんがベッドの下の方にずれる。
仰向けになって、大変滑稽な体勢になってる俺を気に留めない志麻くんは、ゆるく立ち上がったちんこに指を這わせる。わざと大きな音を立てて先っぽにキスをされた。
「っあ♡」
「ん、はは......しょっぱ」
「っ味わうな!ぁ、あっ♡」
ぐぽ♡ ぐぽ♡
ほんまに男なん?ってやり方で、喉の奥まで咥えられて腰が浮く。上顎を通り過ぎたあたりの、骨のないやわらかい喉のところに亀頭が当たって、思わず深いため息をついてしまった。気持ち良すぎる。
飾り気のない、ナチュラルなセットの頭をゆっくり撫でてしまう。男としての何かが疼く。抱かれるのは俺だが、この人をめちゃめちゃにしたい気持ちが溢れる。
「ん......だいぶでっかくなった」
「あー......ほんまにフェラ上手い」
「なはは。ありがとう」
「っあ゛♡」
結構な力で竿を握られて、唾液で滑りが良くなった状態で上下にしごかれる。カリを思いっきり引っ掛けられて、もがくように両足を曲げてしまう。それが見つかって、大きな手のひらで太ももの辺りを押し開かれてしまった。
「ぁ、ああっ♡やら、きもちい、あっ♡」
「痛くない?結構な力でしごいてるけど」
「いたくないぃ...っうぅ♡あー...っ♡」
「エッロい音鳴ってるよ」
たまに手のひらで亀頭を擦られるのがたまらなくて、自分でも我慢汁が溢れるのを感じる。ぐちゅぐちゅなる音が唾液なのかなんなのか、もうわからへん。気持ちいい気持ちいいって頭の中で唱えるしかできなくて、志麻くんの手のひらをカリカリと爪で引っ掻いて、必死に抵抗した。
「センラ、一回射精する?」
「ん、んん?♡する、するっ......♡」
「じゃあ出そ。ほら、出せ出せ〜...♡」
「あぁっあっあ!♡はやい、ぃ♡」
筒状にしてくれた手のひらに腰を振って、迫り上がる射精感に身を委ねる。
見かねた志麻くんが俺の腰を上からぐ〜っ♡と押さえつけたかと思ったら、尿道を分厚い舌先でぐりっ♡とほじった。
「っあ゛♡」
「んんー......♡」
「やぁ、でるでるでる♡でる、イく♡いくっ〜......♡」
「っ......」
びゅう、びゅっ、ぴゅ♡
どこに出したのかもわからないまま、体を突き抜ける快感に痙攣する。
出し切るようにしごいてくれる志麻くんの指と、生暖かいままの亀頭の感覚に、志麻くんの口内に射精したことをぼんやりと理解した。
「っは、はぁっ、はあ...っ♡」
「......んー」
「あ......ちょ、ティッシュ、まって」
「あいあお」
1発目なんて精子の量が多くてマズイってもんちゃうのに、いつまでも口から出さない志麻くん。急いでティッシュを差し出すと、見せつけるようにこってりした精液を吐き出された。うわーエッロ。そんで俺は出しすぎやわ。
「気持ちよかった?」
「うん...志麻くんフェラうますぎや」
「そうなん?あんまわからへんけど」
「なんなら俺よりうまいよ」
「それはないわ。センラはうまいだけじゃなくて顔が可愛いし、所作もエロい」
「.........あ、そう...」
ティッシュで口元を拭きながら、大真面目な顔で言われる。
普通に照れてしまったし、射精して若干萎えたちんこを仰向けで曝け出しているのも恥ずかしいため、手招きで志麻くんを呼んだ。
すぐに近くに顔を寄せてくれたので、躊躇いなくキスをする。
「ん......っ♡ん♡」
「......」
「っ!♡」
びくん、と体が跳ねる。
やんわりと撫でられていた尻の窪みに、志麻くんの指が添えられた。
何度も経験したことだが、ここを触られると「男」としての気概が極限まで薄れる。
「メス堕ち」なんてたまに聞くが、俺にとってのメス堕ちは、女みたいにあんあん喘ぐってより......その、精神的な部分が大きい。
あれだけ強く男として生きてきた俺が、たった2個上の男にちんこをハメられて、酷く優しく抱かれる。俺にとっては、潮吹きやその他のようにわかりやすく体が作り変えられなくても、志麻くんにこうして抱かれるだけでとっくに堕ちているのだ。
この人が興奮するなら何してもいいと思ってしまうのも、俺の中で最大の「愛」だと思っている。
「やべっ。待って」
「へ......?」
「ローションが無い」
「.........」
まあ、たまにこの人はこういうところがあって、残念なのだが。
いつのまにか志麻くんもジーンズの前を開けていて、窮屈そうにするちんこを下着から少しだけ出していた。なんかもう亀頭だけで俺とはレベルが違う。ましてやこの人は金玉もデカくて、出る精液の量も俺より多い。
顔が良いに限らずそこも優れているなんて、世の中は不平等だなあと志麻くんを見ていて思う。身長が低くなかったら逆に好きになっていなかったかもしれない。
それは嘘かもしれないけど。
「そこに売ってるやろ」
「買ってきてもいい?」
「...はよ行ってきて」
「ごめん〜...」
わかりやすくむくれる俺にキスをして、アダルトグッズが並ぶ自販機の前に志麻くんがしゃがみこむ。仰向けで待つのも恥ずかしいので、枕を抱えて体育座りをする。
ああームラムラする。はやくはやく。ローションくらい準備しといてや。てか別に唾液とか精液で何とかできるんちゃう...と思うが、2人ともアルコールが入っているので、我慢汁も唾液もいつもの半分くらいしか出ない。
どうせ1回じゃ終わらないだろうし、何なら家から持ってくればよかったくらいかも。
「女性が正直に?媚薬入り温感ジェル?やって」
「なんでもええって」
「ちゃうんよ。媚薬入って無い方もあんねん」
「............」
「どっちがええんやろなー」
媚薬なんて、んなもんいらんやろが。もうギンギンに勃起しとるやろがい。もう目に入ったローションをさっさと持ってきてくれ。こちとらアンタの広い背中だけで抜けそうやねん。
ねえ。はやく。はやく。
「............まーし、ぃ」
はやく、こっち、もどってきてよ。
「まーしぃっ」
「...んー?」
やけにゆっくり返事をした志麻くんが、しゃがんだまま、顔だけこっちを振り向く。
薄暗い部屋のライトに照らされた顔がほんまにカッコよくて、エロくて、本能的に股を開いた。見ろ、見ろーって。興奮しろって。それで、はやく、はやく。
「......はやく、さわってよぉ......♡」
俺、今。
わかりやすい意地悪にも泣きそうになるくらい、興奮してる。
股を開く俺を見た志麻くんは、一度髪の毛をくしゃっと崩して、乱暴に自販機のボタンを押してローションを取り出した。あれだけ悩んだフリしといて、結局あんま見やんで買ってるやん。まんまと煽られてくれた志麻くんがこっちに戻ってきたので、両手を広げて、簡単に押し倒される。すぐにディープキスをくれる。
「っん♡んん、ん♡ぁ、はふ、ん〜っ♡」
「っは.........はは、ほら、舌出して」
「ぇ...♡ぁう、んん...♡」
ごり、ごり♡と太もものあたりに志麻くんのちんこが擦られる。さっきより遥かに大きくなっているソレに、自分の体の奥がきゅん♡と疼いた。はやくこれが欲しい。痛みとか体力とか、そんなの何も気にせず腰を振って欲しい。
「......俺にああやって言わせたくて、焦らしたやろ」
「うわ。バレたか」
「性悪。いけず。あほ」
「かわい...『いけず』って、もっかい言って」
「......言わないっ、ん、んん......♡」
志麻くんは、俺の些細な方言にすぐ「今のもう一回」って言ってくる。同じ関西弁......まあ確かに、高知と京都では訛り方はだいぶ違うけど、志麻くんが俺の京都弁にメロメロなのは、付き合う前から知っていた。
とくに「いけず」って言うと、可愛い可愛いってたくさん褒めてくれる。普段は無意識に出るけど、志麻くんの前で何度もこれを言ってしまう自分は、まあ何というか、あざといなあと我ながら思う。
「...触るよ」
「っうん.........♡」
ゆっくりと志麻くんの指が入ってくる。たま〜に前立腺をかすめられて、びく♡と体が跳ねる。なんで男にもこんなに気持ちよくなれるところを作ったんやろなあ。神様って多分エロ男やんなあ。日本人の無宗教ぶりを失礼に発揮しながら、ぐちぐちと拡張される感覚に浸っていた。
「っあ゛っ♡」
「あ。相変わらず見つけやすいなあ」
「んっぃ゛...♡あっ♡ぁ、そこ、そこっ...♡」
「ははっ......すげーエロい」
いや、前立腺触ってるの気づいてなかったんかい!
と思いながら、さらにハッキリ弄られるようになって、快楽が格段的に増える。
指でこすられて、しごかれて、体の中にびりびりびり♡と電流が走る。綺麗に喘ぎたくても、喉の奥から捻り出すような、汚い喘ぎ声ばかり出てしまう。
「う゛...♡ぁ♡んっ、あ...♡」
べろ〜♡っと首筋を舐められて、爪先で乳首の先端を引っかかれる。
俺はあまり乳首で感じる方では無いのだけれど、それでも志麻くんに弄られてから感度はすごく上がった。ひとりでする時も手持ち無沙汰に乳首を弄ってしまうくらいには出来上がってきているので、ここでアンアン喘ぐようになるのも時間の問題だと思う。
「気持ちいい?」
「ぅん、うん...♡っあ♡あ゛...♡」
「指増やすよ」
「っん゛ん〜〜っ♡♡」
1本だった指が2本になって、増えた圧迫感にまた汚い声が出る。
あー、気持ちいい。しんどい。足がピンと伸びる。
「あっ♡あ゛♡あっ♡ぉ♡」
「すげ......どんどん広がってんで」
「う゛ぅ......♡きもちい、ぃ...♡」
「志麻のちんこ入るように頑張ってくれとるね」
「っ♡」
えらいえらい♡なんて頭を撫でられて、そのままキスをされて、もう体も心もとろとろだった。はやく志麻くんのが欲しい。もう充分すぎるほど解れたやろ。
そんな気持ちで今度は俺からキスをしたら、意図を察してくれたのか、志麻くんが自分のズボンに手をかけた。
「......俺も脱ぐわ」
「はぁ、はあ...うん......♡」
パンツと靴下ごとズボンが下げられて、痛そうなほど勃起したちんこが顕になる。いつ見てもでっかいな。ちんこばかり見てしまうのもアレなので、視線を上に上げると、めちゃくちゃ興奮した顔の男前が前髪を掻き上げていて、死んだ。
「っふふ」
「.........なんよ」
「いや。顔カッコええ〜と思って」
「あー...ありがとね」
「?」
返答が淡白やな?と思ったのも束の間。
がぶ、と首筋を噛まれて、耳元でつぶやかれる。
「......挿れたい」
「っ......」
「いい?」
「......う、ん」
「...欲しい?」
今日の志麻くん、言わせたがりやなあ。
前に直接言うたやんか、俺。「志麻くんが興奮するなら何でもする」って。そんな回りくどいことせんでも、言ってってお願いされたら、なんでも言ってまうよって。
志麻くんのちんこを指先でなぞって、目線を一切逸らさずに。
男の俺が出せる精一杯の甘え声で、おねだりする。
「......ぃ、挿れて......っ♡」
またキスをしてくれて、舌先を舌先でこしょこしょ♡と擦られる。いやエッロ。たまにするけどそれめっちゃエロいわ。最後にもう一回じゅう〜っ♡と舌を吸われて、志麻くんがベッドサイドに手を伸ばした。厚い胸板が目の前に迫って、志麻くんの匂いも濃くなって、誤魔化すようにため息をつく。
何も言わずにコンドームをつけてくれる。
俺が女の子を抱いてた頃。正直のところ、ナマの方がすぐイけるんやろなあと脳裏によぎった時が何度もあった。もちろん責任が取れるような年齢でもなかったので、タガが外れたことはなかったが、妊娠する可能性のない俺相手に必ずコンドームをつけてくれる志麻くんは、本当に信頼できるなあと思う。
あたりまえのようで、あたりまえじゃない。
愛されているなあと、こういうところから感じる。
「......ありがと」
「いつもお礼言うね。ゴムなんて当たり前やん」
「...うん......♡」
好き、好き、好き。大好き。
志麻くんが相手だから、何だってしてあげたいと思うんだよ。
「っふー.........♡」
「痛かったら言うてな」
「ん......♡まーしぃ、ちゅう...♡」
「はーい」
ご機嫌な返事をしてくれて、可愛い志麻くんに口角が上がった。
それも束の間で。
キスをされながら、熱くて硬い先端が後ろに擦りつけられる。
ローションで滑りが良くなっていて、コンドームの精液溜まりがあちこちに擦れるのを感じる。は、は、と呼吸が荒くなって、期待のあまり、わざわざ首を持ち上げて接合部を見つめてしまっている。
「っう゛、んん〜〜〜っ♡♡」
「は、ぁっ......♡」
ずぷ.........♡と。
おっきな先端が入ってくる。
慣らすように、焦らすように。亀頭だけが出し入れされて、もうそれだけでも全身がゾクゾクする。目の前のがっしりした首元に腕を回して、志麻くんの顔を引き寄せてしまった。
すぐにキスをしてくれて、もたれこむように俺の耳元に肘をついた志麻くんが、「痛くない?」と聞いてくれる。コクコクと頷くと、「もっと挿れるね」とつぶやいて、大きな質量がナカの肉をかきわけてきた。
「っお゛......♡ぁ、ああっ...♡」
「っふー.........やべ、気持ちい......っ」
「はぁ、はっ......ぁ、あ...♡きもち、ぃ、きもち......♡」
「可愛い......センラ、可愛いよ」
かわいい、かわいいって。何度も何度も言ってくれて、いやらしく耳まで舐められて、頭がおかしくなりそう。
いつのまにか奥まで挿入されたちんこが、俺の些細な動きにびくびく♡と反応する。可愛いのはそっちもやん。お互いにこんなメロメロになれるセックスができるなんて、付き合いたての頃は思ってなかった。
「......動いていい...?」
「ん、うん...♡っあ!♡あっ、あっ♡」
「っふー......っ...」
あー気持ちいい。しんどい。内臓が揺れて、ずりずり〜っ♡とちんこが抜けていく感覚がたまらない。なんとか志麻くんの肩に爪を立てないようにしているが、ちょっとずつ溜まっていく快感に、そんなこと気にする余裕なんてなくなってくる。
「っう゛、あっ♡あ゛♡あ、あ゛っ♡」
「声可愛すぎ......っあーやべ、腰止まらんっ...」
「んー...っ♡ん、あ、おっき、おっきぃよお...っ♡」
「っはは......♡」
一瞬、動きが止まって。
両足をぐい〜っ♡と上に持ち上げられて、志麻くんがすこし立ち膝になる。
ーーーばちゅんっっっ♡♡
「っお゛.........っ?!?!♡」
ぱしっ。 急いで口を塞ぐ。
じんじんと響く奥の方の快感に目を瞑って、より一層密着した下腹部に左手を添える。腹筋を使っているため硬くなっているお腹が震えていて、全身で志麻くんを受け止めていることに嬉しくなった。
「なーに、なんで口塞ぐん...っ」
「ゃ、やだ...っ♡こえ、きたないのでる...っ♡」
「なんでよお。ええやん、そっちの方が興奮する...」
「やだ、やだぁ......っう゛ぁっ♡」
この人相手に「やだ」なんて通用しないことはわかっているが。それでも、濁った喘ぎ声はあまり聴かれたくない。でも喉の奥から出るのは下品な声ばっかりで、絶対に可愛くないはずのソレに志麻くんは何度も何度も「可愛い」って言ってくれる。
汚い声を聴かれたくないのは本当だけど、ナカでちんこがびくびく♡と痙攣しているのを感じて、別にいいのかとも思ってしまう。
「ん゛っ♡あ♡あっ♡お゛♡っん、あ〜〜っ♡」
「奥気持ちいい?奥の方が好き?」
「すき、すきぃ゛♡あっ、ぅ♡あん♡」
「はは、知ってる...っ」
それでも口を塞いだまま快感に耐え忍んでいると、蓋の役割をしている俺の手の甲に志麻くんが優しくキスをした。王子様みたいな、あまーいキス。王子様なんて知らんねんけどさ。
「ほら、口塞がんといて、キスできひんやろ」
「っう......♡ゃ、やだ、ちゅうする...♡」
「うん。じゃあこの手よけて?」
「.........っ」
「......ん、いい子」
あ、あああ。カッコいい。
好き。もっと褒めてほしい。
この人とセックスしていると、日頃から俺が心の奥の奥に秘めてある、男としては情けない部分が引っ張り出されてしまう。
「っん゛♡んっ、んん゛♡ぁ、う♡」
「あぁー......やっべ、締まる...っ♡」
「うぅ♡きもち、きもちい〜...っ♡」
「っは、ごめん、すぐイきそ......っ!♡」
もう一度俺の足を抱え直した志麻くんは、もう1段階上から腰を落とし始めた。
それがたまらなく気持ちよくて、縋るように志麻くんの首に腕を回して引き寄せる。俺の顔の横に肘をついて、必死に腰を振る志麻くんが愛おしすぎて、電流みたいな快感を感じながらも柔らかい髪の毛を撫でた。
「っはぁ、ごめ、センラ、イっていい...っ?♡」
「ん、いいよ、はよ...っ♡はやく、はやく出して♡」
「ぁ〜〜っ♡やべ、イく、イクイク、出るっ......!♡」
どく♡ どく♡ どく♡
ナカで思いっきり痙攣して、コンドームに射精しているのがわかる。
出し切るように、刷り込むように余韻で腰を振っているのが雄くさくて、それに応えるようにきゅうきゅう♡と俺もナカを締めた。
「っはぁ、はっ、は.........♡」
「......っ♡」
ぬぽ♡と、少し柔らかくなったちんこが抜ける。
何度も何度も深い呼吸を繰り返す志麻くんが完全に俺の方に倒れ込んで、密接した心臓がバクバク♡と鳴っているのを肌で感じる。本気や。なんかもう全力。ほぼスポーツやねん、セックスって。
「っあ゛〜〜...ごめん、なんか今日早いな...」
「んーん...いつもが遅漏なだけちゃう」
「酒入ってるのに何で...センラがエロいからか」
「いつもと変わらんやろ」
たまに軽いキスを挟まれながら、精液が溜まったコンドームがティッシュに包まれて捨てられる。志麻くんは使い終わった避妊具を見られるのがまあまあ恥ずかしいらしいが、俺はどれだけ自分に興奮してくれたのかが一目でわかるので、こんな暗闇でも目を凝らしてこっそり見てしまう。すげー量。嬉しくなる。
「ラブホやからかな?」
「ああ......確かに、それもあるかも」
「.........ちなみに」
「ん?」
「いつから、その、ここ来るつもりだったん」
俺の上から退いた志麻くんは、隣に仰向けになって寝転んだ。
俺もやっと心臓が落ち着いてきたので、志麻くんの上を跨いでテーブルにあるミネラルウォーターを取る。なんか一気に半分くらいなくなった気がするけど、何とかなるやろ!と思って遠慮なく飲ませていただく。
そのままベッドの端に座ると、志麻くんが照れくさそうに話してくれた。
「...まあ正直、飲みに行こって誘った時から、セックスはしたかったけど」
「......うん」
「新宿から近い俺の家かなって思っててん。ほんまに。終電なくてもタクシーで連れ込もうと思ってた」
「あははっ!俺、連れ込まれそうやったんや」
「そらそうやろ。なんで酔っ払ったセンラを易々と家まで送らなあかんねん」
「こわあーっ」
帰したくないって、思ってくれてたんや。
うれしい。こっちもそうやったって。まあどうせ酔っ払うから、俺の方こそ何とでも言えば家に来てくれるかなーとも思っていた。コスイ恋人でごめん。
「でも、なんて言うの、あまりにエロくて」
「...何?俺が?」
「センラが。仕事の話とか色々したやろ。久々に2人きりで居酒屋入ってさ、いろんな話して笑ってるセンラが、可愛いなあーって思って」
「可愛い?エロいって言うたやん」
「いや、その......2軒目行くまでの道で、センラ見たらさ」
「.........」
「めっちゃ、なんか、エロい顔してて」
.........うわ。この人、すごいな。
そんな......うわあ。すげー。
バレるもんなんや、ああいうのって。
「.........エロい事考えてたからや」
「へっ」
当たり。大正解。
志麻くんって、めっちゃ俺のこと見てるんやね。
「...正直、俺も今日そういうつもりで来たし。2軒目入ってからはベロベロになってほんまに何も考えてなかったんやけど、入る前は、めっちゃエロいこと考えてた」
「......たとえば、どういう」
聞くな、そんなこと。
いけず。
「............今日、帰さへんって、言ってくれるかなって...」
流石に恥ずかしくて、顔を見れずにそう言うと、後ろから強く腕を引かれた。
いつのまにかあぐらをかいていた志麻くんに引き寄せられて、ベッド端に座った状態で、志麻くんに膝枕されているような体勢になる。真横にちんこあるけど、もうこの際気にせん。それよりも真上のイケメンに釘付けである。
「...帰りたくなかったってこと?」
「.........うん」
「やば、えっ......ほんま、そういうとこあるよな...」
「なっ...照れるからやめて」
「可愛いなあマジで。大丈夫なん、こんな可愛くて」
上下反対からキスをして、嬉しくて笑ってしまった。
無意識なのかわからへんけど、また顎の下をこしょこしょと撫でられている。あーなんかスイッチ入ってもうたやん。空気が甘くなったもん。
「俺もセンラと同じくらいベロベロやったから、家までもたんかった」
「いやほんまに...こんなラブホ来たことないって」
「俺もない。空いてなかったらどうしようって思った」
「ローションもないし」
「......それはごめんって」
わざとむくれるように頬を膨らませたら、案の定「かわいい」ってメロメロの声が飛んできて、またキスをしてくれた。
欲しい言葉は何でもくれるし、これを言って欲しいなあって言葉もすぐにくれる。
モテそうやなー。まあもうどこにも行かせへんけどさ。
一生センラにメロメロになっとけばええんや、志麻くんは。
頭の中を志麻くんへの独占欲でいっぱいにしていると、だんだんとキスがエロくなっていることに気づく。舌を絡められて、耳をくすぐられて、なんなら左手で乳首をやんわりと弄られている。そんなんされたらこっちだってすぐスイッチ入んねんで。
「......センラ、こっち」
ずり〜っと体を引っ張られて、ベッドの上に引き戻される。
なぜか足の方に枕があるけど、まあもうなんでもええわ。俺がキスに夢中になってる最中にまたコンドームをつけてくれたらしくて、ゴム付きのちんこが内ももあたりに擦り付けられていることに気づいた。
もうすっかり勃起してるやん。復活が早い。
「......もっかい挿れていい?」
「...うん。挿れて...」
軽くキスをされたと思ったら、肩をぐいっと押されてうつ伏せになる。耳元で「腰上げて」と囁かれて、ああそういうことかとすぐ四つん這いになる。
一気に視線が集中したのを感じて、ゆらりと腰が揺れてしまった。
「うわ...エロ」
「ちょおー...そんな見ないでよ」
「ごめんごめん。挿れるよ」
「ん......っん♡」
つぷ♡ つぷ♡ と贅沢に亀頭で焦らされて、すぐにナカを掻き分けてちんこが入ってくる。さっき俺だけイけてないのもあって、もうすぐに激しくして欲しい気持ちが溢れる。思いっきり俺から腰を振りたいけれど、それすらも彼にして欲しくて、俺はきゅんきゅん♡とナカの痙攣で期待を伝えることしかできない。
「っすげ......すぐはいってく...っ♡」
「あっ...♡あっ、あ♡やば、ぃ...♡」
「...っ動く、わ...っ!」
「あ゛ぁっ♡あんっ♡はっぁっあっ♡」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡
バック特有の肌を打ち付ける音が部屋に響いて、あー今セックスしてるんや...と無理やり自覚させられている気がする。
すぐに奥まで届くこの体位が好きで、はやくイきたい気持ちが抑えられない俺は、もうどうにでもなれ!の気持ちで自分のちんこをしごき始める。
直接的な快感に思わず上半身を落としてしまったので、すぐに志麻くんにバレてしまった。
「っはは......なあにセンラ、オナニーしてんの...?」
「ちゃう、んん...♡もぉイきたい、イきたいよぉ...っ♡」
「ごめんね、いっぱいしごいてええから......♡」
「っあぁー...っ♡やば、イきそ、ぉ......っああ゛っ?!♡」
ぐりっ♡ と圧力が2倍になる。
我慢汁でぐしゃぐしゃの俺のちんこに志麻くんの手も添えられて、あろうことか俺がしごくより何倍も速いスピードで手コキされる。びりびり〜っ♡♡と男としての快感をモロに浴びて、もう脳内がバグりそう。
「ほら、俺にも触らせて......っ」
「っやあ゛ぁっ♡あ♡きもちぃ♡あっ♡」
「はは、すげ...っ、ぐっちゃぐちゃや...♡」
「やら、だめっ♡すぐイッちゃう...っ!♡」
「ええやんっ、ほらイけ♡イけっ......♡」
駆け上るような射精感に身を任せて、前も後ろも露骨に気持ちよくなって。
あ、イク、と思った時には、もう先っぽから精液が漏れていた。
「っぁ、ぅ♡っんん゛ー......っ♡♡」
びゅっ♡ びゅっ♡ びゅう〜〜〜〜〜...っ♡
今日2発目の射精。
それでもって散々焦らされた後の射精は、本当に頭がおかしくなるほど気持ちいい。布団に顔を埋めて、手に出したザーメンが溢れることも気にできず、必死に体に溜まった快感を外に逃がす。.........すると。
ーーーぐいっ♡♡ ばちゅっっっ♡
「あ゛っ?!♡♡」
「っはぁー............っ♡」
突然腕が後ろに引っ張られて、上半身が起き上がる。
視界が一気に変わった瞬間に、奥の奥にちんこをハメられて、ごつ♡ごつ♡とえぐいピストンをされる。鬼畜なことに俺のちんこは握られたままで、さっき出した精液で滑りが良くなったために、摩擦がなくなって脳天がブチ切れそうだった。
「っ♡ぅ♡ん♡ぁ、しぬ、しんじゃう...っ♡」
「死なへん死なへんっ、ほら、もっかいイッとこ、な...♡」
「けほっ♡はぁ♡あ、あっあ〜...♡」
「はは......アヘ顔かわい...♡」
なんで顔......?と思って、薄ら目を開けると。
ずっとテレビしかないと思っていた壁際の上の方に、黒い鏡があることに気づいた。
クリアな鏡ほどハッキリとは映っていないが、俺に腰を振る志麻くんはもちろん、俺のぐちゃぐちゃになった顔面はしっかりとわかるくらい映っている。
そのエロすぎる反射に、俺はタガが外れたように興奮して。
さっき出したばかりなのが嘘なのかってほど、突然射精感が込み上げてきた。
「ぁ、でる、でるでる......♡」
「うん、ええよ♡志麻の手の中に射精して♡」
「っイク♡イクイク、いく......っ!♡」
っびゅう♡ びゅっ♡ ぴゅ......っ♡
「ごめん......俺もイかせてっ」
「っへぁ?!♡ぁっあ゛♡ぅ、ゃ♡」
また上半身が布団に沈められて、ほぼ寝バックの体位で腰を振られる。
ごん♡ごん♡と凶悪的な硬さのちんこが前立腺を抉って、内臓が大きく揺れる感覚にもはや呼吸さえままならない。このままだと本当に死んでしまう。志麻くんとのセックスで死ぬ。ちんこに殺される.........っ♡♡
「ぁー......っやべ、いきそ、出していいっ...?」
「んゃ、あ゛♡はやく、はやく、っ死ぬ、しぬ...っ!♡」
「ごめん、出る、いく、いくっ...!!♡」
どくっ♡ どく♡ どく......♡
「っぷは、はぁ♡ぁ、んん...♡」
後ろから噛みつくようにキスをされて、テクニックもクソもない、獣みたいなディープキスをする。れろ...♡と舌先が深〜く絡まって、最後に下唇をちゅう♡と吸われた。
唇が離れたあとに唾液を啜ったら、志麻くんがばたーんとベッドに倒れ込んだ。
「し、死ぬ......っ」
「っあははっ!そうやんな、動く方が疲れるよな」
「センラだってわかるやろ...」
「うん、わかるよ。おつかれおつかれ」
「ああ゛〜......尽きた......」
そっち側のキツさもようわかる。ほんまにしんどいねんて。俺たちは比較的体力がある方やからお互いに満足できるけど、揺さぶられてる俺より、ずっと腰振ってる志麻くんの方が5倍はキツい。いや、10倍かも。そのくらいしんどいと思う。
ぺしょ...とベッドに沈んでしまった志麻くんの頭を撫でながら、ベトベトの下半身に気づいて、早くスッキリしたいな...という気持ちが湧いてくる。気持ち的にはもうスッキリどころではないが。
「お風呂のお湯ためる?」
「んー...センラが入るなら入る」
「俺もまーしぃが入るなら」
「じゃ入るか......」
「あーええよええよ。俺がお湯ためてくる」
ちゅ、と音を立てて志麻くんの頬にキスをして、若干ごわつく筋肉を駆使して洗面所のドアを開ける。
ふと鏡を見たら、首筋に何個か赤い跡がつけられていた。
うわっ......と思ったが、このくらいの薄さだったら1日ちょっとあれば消える。いつのまにかキスマークがどのくらいで消えるか経験則でわかるようになってしまった。全部志麻くんのせいや。
風呂のドアを開けると、昔ながらのタイル張りの床と、ラブホ特有のバカ広い空間が広がっていた。蛇口もお湯と水を自分で調節するタイプで、ここのラブホって割と年季入ってるんや...と思いながら浴槽にお湯を張る。
「めっちゃ風呂広くて寒かったー」
「うそ。体冷えた?」
「めちゃくちゃ暑いからちょうどよかった!」
「ほんま...元気やな...」
さっき見た体勢から1ミリも動いてない志麻くんを横に、ふとテーブルを見ると、はじめに買ったミネラルウォーターがもうほぼなくなっていることに気づく。
「お水もう1本買ってもいい?」
「ええよ」
しゃがんで冷蔵庫を開けたら、値段の書いてない飲み物たちがズラッと並んでいた。
コーラに綾鷹、その下はアルコール。いくらかわからへんの怖いけど、水は欲しいし、まあ高くてもたかが知れてるやろ...と自分に言い聞かせて、水のボタンを押して取り出した。
「ビール、氷結、ハイボールあんで」
「なに?センラまだ飲みたいの?」
「もうええわ!お酒だいぶ抜けたのに」
「んはは」
運動して汗を流したおかげか、さっきまでベロベロだったのがだいぶ薄れている。体の火照りは代謝がいいからやろ。志麻くんとセックスすると、お互いまあまあ筋肉ある方やからくっついたとき暑くてしゃーないんよな。
水を飲んでいると、目の前にロールカーテンがあることに気づく。
何も考えずに開けると、ガラスの窓になっていて、俺がさっきまでお湯を張りにしゃがんでいた風呂場がクッキリと見えた。
「うわ。ここ開けたら風呂なんや」
「うっわーエッロー」
「でもこの窓あんまり使えへんくない?複数プレイ用?」
「男が女の風呂見るための窓やろ」
「いやでもさ、2人やったらどっちか部屋に残らへんとさ」
「うん。だからそうするんやって」
「.........ん?ああ、そ、っか............」
うわ。 え。 やばい。
俺、今、結構恥ずかしいこと、言って.........
「.........気づくな、センラ」
「っ、っ.........」
「いつのまにかラブホで俺と一緒に風呂入るのが当たり前になってたことに、気づくな」
「っぃ、言うなあーーー!!!」
志麻くんのうれしそ〜〜〜な笑い声が部屋に響く。
俺、こういうのが昔からほんまにあかんねん。自分で言うのも何やけど、狙ったセリフを言うのは得意やねん。あっこの人今こう言って欲しいんやなーって察するのは歌い手一......いや、日本一うまい自信があるから。
でも、志麻くん相手やとそれが全然発揮されへんって、この人と付き合ってから嫌というほど実感してる。言いたいことを言う前に、デロデロにされるから。気を抜いて思ったこと言ったらこうなる。それで、志麻くんが心底嬉しそうにするのを睨みつけることしかできひんようなんねん。
弱いやろ。俺かてこんなんなるの生まれて初めてや。
そう言ったらまた調子乗られるから言わへんけど。
「もうお風呂入れる!置いてく!」
「え〜〜ちょっと待ってや〜〜」
ベッドの上で泣きマネする男なんて知らん。躊躇なく置いて行って、風呂のドアを開けてタイルに足をつける。ひんやりした感覚に息が漏れる。
それでも、シャワーの温度を確かめながら、風呂のドアを開けっぱなしにしてしまう自分に。なんかこう、ほんまに弱くなってしまったんやなあとつくづく実感する。
「入浴剤あるよ。豆乳風呂やって」
「どれどれ。うわ、お湯白くなるやつやん。入れる?」
「入れるわけないやん」
「......何も言わずに入れてやればよかった」
「なはは。確認不足」
風呂のドアを閉めたことを確認して、志麻くんの体に思いっきりシャワーをかけてやる。あつ!!ひどい!!と叫ばれて、声が面白くて笑ってしまった。
浴槽のお湯を手で軽く触ってから、なぜか俺より後に来たくせに、先にお湯に浸かり始めた。なんやねんこの人。
「おいでセンちゃん」
「うわ〜ギリギリ〜」
「くっついて入るもんやんこういうのは」
足を伸ばす志麻くんと向かい合わせになるように。
すると、志麻くんがむくれた顔をして怒った。
「こら。ちゃうやろ」
「ん?」
「こっち来なさい」
とんとん。
自分の太ももを叩いて、こっちこいって。
ほんまは最初からそっちで入るつもりやったけどさ、なんか意地張ってもうた。俺のことからかう志麻くんのせいや。......まあ結局、いそいそと脚の間に挟まって、後ろからぎゅうっと抱きしめられてしまうんやけども。
「うわ〜〜っはは!めっちゃちんちん当たってる〜」
「おい!言うなって!ちゃんと萎えてるやろ!」
「あはははっ」
尾てい骨あたりの生々しい感触に笑うと、後ろから首筋にキスをされる。
これ以上跡増やされたら怒ってやろうと思ったけど、唇を寄せられただけだったので今回は許してやる。吸ったら顔面にお湯ぶっかける。
「一緒にお風呂入ったのなんていつぶり?」
「確かに。めっちゃ久々かも」
「家のお風呂だと狭くて入られへんからか」
「入ろうと思えば...いや、ちょっと無理あるな」
そもそもラブホに来ること自体久々で、こんなところに来ないと男2人で一緒に風呂なんて入れへん。......やから外でやるときくらい、一緒に入ってもええかなって気分になるやん。さっきはそれで墓穴掘ったけどさあ。
「まーしぃは家族と一緒に入りたい派やもんねー」
「そうやね。センラはそういう感じちゃうかったんやろ?」
「全くねー。逆にまーしぃの話聞いて嘘やろ?って思ってたし」
「マジなんよなーこれが」
志麻くんが家族と一緒に配信しているのをたまに聞くけど、出てくるエピソードが自分の家族と違いすぎて「嘘やろ?」って思ってしまったことが何度もある。
でもお母さんも弟さんもそれが普通みたいに話しはるから、きっとほんまなんやろな。こんなに違うのに、今俺志麻くんと風呂入ってんねんもん。人生何があるかほんまにわからへんわ。
「やから俺はいつでもセンラと風呂入りたいよ」
「.........たまにね」
「うそ。マジ?...えっマジ?」
「こうやって乳首弄らへんなら考える」
くにくにと指先で弄られる乳首は、セックスの時とは違う雑な触り方。変態の両手をつねってやると、いった!と大袈裟に声をあげて離れて行った。悪霊退散悪霊退散。
「いや今はさあ...今だけやんっ」
「説得力ないねん。お風呂はゆっくり浸かりたいの」
「わかったわかった。普段は触らへんから」
「っちょっと、ぉ、ははっ、こそばい...っん♡」
ぴんっ♡と指先で先端を弾かれて、思わず声が出てしまった。
そのままカリカリ♡と俺が1番弱い触り方で弄られはじめたので、急いで両手を掴んでやめさせる。後ろの顔を睨みつけると、やっぱりイケメンで男前で、一瞬でもう何でもいいかと許してしまった。
「...ちょっと感度上がった?」
「.........こんだけ弄られてたら、上がるやろ」
「えぇー......やば...エロ...」
「エロくしてんのはアンタやって」
「ええーー!ヤバ!!」
「うるさいっ!」
こんなカッコいい顔してるのに、俺のことになったらちょっと残念になる。
そんな志麻くんが好きなんやけどさ。惚れてもうたんやけどさ!
「かわいいねえ」
「......どこがや」
「かわいいとこが可愛い」
今度は顎を持たれて、無理やり後ろを向かされる。間髪入れずキスをされて、さっきまでのことを全部思い出すようなディープキスになる。
あーキスうっま。嫉妬するくらいうまい。前になんでそんなキスうまいの?って聞こうと思ったけど、志麻くんの性格上、元カノとかそういう話につながりそうだったからやめた。
だんだんヒートアップしていることに気づいて、じゅう♡と舌を吸われたタイミングで顔を離す。このままだと絆されて、全身を弄られて、のぼせる。
「暑い!あがる!」
「えーもう?」
「だるいから体だけ洗う!よけて!」
「えーん」
ほんま喉に何人おんねんって感じの泣き声を背に、志麻くんの腕を抜け出してシャワーを浴びる。
さっとお湯で全身を流して、ボディーソープを出しに行こうと浴槽の近くにしゃがむ。ラブホ特有のボディーソープ2個置きに、何か違いがあるのかとまじまじと見ていると、真横からも熱い視線を感じた。
「............あんま見んといて」
「...はい」
結局2つとも同じ種類だったので、適当な量を手のひらに出して体に塗る。
洗面台の方に行けば泡立てタオルとかもあるんやろうけど、めんどくさいし素手で。ぬるぬると肌を滑る感覚に、我ながらエロいな...と考えてしまう。
......ふと、浴槽の方をチラ見すると。
縁に頬杖をつきながら、あまりにも堂々とこっちを見ている志麻くんがいて、思わず吹き出してしまった。
「っおい!せめてもっとコソコソ見なさい!」
「いやあー......ええ脚やなと思って」
「堂々と肘ついて見るなんてどういう心理やねん」
「許してくれるかなーと思って」
そう言われたら何も言えへんけどさあ。ああーーー。
ガッツリ見られてることを意識してから、うまく手が動かなくなる。いまこっちに来られても抵抗する気が起きなそうなので、さっさとシャワーを浴びて泡を流す。
1番ベトベトのところを洗うために風呂に入ったのに、あまりにも見られて恥ずかしすぎたので、一瞬志麻くんを睨んだら「ごめん...」と両目を覆ってくれた。
「よし。先上がってるからね」
「眠かったら寝ててええよ」
「はーい」
備え付けのバスタオルの下に部屋着が置いてあったけど、どうせサイズが合わなそうだし、暑がりで汗をかくのも嫌だから、全裸で洗面所を出る。後ろでシャワーを出す音が聞こえたから、あの人ってほんまに、俺の体を見るためだけに出なかったんや...と複雑な気持ちになった。
志麻くんがシャワーを浴びている隙に、ベッド周りに散らばっているティッシュやコンドームの袋などをゴミ箱に放り込む。ぴっちりと整えられている布団を剥がして、水を飲みながら待っていると、俺と同じように全裸の志麻くんが出てきた。
「まーしぃ痩せたねえ」
「うそ?わかる?」
「うん。お腹周りがだいぶシュッとした」
「え〜やった〜!食事制限頑張ってんねん!」
褒めるとルンルンになるのが可愛い。前までビール腹で散々弄られていたけど、もうその面影はないくらい引き締まっている。形のいい唇でニコニコ笑いながらベッドに来た志麻くんは、半分布団に入っていた俺の顔にキスをした。
「センラが毎日褒めてくれたらダイエット頑張れるのにな〜」
「なにそれ。プロポーズ?」
冗談で。
ほんまに冗談で、言ったつもりだった。
けど。
「......うん。まあ、それは今度しっかりするわ」
あまりにも優しい顔で、俺の隣に潜り込みながら、そう言うから。
自分で掘った墓穴にまたハマった気がして、声が小さくなってしまった。
「............そ、ですか」
「うわー照れてるやん。かわいっ」
「やめろ!からかうな!」
「なははっ」
「もういい!寝る!寝よ!寝ます!」
顔がすっかり熱くなってしまった。
せめてもの仕返しに、志麻くんの分の布団まで引っ張って潜る。
「センラ〜布団入れて〜」
「やだ」
「ええ〜っ」
今日は泣きまねが多いな。
まあ、ムカつくけど。風呂上がりに湯冷めして風邪を引かれるのも嫌やから、もぞもぞと体を動かして、目元だけ布団から出して、少しだけスペースを作ってあげた。
「あっ。あけてくれた」
「......はやく来て」
「え〜!なに〜!」
布団に入るや否や、ぎゅ〜〜〜っ♡と抱きしめられる。あついあついあつい。筋肉多いんやからそんなくっつくなって感じやけど、同じボディーソープの匂いと、ワンちゃんみたいに擦り寄ってくるのが可愛くて、俺も広い背中に腕を回してしまった。
「はーかわい。センラかわいい」
「うるさいうるさい。寝てください」
「明日何時に起きる?」
「あ...10時までに出なあかんやろ、やから...」
「9時半くらいでええか。よし寝よ寝よ」
しこたま飲んだ次の日って、全然起きれへんねんなあ。
まあでも、志麻くんがいるからいっか。
「おやすみセンラ」
「...おやすみ」
また明日の朝も、隣にいてくれるからね。
・
・
・
モヤのかかった意識が、だんだんと上がってくる。
ゆっくりと瞼を震わせると、まつ毛がなにかに擦れるのを感じた。
「お。起きた?」
「ん......」
それは枕でも布団でもなくて、志麻くんの二の腕だったらしい。
3ミリくらい目を開けたら、仰向けの志麻くんは、右手だけで携帯を持っていた。見ていいのかわからへんかったけど、こっそり画面を覗く。
「...麻雀...?」
「うん。片手でできるからやってた」
「...あ......ごめん、左手...」
「ええよええよ。あったかくて布団から出したくなかってん」
俺が少し身じろぐと、すぐにスマホの画面が暗くなって、右手が俺の頬を優しく包んだ。
ちょっと冷たい。俺が起きるまでずっとああしててんかな。全然起こしてくれてよかったのに。
その優しさに胸の奥がきゅうっと締め付けられて、頬を撫でてくれる大きな手のひらに擦り寄った。
「......センラにも麻雀おしえて」
「お。興味ある?」
「うん...あとダーツも」
「ダーツはわかるんちゃう?」
「.........まーしぃと、一緒にしたい」
目を見つめてそう呟くと、噛み締めるような顔をした志麻くんが、がばーっと俺の上に乗っかってきた。首筋にマーキングするみたいに顔を埋められて、大型犬に甘えられてるみたいな気分になる。
「っふ、ふふ、近い〜〜っ」
「なんなん寝起きから。可愛すぎやろ」
「あははっ、首やだ、んははっ!」
ふいに、流れるように、キスをされる。
やっとしてくれたなあと嬉しくなって、俺から志麻くんの唇を食べる。そしたら今度は志麻くんが俺の唇を食べてくれた。
「......もっかい」
「.........いや、マジで...」
「はやく」
「......」
ちゅ。 ちゅう。
目を閉じて、降ってくるキスをゆったり感じる。
いつもがっつかれることが多いから、新鮮な気分。
「ん、ん......♡」
「......舌入れたら怒る?」
「......ぇ♡」
煽るつもりで舌をべ...♡と出すと、志麻くんは小さくため息をついて、長いまつ毛を伏せてキスしてくれた。昨日の夜よりスローペース。味わうみたいに絡まる舌が気持ちよくて、半ばわざとに腰を揺らす。必然的に志麻くんの股間に擦れる。
「っん♡ぁ、んん〜...♡」
「...っ......」
それに志麻くんが気づかないわけもなく、それに応えるように、全身で腰を押さえつけられた。昨日あれだけしたのにもうすっかりその気になってしまって、ぐ、ぐ、と揉むように腰を動かされて、キスをしながら甘い声が漏れた。
「......もうちょっと勃ってるやん」
「...まーしぃのちゅー、好きやから...♡」
「......っいや、ヤバ...」
もっと。もっと煽られて。その気になって。
そう頭の中で強く強く思っていたら、緩く勃っていた俺のちんこに指を這わせられて、上下に擦られた。先端から溢れるのを塗り込むようにして、ゆっくり。
「っぁん♡っあ、あっ...♡」
「はー......やべ、エッロ...」
朝イチの快感に我慢することもなく喘いでいたら、太ももの辺りに俺よりずっと大きいものが擦り付けられる。
ああ、よかった。その気になってくれた。
「......っは...俺のも、触ってくれる?」
「.........いや」
「えっ」
いや。
昨日やってへんこと、あるもん。
「仰向けなって」
「え?」
「はやく」
俺の「いや」に戸惑う志麻くんに興奮しながら、布団ごと下にずり下がる。
素直に仰向けになってくれたお礼に内腿にキスをする。ここだったら怒られへんかなと思って若干吸った。そして、起立したソレにも。
上目遣いで志麻くんを見たら、両手で顔を覆って、悶えていた。
「っ......マジか......マジか」
「やだ?」
「...っううん、舐めて」
「ん♡」
お許しをもらったので、遠慮なく口を開けて、先端を食べる。
じゅる〜〜......っ♡といやらしい音を響かせて。わざと。
「っんん.........♡」
「ぃ、っう、わっ......♡」
びくっ♡と志麻くんの腰が浮いて、自信がつく。もっと。もっともっと気持ちよくなってほしくて、一気に喉奥に突っ込んだ。
ぐぽ♡ぐぽ♡とハマるような音が鳴って、ちょっと苦しくて涙が滲む。でも志麻くんの腰が動くたびに嬉しくなって、上から熱いため息が聞こえるたびに、鳥肌が立つほど興奮した。
「きもちい...?」
「うん、ヤバい...マジでヤバい」
「んふふ」
横髪を耳にかけて、しょっぱい我慢汁を啜って。
あまりにも気持ちよさそうな志麻くんを見て、俺も......って思って。でも、まあ、なんとなく気づいてほしくて、わざと音を鳴らしながら。
「っえ......嘘やろ」
「ん.........?」
「いや、え......うわー...エッロ...」
「......」
俺が自分で後ろを弄ってるのに気づいた瞬間、志麻くんのがびく♡と震えた。もうこの人、俺の何にでも興奮してくれるんかな。そんなん一生離れられへんなあ。
エロい俺のこと、好きやと思うけど。
俺の全部、好きになってくれへんかな。
「......センラ、ちょっと腰動かしていい...?」
「...ん、うん♡」
そう言った志麻くんは、優しく俺の両頬を包んで、ゆっくり腰を上下に振り始めた。優しく喉奥に当たる感覚が気持ちよくて、後ろに入ってる右手が止まらなくなる。
「っはぁ、これやっべ......きもち......っ♡」
やばいやばいって何度も唱えながら、切なそうな顔をして感じる志麻くんが可愛い。可愛すぎて我慢できなくて、ごつごつ♡と喉奥に挿入してくるついでに、尿道の所をぐり〜...っ♡と舌先でえぐってみる。
その瞬間、志麻くんの腰が面白いほど跳ねて、喉が引き攣る音が上から聞こえた。
可愛い。可愛い。かわいい。
「あっ、あ......まって、アカン、ちょっ...」
「......っぷは...♡」
イきそうになったのか、焦ったように顔を持ち上げられる。
つう......♡と糸を引く唾液がもったいなくて、そのまま膨れ上がった目の前の亀頭に塗ってあげたら、「待って、待って...」って泣きそうな声で止められてしまった。
あー、なんでそんな加虐心を煽る声出すんや。ずるいなあ。
1回ふか〜くため息をついた志麻くんは、寝起きとは思えない力で、俺をベッドの上まで引きずりあげた。あっという間に上に志麻くんが覆い被さってきて、深いキスをされる。唇腫れそう。いや、もう......いや、なんでもない。
「っごめん、挿れていい......?」
「ひ...っぁ、あ♡すご、おっき...♡」
「センラ、挿れたい、ね、挿れさせて...」
「ん、うん、ええよ...♡」
困った顔で腰を振るのが可愛すぎて、自分から素直に股を開いた時。
はっ......とした顔をした志麻くんが、つぶやいた。
「.........ゴム、備え付けって2個しかないんやった」
う、うわーーーー。 ここにきて...?!
「あー...あれちゃう、フロントに電話したら持ってきてくれるよ」
「っああ、うん、そうやね...」
「......まーしぃ?」
この際恥もなんもあらへんわ、と思って体を起こそうとしたけど、歯切れの悪い返事に違和感を感じる。極限までムラムラしているため、言いたいことがあるなら......と志麻くんの顔を覗き込んだら。
気まずそうに、恥ずかしそうに、言われた。
「......ゴム、あるにはあるんやけど...」
え。 あんのかい。
「...?あ、自販機に売ってた?買う?」
「や、その、自販機にはなくて」
「え...?じゃあどこに...」
「...俺の」
「へ?」
うわ。
志麻くん、顔、真っ赤や.........
「......俺の、鞄の中...」
............カバン?
「...持ってきてたん?」
「.........1個だけやけど」
「なに?常備してる感じ?」
「ちがう!センラと飲みに行くときだけや!......あっ」
っこ、この人............
まじで、うわ.........
「......はやく持ってきて」
「............ハイ」
何、なに、なんやねん!!
大した話ちゃうのに、こっちまで照れたわ!
むしろありがたい話なのに、何であんな耳まで真っ赤にして言ってんねん!
学生か!童貞か!何回俺のこと抱いてんねん!
いそいそと帰ってきた志麻くんは、持ってきたであろうコンドームを握りしめながら俺の上に覆い被さった。若干俺も顔が熱いが、触ってみた志麻くんのほっぺたの方が熱かったので、多分バレない。
「ぶふっ、顔あっつ」
「...恥ずかしい」
「あははっ何でよ。ええやんか、お互いそういうつもりで来てんねんから」
「いやでも......うわーああーっ!死にたい!」
「あはははっ、かわいー!かわいすぎる」
俺、こういうのに弱いねん。
慣れない感じの、この、突拍子もないとこで照れる人が好き。どうしようもなくなる。多分これは俺の中の「男」の部分で、心底可愛くて、甘やかしたくなる。
「まーしぃも俺も下心丸出しで飲んでたかと思うと...なんかなあ」
「...別にええやろ。付き合ってんねんから」
「そうやな。付き合ってない子相手やったら恥ずかしいか、も...っ」
俺が「付き合ってない子」って言った瞬間。
ごり...♡と限りなく入り口に近いところに怒張を擦り付けられた。
そして、めちゃくちゃ怖い声も、飛んできた。
「.........女の話、すんな」
ぞくぞくぞく......♡と。
体の奥の奥から興奮してしまう俺って、SなのかMなのかわからへん。
「ごめ、じょうだん......」
「俺のことだけ考えて」
「っあ♡......ん、かんがえてる、よ...♡」
「もっと。もっと考えて」
全身で求められていることが嬉しすぎて、口から舌を出して、全部受け入れようとしてしまう。服従してしまう。もう今後勝てないであろう目の前の雄に、心の底から屈服している。本能的に、堕ちている。
そんな俺の舌をちゅる♡と吸った志麻くんは、躊躇なく腰を進めた。
「っ、ぃ、う〜〜...っ♡」
「はっ.........♡」
普段は、ここからゆっくり馴染むまで待ってくれるのだが。
先端が入った瞬間に、両足を真上に持ち上げられて。
そして上から、ものすごい力で、叩きつけられた。
「っへ、あ?!?!♡ーーーっあ゛っっっ♡♡♡」
びくびくびく!!!!♡♡
全身に電流が走って、思いっきり脳みそが揺れた。
「っお゛♡ぁ゛♡はあっ♡あ゛♡」
「ぁーーー...やべ、気持ち良すぎる......っ」
「ん゛っ♡お゛♡っあ♡ゃ、おぐ、お゛くあたってるっ...♡」
「あててん、ねんっ!!」
「っ〜〜...っ♡♡♡」
もう声も出ない。無意識に自分も腹筋と背筋を使って腰を持ち上げていて、叩き落とされるような強い快感に耐えるのに精一杯だった。ばちゅっ♡ばちゅっ♡と、昨日には鳴らなかった下品な音が響いて、奥の奥を殴られるように挿入されている。
ナカだけでも冷や汗が出るほど気持ちいいのに、あろうことか志麻くんは俺の勃起したものを上下にしごき始めた。亀頭を親指でいじられまくって、感じられるほぼ全ての性感帯を犯されて、脊髄がバグを起こしそうになる。
「っ、ぁ?!♡だめ、さわっちゃらめ♡」
「ほらイけ、イけ、射精しろ、イけ......っ!!」
「ぅんんん゛っ〜〜...♡むぃ、むり♡っあ♡」
ずるんっっ♡と勢い余って、志麻くんのちんこが抜ける。
抜ける感覚も気持ちよくて、余韻で腰が揺れてしまう。
首筋にもたれてくる志麻くんが可愛くて、両手でわしゃわしゃと後頭部を撫でた。
「あっ、あはっ、抜けちゃう」
「っはー...っ、はー...っ♡」
「っふふ、はぁ...かわいい...っ♡♡」
かわいい、かわいい。
必死な志麻くん、かわいい。
そう本気で思って、目の前の首筋にキスをしたら。
また後ろにちんこをあてがわれて、思いっきり挿入された。
「ーーーっっっお゛っ♡」
「は、ぁっ......♡♡」
俺は俺で志麻くんの腰に両脚を回して、もう絶対抜けないように固定する。離れないで。できる限り密着していたい。そしてこのまま、1番気持ちがいいところまで連れて行ってほしい。
ずっと喘いでいるから喉の表面が乾いているのを感じるが、ナカの快感を処理することで精一杯だ。休憩なんてない。
「ぁ、あ゛〜〜〜っ♡しぬ、しんじゃう゛♡っあ゛ぅ♡」
「っ、ふー......っ、はぁっ♡」
「んっん゛〜〜〜...♡ぁ、イきそ......っ♡」
たぷたぷに溜まっていた快感が今にも溢れそうで、あと何突きかですぐに絶頂しそう。イく手前のこの感覚がたまらなくて、志麻くんが動きにくくなることも考えずに両脚に力を込める。
ナカ全体がひくひく♡と痙攣して、全身が悦んでいるのを感じる。
「お゛っ♡あ゛♡ぁっ♡イく、イクイク、イク...っ♡」
「イけ、出せ、出して♡センラ、愛してる、センラっ...!!♡」
「っ、っ〜〜〜〜〜っ♡♡♡♡♡」
志麻くんの掠れた「愛してる」で、頭がスパークした。
壊れた機械みたいにうるさく音を立てる心臓と、痙攣する体が余韻に浸らせてくる。加えて刷り込むように志麻くんがぐっ♡ぐっ♡と腰を押し付けてくるから、両目から涙が溢れるのを拭うこともできない。
「はっ、はぁっ、は......」
「げほっ......あぁー......うえ...っ」
「っあはは......っ、死にかけや、2人とも...」
もう流石に限界。
この歳でこれはめちゃくちゃ元気な方や。
なんとかちんこを抜いて横に寝転がった志麻くんは、汗で濡れた前髪をかき上げて、ふか〜〜く深呼吸をした。顔がかっこいい。イケメンや。
「あ゛ぁー......マジで尽きた...」
「昨日もそう言ってたやん。復活はやすぎ」
「センラがエロいからやん」
「何もしてへんって」
コンドームを外してティッシュに包んで、ゴミ箱がない〜と騒ぎ出した志麻くん。ベッドの下を見ると俺の方にあったので、軽く持ち上げてアシストしてあげる。
入れるために俺の上に覆い被さってきたので、脚でまた体をガッツリ挟んで、両手の親指で背中のツボをぐい〜〜〜っ♡と押してあげた。
「っうわぁ...何それ......めっちゃきもちい」
「せやろ?俺こういうの得意やねん」
「やば...家帰ったらまたやってほしい...」
「やるやる。......ん?それぞれ帰らへんの?」
「............作業とかある?」
また真横に寝転がった志麻くんが、俺の顔を見つめる。
乱れた前髪を指先で整えてあげながら、今日の予定を頭に浮かべて。
「...ある。俺の家でもいいなら」
「ほんま?センラが良いならそっち帰ろう」
「ええよっ」
結局今日も一緒にいてくれるらしい。やったね。まあ結局作業は2畳の部屋でやるから別々にはなるんやけど、志麻くんはリビングでテレビ見たりゲームしたりするのがいつもの流れ。作業が終わった後に喋り相手がいるってだけでモチベーションが格段に上がる。ましてやそれが志麻くんならもう最強や。
「まって...今何時」
「9時54分」
「ギリ!今精算すれば間に合う......!うわっ」
「ええってそんなん」
ぐいーっ。
腕の中に引き寄せられて、何にも動けなくなった。
「ねえ〜...延長の料金見てないで入ったって...」
「どうせ30分1000円くらいやろ。今立つのしんどいわ」
「.........それは、そうやけど...」
「ちょっと寝ようや。ええよ、ホテル代くらい出すから」
「いいよ!俺も払うって!」
「連れ込んだのは俺やん。はい寝よ寝よ」
結局昨日の飲み代も志麻くん持ちやん。奢られるのそんな好きじゃないのに......って思うけど、付き合う前よりはその心持ちも薄れてきた気がする。
いや、でも、相手が志麻くんのとき限定か。
いくら払うって言っても絶対受け取ってくれへんからな。
「.........起きたら、朝ごはん食べてから俺の家行こ」
「お。いいね。何食べたい?」
「朝マック......は、重いな」
「時間間に合わないんちゃう。あとセンラ二日酔いないの?」
「.........気づいたら、ちょっとだけ...」
「うわー言わんかったらよかったか」
果たしてこれが二日酔いなのか、寝不足なのか、セックスの疲れなのかはわからないが、とにかく体がだるい。眠い。多分全部だと思うけど。
まあでも。
気持ちはすっごく満たされている。
このまま寝て起きても志麻くんが隣にいるし、帰りも一緒に帰って、同じ家に帰るんや。あーええやんそんなの。最高最高。多少の体調不良は気にしなくても元気になるくらい最高や。
「ま、起きたら2人で考えよか」
「......うん...」
「アラームもかけんでええやろ。ろくに寝てへんねんから、ゆっくりしよ」
「.........ん」
志麻くんの体に擦り寄ると、髪の毛に触れるだけのキスをされた。
こういうときすぐ寝てまうのは俺の方で、いつも頭の中がぼやける寸前、優しい声が聞こえてくる。
「おやすみ、センラ」
この一言だけで、どんな疲れも取れてしまう気がする。
布団の中でこっそり微笑みながら、俺はまた眠りについた。
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